41:今言っちゃうの?!
「こ、今回、私共の娘が夜人くんにプ、プリンを渡すのを許可して頂き有難う御座います」
「いいえ、夜人きゅんが決めた事だから何も問題ありませんわ」
お、おぉう…俺が何気なく受け取ったプリンに関して親御さん方は御礼を言うんだね…
そして母さん…他の父兄の方と話す時も『夜人きゅん』なんだね…
「か、重ねてのお願いとなりますが…娘たちがチョ、チョコレートを渡す事を…お、お認め頂けませんでしょうか?」
「今回にチョコレートを受け取ったからどうこうすると言う事は誓ってありません」
「か、可愛い我が子のね、願いを叶えてあげたいと言う親心なのです…ど、どうかお認め頂けませんでしょうか?」
「「「お願いします」」」
おぉぉ…この世界のルールではチョコレートを受け取る時にも親の許可がいるのか?
ここら辺は俺の知らない事が付随しているのだろうから今深く考えても正解を導きだす事は出来ないだろうけど、何と言うか…前世の価値観で言うと俺がめっちゃマザコンか、母さんがモンペに見えなくもない
「……頭を上げてください」
「「「……」」」
「正直、私個人としてはその件につきましては関与するつもりはありません。受け取るも受け取らないも夜人きゅん次第です。夜人きゅんが受け取るのであれば私も反対はしませんし、受け取らなかったとしても何も思いません。それで宜しければどうぞ夜人きゅんにお渡しください」
「「「あ、有難う御座います!!!」」」
「但し」
喜ぶお母さん方に対して、我が家の母は釘をさす様に言葉を遮る
そして3人のお母さん方の目を見ながらしっかりと言葉を発した
「夜人きゅんには現在婚約者が1人居ります。」
「「「「「「「?!!!!」」」」」」」
うぁ…お母さま方とあづみちゃん、雪ちゃん、蓮華ちゃん…ついでに零から一斉に視線を浴びる
…いや、別に言わない理由も無いけれど言う理由もなくない?
「婚約者は私の娘である八剱月です。あぁ、彼女と夜人きゅんは父親が違いますので問題ありませんからね。」
「「「「「「「…………」」」」」」」
「このまま順調にいけば月と夜人きゅんは夫婦となります。こちらの保育園に通っていらっしゃる以上、本人間だけでは無く、家柄等も関係する方もいらっしゃるかもしれません。その為、今申し上げた事実を加味してご検討頂ければと思います」
「「「「「「「…………」」」」」」」
「先程も申しました通り、私は夜人きゅんが出す答えに対して関与する気はありません。但し、既に婚約者が1人居るという事実を踏まえた上でお嬢様の意志を支持するのか、お家の事を選択するのかをご検討ください」
「「「「「「「…………」」」」」」」
…まぁ、母さんの言わんとする事も理解出来る
この保育園は富裕層の娘さんが多く通っている保育園なのだから、家柄的に第1夫人的な立場でないと許されない決まりがあっても可笑しくは無い
たかだか男女比1:10の世界だ
女性側からしても、なりふりを構わないという程切羽詰まってはいないのだろう
そう言う意味では母さんの言い方は厳しいかもしれないけれど、それでも相手を慮っての意図で話したであろう事は俺でも理解できる
理解は出来るんだけどさぁ…
俺の後方でどや顔でポーズを決めている月姉さんを見て、密かにため息をついた




