22:うまい事いかない時はうまい事いかない
「夜人様、到着いたしました」
「麗お姉ちゃん、今日も宜しくお願いします」
母さんから放課後(?)の練習許可を得た2日後…今週最終の保育園に到着した
道場はどうしたって?特筆すべき点はありませんでした
という訳でいつもの様に教室の扉を開けながら「おはよ~!!」と皆に挨拶をしていく
「夜くんおはよう!!」
「お、おはようございますぅ…」
「夜人様、おはようございます!!」
「よ、夜人くん、お、おはよう」
「来たな…我がライバル!!」
「神降臨!!神が降臨っ!!」
いつもの様に挨拶をしながら席に着くけれど…最後から2番目の人は毎朝何を言っているんだろうね?
そんな事を思っているとりんちゃん、メイちゃん、さつきちゃんが席の方まで寄って来る
「3人共、おはよう」
「おはよう~ございます~」
「夜人くんおはよっ!!」
「よ…夜人くん…お、おはよう…」
りんちゃんとメイちゃんはいつも通りだが、さつきちゃんはいつもと違う様子だ
………ハッハ~ン、どうやら俺がさつきちゃんが竹馬出来ない事を皆にバラさないかをハラハラしているんだろう
残念ながら、俺はそこまで女心が分からない男ではない
デリカシー位は当然にあるのだ
「3人共、昨日は何の練習をしたの?」
「昨日は~さつきちゃんに~スプーン落としのコツを~教えてもらいました~」
「私もかなりマスターしたよっ!!!」
え゛っっ?!!!
それ、俺が1番知りたかったヤツ…
トンネルは勢いでイケるし、竹馬もりんちゃん程じゃなくてもメイちゃんやさつきちゃんよりは速い、俺が知りたいのはスプーンからピンポン玉が落ちない手段なんだ……
そんな事を考ていると思わずションボリしてしまう
するとそれが表情に出ていたのだろうか?
「よ、夜人くんど、どうしたの?!!」
「夜人くんが~ションボリさんです~」
「よ、夜人くんだ、大丈夫よっ!!今日の練習もスプーン落としをやるしっ!何だったら放課後もやるから!!」
「ほ、本当…?」
「「「「?!!!!!!」」」」
さつきちゃんの優しさが目に染みるぜ…
そんな事を考えながら目に溜めた涙を拭うフリをしていると…
「夜人くん…」
背後から今まで聞いた事のない声色が聞こえたから振り返ってみると
「あづみちゃん…?」
「夜人くん…放課後に何するの?」
「放課後?さつきちゃんがスプーン落としのコツを教えてくれるって言ってくれたから練習でもしようかなぁ~と…」
敢えて公園でとは言わない
さつきちゃんからすれば、俺に竹馬を習っているなんて知られたくないだろうしね
「「「「私もやるっ!!!!」」」」
そう思っていると突如、後方に控えていたクラスの皆が呼応する様に叫びだした
いや、ちょっと待て…何だったら紅組の子もいるぞ?!!
「流石俺様のライバル…だったら俺もやろう!!」
「夜くんがするというのなら、僕がやらない訳が無いよね?」
いやいや…君たち紅組じゃん?!!
いや良いんだよ?クラスが一丸となってやる事自体に問題は無いだんだけど…
そう思ってさつきちゃんの方へ視線を向けると…何かちょっと困った様な表情を浮かべている
そりゃそうだよね?知られたくないもんね…
……これ、マジでどうしよう




