3:役職者になんてなると執筆頻度が下がるじゃないかぁぁぁぁぁーーーー!!!
「ふむ…」
放課後に美術部へ顔を出し、目の前の石膏を模写しながら唐突に思い至った
そう言えば月姉さんと2人きりで何処かへ出かけた事は無かったな、と
保育園や小学校時代は母さんや麗さんが必ず同行していたのだから当然なのだが…
正式(?)に婚約者になったのだからデート位はするべきじゃないだろうか?
まぁ、この世界で中学生の恋人同士がデートするのが当然なのかは知らないが、前世では中学生でデートしている子はちょくちょく居た
(まぁ…勝手に走って非常識だと思われたくないし、先ずは月姉さんに相談だな)
当然ながら一緒に住んでいる為、前世の様な甘酸っぱい感じがあるのかは不明だが…
それでもデートというモノをするのは大切なのではなかろうか?
「ヨルヨル~!!何を悩んでんのっ?!!」
ーーードーーンーーー
「おわっ!!!」
そんな事を考えていると棗さんが俺の背中に突貫してきた
危うくキャンバスに頭を突っ込むところだったぞ…
「棗さん、危ないよ」
「いやぁ~ヨルヨルが模写に悩んでるのかなと思ってさ~!!!確かに全体のバランスを考えながら模写するのって難しいよね!!!」
「ん?いや、模写は今のところ良い感じだよ!!
俺は首を傾けながらそう答え、自分が描いた絵を再度確認する
石膏のジグザグもより鋭利に描けてるし、鼻の部分の曲線美なんかは石膏よりも芸術的だ
どこからどう見てもかなり良い感じだと思うのだが?
「…………」
俺がそんな感想を心の中で呟きながら棗さんの方へ向き直すと、何故か彼女の表情は固まっている
芸術肌の棗さん的には許せない部分でもあったのだろうか?
そんな事を思いながら、彼女の言葉を待つものの、中々感想が出てこない
そうなると一旦は彼女の事は置いておくとして、月姉さんと何処に行くのかを考えるのもアリなんじゃなかろうか?
(水族館、遊園地、ショッピング…前世で中学生だった頃は何処に行っていたかな…?)
月姉さんだったらデートというだけで喜んでもらえるのは容易に想像できる
できるが…初めてのデートなのだから思う存分喜ばせてあげたいなとも思うのだ
姉さんの趣味、予算、日程…考えれば考える程にドツボに嵌まってしまいそうになるが…遅かれ早かれ考えなければならないことなのだ
(姉さんの部屋って、確かぬいぐるみが何個かあったよな?)
そういえば姉さんは可愛い物が好きだ
ベッドの傍にはメチャクチャ大きいファンシーな熊のぬいぐるみが置かれているし、可愛い系のデートスポットなんかは喜ぶかもしれない
そうと決まれば、可愛い系のイベントがやっている所を探して今晩にでも姉さんを誘う事にしよう
そんな結論がでたと同時に、棗さんが少しばかり動き出した
どうやら、意識が回復したのかな?
「よ、ヨルヨル…。そ、その…」
「棗さん、どうしたの?」
「そ、その…模写って意味…知ってるかな?」
やっと復活した棗さんに、そんな一言を投げかけられた
う~ん…解せぬ




