42:違う意味で精神が削られる
「やっちゃったぁぁぁぁぁぁ・・・・」
麗さんが運転する車の後部座席で俺は思わずそう呟いてしまった
まぁそりゃそうなるよ・・・
精神年齢30歳手前が3歳児にガチ切れして手を出したんだぜ?
前世であったらDV一直線案件だ
間違った事をしたとは思ってないし、後悔もしてはいない
でも反省しないかと言われれば反省せざるを得ない案件だ
「手を出した方が悪いもんなぁ・・・」
前世の親が口酸っぱく俺に言っていた言葉である
全てに於いて正しいとは思わないが民主主義の国ではある程度的を得ている言葉でもある
「ですが雪ちゃん様の事は取り敢えず守れましたよ」
「そうだけど・・・」
俺の独り言を聞いて運転席から麗さんがフォローしてくれる
そうなんだけどそうでもない・・・何かモヤモヤとした気分になる
「夜人様と零様だけではなく、相手の親御様も巻き込んだのは良い手でした」
「そうね。雪ちゃんが本当に可愛いのであれば、アチラさんの意識も少しは変わるでしょう」
「・・・・・・」
まぁ、そんな腹黒い(?)気持ちが無かったか?と聞かれればあった・・・と思う
正直、苛立った感情が強すぎてそこら辺が曖昧ではあるのだが・・・
「・・・それより私は雪ちゃんが夜人くんを好きになってないかが心配」
「「それは諦めなさい」ましょう」
「・・・、むぅ」
雪ちゃんが何だって?俺を好きになる?
ライクじゃなくって?ラヴ的な?
ハハッ!ないない
・・・ライク位には居て欲しいが、別にロリでは無い俺はラヴは求めていない
それに、零くんの事を『お義兄さん』って呼ばなきゃダメなんでしょ?
無いな・・・うん、無いわ・・・
「さて、と。夜人きゅんも多少は反省しているみたいだから、今日は皆でちょっと良い物を食べましょうか!!」
「「!!!」」
「勿論、今日は麗さんも一緒に、ね」
「っ?!私も、ですか?!」
「えぇ良かったら、だけど。今日は私、夜人きゅんに告白されたし気分がとっても良いからね!!」
「「告白っ?!!」」
してないっ!!
絶対してないっ!!!
美人さんだとは思っているけど、俺が年相応なら分からないけど、実の親に告白はしない!!
それは最早黒歴史になること確定事項である!!
「あら?さっき、怒るお母さんも褒めるお母さんも好きって言ってたわ」
「あ、あれは・・・お母さんとして・・・」
あ・・・あれ分かってる顔だわ
というかナチュラルに俺の脳内を読まないで欲しいわ
「違うもんっ!!夜人くんが好きなのは私だもん!!お母さんじゃないもん!!」
「ぐぇっ!!」
俺の首根っこを掴んで母さんを睨む天使・・・
自分が首根っこを捕まれていなければ微笑ましく思えるのだが・・・残念ながら今の俺は苦しいという感情以外は・・・いや、天使だな・・・ちょっとだけしか無かった
「じゃあ、月にはご飯を食べながら第一夫人としての嗜みを教えてあげましょう。夜人きゅんは・・・家に帰ったらお説教しますからね」
「・・・はい」
まぁ、俺の心情を察しての事だと思うので甘んじて受け入れる
と言うか・・・お母さん、俺の心は本当に読めていませんよね?!!!
そんな事を思いながら夕食に向かった




