18:いつもと違う様な日常って何かドギマギする
「皆、おはよう」
「「「「おはよう夜人くん!!」」」」
使徒(阿多地女史)襲来から3日後の月曜日、いつも通り教室に入って挨拶をするとほぼクラス全員が挨拶を返してくれる
うん、こういう雰囲気は我らがA組の良い所だ
コール&レスポンスというか打てば響くというか…雰囲気は良いね!!
「夜人くんお早う!!」
「あづみちゃん、おはよう」
「夜くん、君は今日も輝いているね!!」
「はははそうかな?蓮華ちゃんも相変わらずカッコ可愛いよ」
「……おはよう」
「沙月ちゃんお早う」
俺が席につくと同時にあづみちゃん達が声を掛けてくれる
まぁ、沙月ちゃんは思う事があるのだろう…以前に比べるとよそよそしい感じではあるのだが…
それはそれで仕方ないと思う
彼女を責めるつもりは勿論ないし、自分を卑下する事も無い
どう考えても彼女たちを『異性』として見る事が出来なかったのは前世の俺の価値観からすれば致し方ないのだ
「もう少しで期末だね!!夜人くんは大丈夫そう?」
「期末テストは零以上、公理くん未満じゃないかなぁ~…」
「だったら2学期もA組で間違いなさそうだね」
「テスト位は夜人くんに勝ちたいからね。僕も期末の準備は怠ったりしないよ」
「あ、公理くんお早う」
そう公理くんに挨拶しながら心の中で白旗をあげる
顔も良いし、性格も良い、その上でテストまで負けたら…負け確じゃん!!
正直、主席自体には興味は無いが…やるからには万全を期すのが俺のポリシーだ
「何やかんや言うたかて男がガチで勝負出来る機会なんかあんまし無いからなぁ~。ワイもテッペン狙うで~!!」
「ハハハハ…」
剣真も頭が良いみたいだし、勿論イケメンだ
性格も気さくで接しやすいし女子に対しても自然に話している所を見ると、やはり人気があるだろうなぁ
「ところで零はまだ来てへんの?」
「ん…?本当だ」
「珍しいね」
剣真に問われて零の机の方を見るが…カバンが机に置かれていない
公理くんの言う通り、零の登校時間はかなり早い事から考えるに珍しい事だ
「零の奴、風邪でも引いてもたんか?」
「小学校時代でも風邪なんか引かなかったからねぇ…どちらかと言えば寝坊じゃないかな?」
「そうね。確かに零くんが風邪を引いているイメージって無いわよね」
「彼の場合は雪ちゃんが風邪を引いて、付きっきりで看病している可能性の方が高いと思うよ」
蓮華ちゃんの言う通り、雪ちゃんが熱を出して離れたがらずに付きっきりで看病している可能性は否定できない
と言うよりはそれしかないという様な気がするなぁ…
ーーーガラッーーー
「…………」
ふと静かになった瞬間、教室の扉が徐に開く音がする
何気なく音のする方へ視線を向けると…そこには明らかに元気が無い…零が俯きながら立っていた
「「「「「…………」」」」」
いつもの雰囲気とは明らかに異なる零の姿に…俺だけでは無く、クラス全体が声を掛ける事を躊躇ってしまっている
「…………」
そして零は…ツカツカと自分の机の前まで向かい、カバンを置くと同時に机に突っ伏してしまった
「お、おいおいおい…零どないしてん?えらい不機嫌やんけ?」
「………」
「れ、零くん。き、今日はいつもと何か雰囲気ちがうね?雪ちゃんとケンカでもしちゃった?」
「………」
あづみちゃんの『雪ちゃん』という単語に対してのみ僅かであるが反応していたものの、相変わらず何も言いそうにない
どうやら雪ちゃん関連で何かがあったと容易に推測できる
「零、何かあった?良かったら相談に乗るよ」
「っっっ!!」
「「「零っ?!!!」」」
俺がそう声を掛けた瞬間、零は勢いよく立ち上がって胸倉を掴みかかってくる
拳を握りしめて今にも殴りかかって来そうな雰囲気を醸し出してきた
「フーー…フーー…よ、夜人…お、お前の所為で…お前の所為でっ!!!」
目が血走った表情で、零は殴りかかるのを我慢する様にそう呟き…そして俺の胸倉を離し、何も言わずに再度机に突っ伏した




