44:時間の刻み方は誰にでも平等だ
「あ…皆が戻ってきた」
月姉さんに呼び出された3人+1(棗ちゃん)がゾロゾロと戻ってきた
ん?3人は何処か喜色を浮かべた表情をしているが、+1(棗ちゃん)だけゲッソリとした表情を浮かべている
(あれは…何か要らない事を月姉さんに言って叱られた後かな…)
恐らくまた月姉さんに棗ちゃんが要らない事を言ったのだろうなぁ…ナムナム
ゲッソリとした表情でこちらに戻って来る棗ちゃんに合掌しながらそんな事を思ってしまう
「よ、夜人くん!!」
「ん?」
そんな俺に対し誰かが声を掛けてきた
振り返るとそこにはあづみちゃんと蓮華ちゃん、雪ちゃんが立っていた
「3人とも…どうしたの?」
「よ、夜人くん!わ、私、頑張るから!!」
「う、うん…」
「夜くん、僕も頑張るよ!!」
「そ、そうだね…」
「わ…私も…がんばりますぅ…」
「雪ちゃん…頑張って、ね?」
「「「うん!!!」」」
一斉に決意表明(?)的な宣言を俺に行いながら意気込んでいる
…え、何?今ってそういうのが流行ってるの?
主語が無いと何が何やら理解出来ないんですけど…
「ヨルヨル~!わたしも頑張るからね~!!」
「あ、それは気にしないです」
「な~んでよ~?!!」
棗ちゃんの決意表明(?)に対応するとウザ絡みされるのは目に見えている
だから素っ気なく返答したが…さっきから文句を言いながら俺の頬をプニプニと連打するのは止めて欲しい
でないと…
「…棗ちゃん?」
「っ?!!!」
「ねぇ棗ちゃん…何してるのかな?」
「な…ななななななんにもしてねねねねぇですっ!!!」
月姉さんが背後から突如現れて、負のオーラを醸し出してくるんだ
そんな事を考えている間に棗ちゃんは脱兎の如く逃げ出していった
「一体何があったんだ…」
もじもじしながら決意表明3人と、棗ちゃんを呆然と見ながら訳が分からないと独り言を呟いて俺の保育園最後の運動会は幕が下りた
◆
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「皆さん、卒園おめでとうございます。これからは小学生のお姉さん、お兄さんとして頑張ってくださいね」
「「「「は~い!!!」」」」
運動会から季節は巡って2月の半ば
俺は遂に保育園を卒園する事になった
(長かった様なあっという間だった様な…時間をそう感じるのに年齢は関係ないのかもなぁ…)
そんな柄にもない様な事を考えながら園長先生の別れの挨拶に耳を傾ける
卒園式も恙なく終わり、教室に戻って茎中先生の最後の言葉を聞こうししたのだが…
「グスッ…ううぅぅ…み゛、み゛んなぁ~…」
泣きはらした目でまともに挨拶が出来ておらず、呪詛を吐いてるかの様に『み゛んなぁ~』という単語を連呼しているだけなんだよ…
このままじゃいつまで経っても終わらない…
俺にも名残惜しい気持ちは勿論あるけれど、このまま進まない事も当然困る
(仕方ない…)
俺は徐に立ち上がり、先生のいる教卓まで歩いていく
精神年齢30歳のおっさんである俺は、年下(推定20代半ば)の茎中先生のフォロー位しようじゃないか
「先生、今まで有難う御座いました!!また何処かで逢えたら声を掛けてください!!」
「っ?!!よ…夜人くん…」
別れの挨拶をしてペコリと頭を下げると、茎中先生の瞳からより涙が溢れ出て来る
「せんせぇ~有難う御座いました~!」
「先生大好き!!」
「先生元気でね~!!」
「先生また遊びに来ます」
「先生~!!」
そして俺に呼応する様にクラスメイト達は次々と先生にお礼の言葉を口にする
それを聞いて茎中先生は大号泣してしまったけれど…まぁ、これも1つの良い終わりの形ではなかろうか?と先生に抱き着かれながら、そう思った




