2:学校でも職場でも、席替えの肝は先生(上司)の目に届きにくい事。
「夜人!!どうやら俺達の絆は簡単には断ち切れないみたいだな!!」
…お伝えします
私の右隣にいる零がドヤ顔で俺に話しかけてきます
内容が内容なだけに、この世界の女性に誤解されそうになるのでやめて頂きたい
「せやけどど真ん中に夜人を配置したら、ちょっとしたヒーローの並びみたいなるなぁ~。知っとるか?バンプジャーとかそうやったやん?」
「おぉ!!剣真もバンプジャーを観ていたのか?!!あれは俺様のマイバイブルと言っても過言ではないぞ!!」
「零もか?!!ワイもバンプジャー世代やで!!あれだけは毎週早起き頑張って見とったな~!!」
……お知らせします
俺の左隣に位置する剣真が、俺を飛び越えて零とバンプジャーの話で盛り上がっています
バンプジャー…久しぶりに聞いたわ…
今回の中間考査の成績順で言うと、公理くん→剣真→俺→零→創くんの順だったらしい
公理くんが頭良いのは予想の範囲内だったのだが…まさか剣真にまで負けるとは思わなかった
これは次の期末考査は本腰を入れるべきだろう
…月姉さんなら怒らないだろうが、俺としては彼女に頭が悪いとは思われたくない
「よ、夜人くん…。そ、その…宜しくね」
そして俺の前の席はあづみちゃんだった
まぁ、彼女や蓮華ちゃん、沙月ちゃんは俺達の席に近くなる事は予想範囲内だったしな…
因みにあづみちゃんが3位、蓮華ちゃんが5位で沙月ちゃんは…9位みたいだ
沙月ちゃんが此処まで順位を落とすのを見るのは初めてかもしれないなぁ…
「夜人くん?」
「あ、あぁゴメンね!こちらこそ宜しくね。あづみちゃんってクラスで3位でしょ?…凄いね」
因みに俺は全クラス男子内では3位だが、学年別で言うと10位だったりする
……予想通り、前世チートが薄れてきてるなぁ~
「有難う。でも…学年別だと5位だからもっと頑張らなくちゃ…」
「へぇ…他のクラスの子が頑張ったのかな?」
「に…2位?わ、私が…2位…????」
そんな事を話していると左手側から絞り出す様な声が聞こえる
声が聞こえた方へ視線を移すと、無花果さんが順位票を凝視しながらワナワナと震えている
彼女が座っているのは一番窓際の席…詰まりはクラス内では1位の筈だ
にも拘わらず2位だという事は、他のクラスの女子が健闘したのだろうか?
「あ」
そうだ!!
公理くんがいるじゃないか?!!
彼の頭の良さなら全学年合わせて1位だったとしても何もおかしくはない
そんな考えに至ると同時に自然と公理くんの方へ視線を向ける
「……」
すると彼は俺と視線が合うと同時に指を鼻先につけて「シーーー」という様な表情を浮かべた
イケメンだから絵になる所が、また腹立つわ……
『どうやら公理くんが1番だったみたいね』
『…うん』
『私も負けない様に頑張らなくっちゃ……』
あづみちゃんも俺と同じ結論に至り、公理くんの方を見ていたらしくて公理くんの「シーーー」を目撃したみたいだ
彼女の闘争心にも火がついたらしいな
「バンプジャーの神回いうたらアドレナリンとの対決に決まってるやろ?!」
「馬鹿者!!ステロイドンとの最終決戦に勝るものはないわ!!」
「か~!!分かってない!!それは分かってないで!!」
「お前こそ!!」
そんなあづみちゃんとは違い、剣真と零のどうでも良いやりとりに挟まれて何とも言えない感情が湧き上がってきた俺は悪くない筈だ…




