23:男が空を見上げるのには理由がある
結論、何とかなりました
ん?何のことか分からんって?
まぁそりゃそうだ
俺がそんな説明されたら軽くキレる自信がある
まぁ、簡単に言うと『今日だけは保育園の後みんなで練習する』に収まった
だが言うは易く行うは難し…先人は偉大なぁ…(使い方違うけど)
先ず、荒れ狂うあづみちゃんを始め、クラスの皆を先生に聞いてみようと説き伏せる
そして先生に許可を得るが此処で問題が出てしまった
俺と零以外は皆バスで通園しているのだ
必然的にバスの運行時間の調整及び保護者への連絡が必要となってくるのだ
その結果が出たのが昼過ぎで、何とか全保護者に連絡が付いたとの事だ
因みにどうしても都合が悪い子は元の時間に下級生と共にバスに乗って帰宅するという事で落ち着いた
因みに俺は先生方に滅茶苦茶謝った
前世でも此処まで謝った事は余りないかもしれないレベルで頭を下げたが、先生方は「良いよ良いよ」と笑って許してくれた
先生…本当にごめんなさい
という訳で放課後は紅組白組の関係など無く、皆が練習する事になった
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と言う訳で時間軸は進んで放課後
アルパカ組の皆は各々出る競技の練習を真剣に取り組んでいた
そんな中で俺は先ず、さつきちゃんに謝罪しなければならない
…ていうか謝ってばかりだな、俺
「ゴメンねさつきちゃん…僕の所為で放課後にみんなで練習する事になって」
「う、うううん!!も、元は私が放課後にって言っちゃったからっ!!」
「いやでも…僕が滅茶苦茶落ち込んだからでしょ?」
「だ、大丈夫!!うん…大丈夫!!」
「……次に登園する日は前の公園でちゃんとやるからね」
「っ!!う、うん!!お願いしましゅ…」
「うん、じゃあ次の月曜日にね!!」
尻すぼみに声が小さくなったが、お願いって所はバッチリ聞こえた
やっぱり俺の予想通り、皆に見られるのが恥ずかしいという事なんだろう
「じゃあ突然で申し訳ないけど…スプーン落としのコツを聞いても良い?」
「う、うんっ!!お昼休みでも言ったけれど、スプーン落としのコツはピンポン玉を落とさずにどれだけ早く進めるかなの」
「うんうん」
「だからピンポン玉から目を離しちゃダメ!!」
「……でもコースからはずれちゃわない?」
「大丈夫!!ピンポン玉を見ながらでも白い線は見えるから!!後は落っこちない様に進めばいいの!!」
「お……おぉぉ……」
俺はちょっと感動しているかもしれない…
詰まり、コースの間隔を気にしたり、周りのスピードを気にせずに俺はピンポン玉だけを注視していれば良いのだ!!!
今までの俺はコース間隔、距離感、周りのスピードを気にしすぎるが故にピンポン玉への意識が足りなかったという訳だ!!
原因さえ理解出来れば、スプーン落としなど問題なく出来るという訳だ!!
「さつきちゃん分かったよ!!じゃあ一回やってみるね!!」
「う、うんっ!頑張れっっ!!」
さつきちゃんの声援を背に受けながら俺はピンポン玉をスプーンに乗せる
心無しかピンポン玉の揺れ幅も今までよりも少ない気がする
(これは……イケるっ!!!)
心の中で勝ちを確信して意気揚々と一歩目を踏みしめる
勿論、ピンポン玉から目を離すという様な愚行は侵さないZE!!
ーーーーポンポンポンポンーーーー
「「…………」」
俺は何も言わずに落ちたピンポン玉を拾い上げる
「い~ち、にぃ~、さ~ん…」
俺はそのまま天を仰ぎながら3秒数えてた…




