16:特別感のあるものってあるよね?
「おはよー!!」
次の日の朝、俺は例によって保育園に登園する
昨日は俺が居ない中で運動会の練習はどんな感じでやったのかな~?なんて思いながら、半分寝ている頭を覚醒させていく
月姉さんは朝からハイテンションに小学校へ登校していった
「絶対に問い詰めてやる」と言いながら鼻息荒く向かって行ったが…
月姉さん…美少女がガニ股で鼻息荒く登校したらダメだよ…
「夜くんお早う!!」
「夜人君、今日も元気そうね!!」
「お、おおおおお早うございますぅ…」
「おぉ夜人っ!!逃げずによく来たな!!」
「降臨っ!!降臨されたわっ!!」
皆に挨拶しながら自分の席に着く
…しかし最後から2番目の子は何を言っているんだろうね?
「夜人くんお早う!!」
「おはよう~ございます~」
「八剱くん、お早うございます」
「りんちゃん、メイちゃん、さつきちゃん、お早う」
席に座るや否やアスレチック競争に出る『新3人娘』が挨拶してくれる
多分昨日の練習内容でも教えてくれるのかな?と思っていたのだが…
「あのねあのねあのねっ!!今日の給食ゼリー!ゼリーが出るんだってっ!!」
「おぉ…ゼリー…良いね」
「わぁ~~夜人くんも~~ゼリー好きですかぁ~~??」
「普通のゼリーも好きだけど、給食のゼリーって特別感あるよね」
「そうね、悪い事をしている訳じゃないのに悪い事をしている様なドキドキ感みたいなのはあるわね」
「ゼリーっ!!夜人くんは何味が良い?!!私は私は…全部っ!!!」
「私は~~モモの入ったゼリーって~~おいしいと思うんですよ~~」
「私はパイナップルね。甘さと酸っぱさが混同したあの味はクセになるわ」
いや、君達めっちゃゼリーの話するやんっ?!!!
別の班なのに、わざわざ席の方まで来てくれたから昨日はどんな練習をしたか教えてくれると思うやん?!!
でもさっきからゼリーの話しかしてないやん?!!!
「ねぇねぇ夜人くんは?夜人くんは何ゼリーが好きっ?!!!」
「……サクランボかな?」
りんちゃんの純粋無垢は瞳でゼリーの質問をされてしまうと…ツッコめずに素直に答えてしまい、それにより朝礼まで終始ゼリーの話で時間は過ぎて行った
◆
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気が付けば既にお昼時…
朝礼から始まり、体操、学習を終えるとお昼ご飯まであっという間だった
「ゼリー!!ゼリー!!ゼリー!!」
俺の席とは1番遠い対角線上に席があるにも拘わらず、りんちゃんのゼリーコールが聞こえて来る
りんちゃんのテンションも最早天井を突き抜ける位だな…
俺も給食を貰いに順番に並び、今日の食事を貰う
因みに今日のメニューはミートパスタ、コッペバン、ドレッシングサラダ、ゼリーだ
「ゼリーーーーーーーーーーーー!!!」
最早りんちゃんのテンションは天元突破状態だな…
だがゼリー好きには今日のゼリーは普通に嬉しいかもしれない
ゼリーはゼリーでもフルーツゼリーだったのだ
りんちゃんだけではなく、メイちゃんやさつきちゃん、あづみちゃんや雪ちゃんや蓮華ちゃん
…ついでに零も目をキラキラさせてゼリーを見つめている
こういう所は保育園児らしくて可愛いよな
普段彼女たちのチートに舌を巻かされる俺は、その光景を見て少しだけほっこりした




