27:まぁ喜んでくれるなら良いんじゃない?
『プログラム2番、紅白対抗リレー。モモンガ組さんは20メートル、カピバラ組さんは25メートル、アルパカ組さんは30メートルを走って貰います。』
第1戦は白組の圧倒的勝利となり、幸先の良いスタートを切れたと思う
次のプログラムは前世では花形でもあったリレー競争だ
正直、リレーが2番目に組み込まれるとは思わなかったなぁ…と遠い目をしてみる
というのも…
「よ、夜人くん…」
リレーに出るモモンガ組、カピバラ組、アルパカ組の皆が俺の前でキチっと整列している
いや、誤解の無い様に言うと嫌じゃないし、変にもったいぶっている訳でも無い
ただ…下の組の子の下の名前が分からないんだ…
アルパカ組の皆は下の名前で呼ぶのに、モモンガ組とカピバラ組の子には呼べないのは何となく心苦しいのよ
「俺様たち紅組は最強だっ!!お前もバンプジャーの様に全力で頑張るが良い!!」
「はいっ!!!」
そんな風に視線を泳がせていると、零が紅組の子1人1人に対して激励しているのが目に映る
成程…どうやら紅組も男の子からの応援チート作戦(仮称)を発動させた様だ
零は俺様とかお前とはいうのを受け入れられているから名前で呼ばなくていいんだろう…
ちょっとだけ羨ましいなぁ…
「あ、あの夜人くん…」
「あ、あぁゴメンね!!えっと…お名前教えてくれるかな?」
「っ!!は、はいっ!!モモンガ組のゆめがおか さきです!!」
「さきちゃんね。さきちゃん、リレーで転ばない様にがんばってね!!
「は、はいっ!!」
「モモンガ組のどうしん ゆかりです!!」
「ゆかりちゃんね。ゆかりちゃんもこけない様に頑張って!!」
「はいっ!!」
「モモンガ組の…」
おぉ…名前を聞いたらハキハキと答えてくれる
これだと知らなくても、ちゃんと激励出来るから良いな
やっぱりコール&レスポンスは大事だね(※違う)
そう思いながら、1人ずつ激励していく
「アルパカ組の蕗薹 あづみです!!」
「知ってるよ!!でも、あづみちゃんは頑張り屋さんだけど無理はしないでね」
「……はい」
「アルパカ組の蛍ヶ丘 蓮華です!!」
「蓮華ちゃんも知ってるよ!!蓮華ちゃんは……ん?」
蓮華ちゃん?
何で蓮華ちゃんがココに居るの?
俺がそう思った瞬間、あづみちゃんが蓮華ちゃんに噛みつく
「ちょっと蓮華ちゃん!!蓮華ちゃんは紅組でしょ?!!ココは白組の陣地よ!!」
「まぁ良いじゃないか。僕だって夜くんに応援して貰いたいんだよ。」
蓮華ちゃんは紅組だから、白組の席であるココにいるのは可笑しい
紅組だったら零に応援しておらっている筈だけど……
あぁ、そっか…あづみちゃんに張り合ったな?
あづみちゃんと蓮華ちゃんは所謂ライバルみたいなものだ
お勉強もスポーツも2人ともそつなくこなす
だからチョットした事でも張り合いたいんだろう…
言い合いしている2人の方に近づいて、俺は蓮華ちゃんの方へ視線を向ける
「蓮華ちゃんも悔いの無い様に頑張ってね!!本当にケガだけは気を付けてよ。」
とは言うものの、同じアルパカ組の仲間だ
紅組だ白組だのでわざわざ差別化する程でも無い
俺は蓮華ちゃんに向かってそう激励した
「~~~っ…あ、あぁ勿論だよ!!君を心配させる様な事はしないさ!!(…やっぱり夜くんは最高だ)」
最後の方は何を言ったのか分からなかったが、喜んでくれた様で何よりだ
そんなこんなで第2戦の対抗リレーが始まった




