20:他人は知らんが俺はそうというだけだ
「………え?」
俺の回答にさつきちゃんの涙はピタリと止まる
代わりに「何言ってんの?」みたいな表情を浮かべてきた
…いや、マジで分からんでしょ?
①さつきちゃんが竹馬の練習していた
↓
②さつきちゃんが竹馬でこけかけた
↓
③さつきちゃんを麗さんが助けた
↓
④さつきちゃんが泣いた
↓
⑤私の事嫌いでしょ?と言われた←今ここ
……これ、分かる人いる?!!
何がどうなって嫌いになる要素があるのか、再度検証してみたが…さっぱり分からない
「どうして僕がさつきちゃんを嫌いになるの?」
「え…だって…わ、私…竹馬ができない…し…」
「うん、だから練習しているんだよね?」
「う、うん…」
「だったら僕は偉いなぁとは思うけれど…嫌いになんてならないよ?」
「……え?」
「……え?」
いや、そもそも何で俺が竹馬が出来ない位で嫌いになるのさ?
さつきちゃんから見て俺はどれだけ竹馬狂いだと思われてんの?
そんな事を思っていると、さつきちゃんはポツポツと喋ってくれた
「お、母…様が言ってた、の…男の子は…綺麗で、可愛くて…賢くて…優れた女の子をえ、選ぶんだって…」
「……………」
「だ、だから…た、竹馬ができないわ、私なん、て…うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!」
喋っている途中で感極まったのか、さつきちゃんは再度泣き出した
彼女の言葉を要約すると、男は優れた容姿と優秀な頭脳を持つ女性を選ぶと母親に教えられた
その結果、完全無欠では無い自分は男の子から選ばれないと絶望したってことかな…
う~~ん…困った…
多分、さつきちゃんのお母さんのいう事は正しい…
誰だって容姿が良いにこしたことはないだろうし、賢い方が良いとは思う、それに性格が良い方が良いだろう
それは男性だって女性だってそうだと思う
それに加えて男女比1:10のこの世界では悪い言い方をすれば男性は女性を選ぶ選択肢が多い
そういう意味では他者より突出した何かが必要だと思っても当然だと思うし、その通りだと思う
ただ…まぁ……
「ふぇっ?!!」
俺はさつきちゃんに近づいて、頭をポンポンと撫でる様に触れて落ち着かせる
するとさつきちゃんは驚いたのだろうか?
泣く事を辞めて、目に涙を浮かべながらも俺の方へ視線を向けてくれた
「さつきちゃん…お母さんのいう事はね…完全には違わないと思う。さつきちゃんも男の子が優しくないよりも優しい方が良いだろうし、カッコ悪いよりカッコイイ方がいいでしょ?」
「…………うん」
「でも、ね。それだけが全部じゃないし…欠点が無い人なんてこの世界には居ないんだよ」
「……え?」
「僕の家族だと…月お姉ちゃんはTVゲームが下手っぴなんだ。だからいつも僕がお母さんから助けてるんだよ。」
「…………」
「お母さんは…料理が凄く下手っぴなんだ。いつも麗お姉ちゃんに料理して貰ってる内に出来なくなっちゃったんだって。」
「……そう…なの?」
「うん。それに…麗お姉ちゃんは基本的には無表情なんだ。僕は何となく分かる様になったけど…最初の方は僕も分からなかったなぁ…」
「「…………」」
OH…麗さんが何とも言えない表情を浮かべている
ディスるつもりは無かったんだよ?本当にごめんなさい
「でも、ね…僕は知ってるんだ。月お姉ちゃんは上手くなる様に一所懸命だし、お母さんは陰で料理のお勉強をしているし、麗お姉ちゃんは鏡の前で笑顔の練習をしているって事をね」
「「?!!!!」」
「他の男の子がどうかは知らない。でも僕は…頑張っている人を偉いと思うし、凄いと思うし…カッコいいと思うな」
「…………」
「それに僕自身もすっごい不器用だから…一応頑張ってはいるんだけど、ね…」
俺の不器用さは一朝一夕で克服できるものではないらしく…当然の様に非常に不器用だったりする
言ってて悲しくなるが…それが真実だ…
まぁ、だからこそさつきちゃんを見かけた俺は此処まで来たわけなのだがな
「だからさつきちゃん、僕と一緒に頑張ろう。僕がさつきちゃんに竹馬を教えるよ。だからさつきちゃんは…僕にスプーン落としを教えてください!!!」
俺はそう言って勢いよく頭を下げる
…麗さんに聞いたところによると、それはそれは綺麗な90度の角度で曲げたお辞儀をしていたそうだ




