15:まさか…暴走……?
「月お姉ちゃん」
「な~に~?」
夕食後の憩いの時間後、俺は月姉さんを膝枕した体勢のまま声を掛けると何ともノンビリとした声で応答された
…俺が膝枕してるんだぜ?
5歳児が6歳児を膝枕してるのおかしくね?
この年齢ってさ、女の子の方が成長早いよね?
なのに何で俺が膝枕しているんだよっ?!!という気持ちが無くは無い
だがまぁ、精神年齢30歳の俺が純6歳の月姉さんに文句言う訳にもいかず、この様な体勢が日常的になってしまったのだ
因みに月姉さんとの『結婚を前提とした交際』は続いている
小学校に上がって、俺よりもカッコいい男の子や気が合う男の子が出来たと言われるのではないかと思ってはいたのだが、彼女曰く「夜人くんよりもカッコ良くて優しくて素敵な男はこの世に存在しない!!」のだそうだ…
パトラッシュ…このホッとした様な申し訳ない様なモヤモヤとした気持ちが何なのか、僕には分からないよ…
「今日ね、道場に行ってきたんだけどね」
「ふ~ん」
「それで棗さんに抱き着かれたんだけどね」
「ふ~…ん゛っ?!!!ん゛ん゛っ?!!」
俺がそこまで言った瞬間、月姉さんは俺の膝から離れて戦慄した様な表情を浮かべる
だが俺が言いたい所はそこじゃない
「で、もう1回抱き着かれそうになったんだけど、麗お姉ちゃんが止めてくれた」
「……もう、1回……?」
「その時に麗お姉ちゃんに最初はどうして止めてくれなかったの?って聞いたら、月お姉ちゃんに聞いてって言われたんだけど…なんで?」
「もう…もう1回?抱き着くのが…もう、1回??なんで??なんで抱き着くの??何で?何で?何で抱き着かれてるの…?おかしい…おかしいよね?」
あちゃぁ…月姉さんが自分の中に入り込んでしまった…
たま~に、たま~にではあるが月姉さんは自分の世界に入り込む時がある
そういう時は俺や母さんが何か言っても集中しているからなのか、一切こちらの言葉に耳を貸さない
俺はコレを【新月姉さん】と呼んで、内心笑っている
だけどそっか…今の月姉さんの様子を見ると、月姉さんも明確な理由を知らないという事だろうか?
ん?だったら何で麗さんは月姉さんに聞いてくれと言ってきたんだ?
麗さんはもう帰っているし、真相を聞く事が出来ない
そんな事を考えていると…正直面倒くさくなってくる
まぁ、別に実害がある訳じゃないし、分かった時に分かれば良っかと割り切る事にした
「おかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしいおかしい…」
月姉さんは未だ【新月姉さん】状態から戻って来ていないらしい…
俺はそんな月姉さんを放っておいて、洗濯物を畳んでいる母さんを手伝うべくその場を離れた
…因みに俺が離れた後も【新月姉さん】はずっと「なんで?」と「おかしい?」「抱き着く?」という言葉を数十分繰り返していたという事だけはお伝えしておこうと思う
いつも有難う御座います!!
ジャンル別日間ランキング第7位で頑張ってます!!
本日2話の更新なのですが…ココからストック枯渇です…
取り敢えず明日は1話上げますがそれ以降は未定です
申し訳ございませんが、そんな本作ですが今後も何卒宜しくお願い致します




