37:運動会番外編???
『それでは今からお昼休みとなります。園児の皆さんは応援に来て下さった皆さんとご飯を食べましょう』
ヒャッハーーーーーーーーーーーー!!!
飯だ飯だお昼ご飯だっ!!!
今日は半日間外に出ていたからか、俺の腹は極限まで減っている
しかも今日はお弁当…いつもと違う特別感がより俺の腹を刺激しているのだ
解散となり、さて母さん達は何処にいるんだろうとキョロキョロしていると…
「夜人くーーーーーーーーん!!!」
「夜人きゅん!こっちよーーーーーーーーーー!!!」
……居たわ
これだけ大人数の中でもピョンピョン跳ねている母さんと月姉さんは目立っており、非常に分かりやすい
俺は2人がアピールしている場所へ麗さんと共に向かって行った
「……おぉ」
向かった先にはお弁当…という様な生易しい量では無かった
重箱3個分、合計9つのお重が用意されていたのだ
しかもサンドイッチ、おにぎり、唐揚げ、ウィンナーやハンバーグ…俺の好きな物ばっかりだ
「夜人くん、今日はすっごくカッコよかったよ!!」
「夜人きゅんお疲れ様!!お弁当をしっかり食べてね!!」
「ヨルヨル、最後のスプーン落とし力み過ぎっしょ?私ウケちゃった~!!」
「お母さん、月お姉ちゃん有難うね」
そう御礼を言ってレジャーシートに鎮座する
しかし改めて見ても4人で食べるとしても中々の量だな…
どれも美味しそうだから問題なく食べきれるとは思うが、麗さんが作ってくれたのだろうから残す訳にはいかないな
「ぐぇっ!!」
そんな事を考えていると、突如背後から抱き着かれる
不意打ちされてしまい思わず声が漏れ出てしまったわ!!
「ヨルヨル~?なぁ~んで私を無視するのかなぁ~???」
「いやだって棗ちゃん…何で保育園にいるのさ?」
本音は煽って来たから無視しただけだがね?
それにしても棗ちゃんが此処にいるのが謎だわ
「ん~~?ヨルヨルの婚約者ですって言ったら入れてくれたよ~」
そう言いながらシシシシと笑っているが…婚約者ちゃうわ!!!
棗ちゃんは俺にとって師範の娘さん、若しくは道場の先輩でしかないわ!!
「こ「婚約者じゃないですよね…?」
婚約者じゃないよねって言おうとした瞬間、ユラリと幽鬼の様に俺の前に立って月姉さんが棗ちゃんに声を掛ける
…あれ?
俺の天使って…こんなに目が濁ってたっけ?
そんな俺の疑問を余所に棗ちゃんは俺から手を放して直立不動の姿勢になる
「つ、つつ月ちゃ「棗ちゃん…夜人くんの婚約者って…だれでしたっけ?」
「つつつつ月ちゃんですっ!!」
「ですよね?私だって…分かってるのよ?でも…捏造は良くないよね?ね?」
「お、おお仰る通りですっ!!!」
「夜人くんの婚約者は今1人だけ。棗ちゃん、それは誰ですか?」
「月ちゃんです!!」
……何?このやりとり?
此処は戦場か何かなの?
戦い(運動会)は終わったんじゃないの?
重苦しい雰囲気を味わいながらそんな事を思っていると、母さんが口を開く
「月、座りなさい」
「…………はい」
「気持ちは分かるけれど、貴女はまだまだね。帰ったら淑女道を伝授するわ」
「っ!!!」
それを聞いた月姉さんは悲壮な表情を浮かべる
淑女道って何?!
同じ家に住んでるのに、何で俺が知らないの?!
「それに棗ちゃんも。夜きゅんが認めたのならば兎も角、捏造は良くないわよ」
「…はい、ごめんなさい。」
おぉ…棗ちゃんが母さんに分からせられてる
そんな事を思っていると、突如俺の腹がグーと鳴る
恥っず!!!
「夜人きゅんもお腹空いたみたいだし、取り敢えず楽しくご飯を食べましょう!!」
俺の腹の音を聞いた母さんは突如笑顔になり、俺はやっとお弁当にありつくことが出来た
 




