17:旬は逃すなっ!!何がとは言わないっ!!
「昨日はお休みして練習できなくてごめんね」
「「「大丈夫」」」
俺の謝罪に対して新3人娘は全く気にする様子も無く首を振る
お昼を食べた後の自由時間、俺達は練習をするべく再度集まっていた
「因みに昨日はどんな練習をしたの?」
「昨日はも1回竹馬やってたーーーーーーーー!!!今日は違うのが良い!!」
「…そう、ね。竹馬ばかりしてても仕方ないし、今日はスプーン落としでもしましょうか」
「そうだね~私スプーン落とし、苦手だから~」
「そうなんだ…じゃあ今日はスプーン落とししよっか?」
「「「うん」」」
という訳で今日はスプーン落としの練習となり、俺とりんちゃんが給食室にスプーンを借りに行き、メイちゃんとさつきちゃんが職員室にピンポン玉を借りに行く事なった
給食を作ってくれる女性に「スプーン落としの練習をするのでスプーンを貸してください」と俺が言うと、滅茶苦茶嬉しそうに磨いたばかりであろうキラッキラッとスプーンを貸してくれた
…俺、給食を作ってくれる女性の方には好かれていると思う
「ねぇりんちゃん」
「ん~?な~に~?」
「昨日、竹馬の練習をしたんだよね?」
「そだよ~」
「さつきちゃんって…竹馬の練習してた?」
「さつきちゃん?あ~…昨日はね~紅組のみんなも竹馬の練習してて1つしかなかったんだ~。あれそう言えばさつきちゃん、竹馬乗ってなかったかもーーー」
「…そっか」
「なになになに~?夜人くん、さつきちゃんが気になる感じ~?」
「…うんまぁ、そうだね。ちょっと気にかかる…かな?」
「っっ!!!」
そうだな…多分さつきちゃんって負けず嫌いなんだと思う
なまじっか委員長タイプだから…他人に自分の弱い所を見せられない様な…優等生タイプ的な?
…ん?何?りんちゃんが凄い事聞いた的な表情を浮かべてこっちを凝視してくる
…見んなよ…俺を…見んなよと一人で自虐ギャグを呟いてみるが、当然りんちゃんには通じない
「わ、わわわわわ私っ!!さ、さささ先にいってるね~!!!」
「え、ちょっ!!!」
りんちゃんは有無も言わさずにスタコラサッサと俺を放って駆け出していく
俺はそんな彼女に対して「ちょ、待てよっ!!」みたいな事しかいう事は出来なかった…
◆
◆
「僕とりんちゃんは一応スプーン4本借りてきたけど、ピンポン玉はどうだった?」
「は~い、ちゃ~んと4っつありますよ~」
「えぇ、先生も私たちが借りに来るのを見越していたみたいね」
「おぉ…」
俺は思わず感嘆の声を漏らしてしまう
という訳で、今回は全員でスプーン落としの練習が出来るのだ
「よっとと…よっ!!」
ピンポン玉を落とさずに走ると言えば簡単そうに聞こえるが…その実、全くそんな事は無い
吹けば飛ぶ様なピンポン玉を落とさない様に走るという安定感と速度が必要な非常に難解な競争となるのだっ!!
練習失くして成長なし!!
「……あぁ」
お察しの通り、超絶不器用な俺はピンポン玉が一歩進む毎に落ちてしまう
一歩で落ちるんだぜ?
俺の周りだけ台風でも発生しているのではないか?と勘ぐっても致し方ないと思う
(こりゃかなり練習が必要かなぁ…?)
自分に呆れてしまいながら天を仰ぎ見た後に、他の3人の進捗を確認してみると…
「えら~いえら~い」
メイちゃんは何の掛け声は分からないが、「えらいえらい」と言いながらピンポン玉を落とさずに進んで行っている
彼女の何が凄いって…ピンポン玉が少しも揺れてないんだよ!!
思わず師匠と呼びたくなる位に、ピンポン玉を一切揺らさない彼女を見て呆然とした
……ただ、彼女の速度は滅茶苦茶遅い、という事だけ補足しておこうと思う




