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【男女比1:10】もしも俺が転生したら…【俺に優しい世界】  作者: ばてぃ~
(閑章)【八剱夜人誕生秘話編】
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5:前世の最終日③


「ぷげっっ!!!」


死角からの渾身のタックルにより、男は身体が宙い浮いて吹っ飛んでいった

幸いにして、男が持っていたナイフが男に刺さるという様な事も無さそうで「ううう…」と唸っているだけだった


(こんな時でも過剰防衛の量的過剰を懸念しなければならないのはマジでこの国の法律終わってるな…)


そんな事を思いながら、尻餅をついて泣きはらした表情を浮かべる女の子の元へ駆け寄った


「君、大丈夫っ?!!!」


「………」


先程のショックが抜けきっていないのだろう…ある意味ではそれが当然だ

だが彼女は声を出す事は出来ないみたいだが、無言ながら必死に首を縦に振って頷く


「立てるっ?!!」


「………」


俺がそう言うと怯えた表情を浮かべながら首を横に振る

どうやらショックの余りに腰が抜けたのだろう


「チッ!!」


理不尽だとは思いながらも思わず舌打ちしてしまう

取り敢えず大通りに向かい大声を出せばどうにかなるかと思っているが…

彼女を置いてそんな事をすればどうなるか分かった物じゃない


「ご、ごめ…」


彼女が涙を流しながら無理に謝罪の言葉を口に出そうとしているのを見てハッとする

この子は被害者であり、決して彼女が悪い訳では無いのだ


「こっちこそゴメンね!!じゃあ取り敢えず抱きかかえて逃げるけど良いかな?」


「………」


俺がそう言って提案すると、再度首を縦に振って頷いてきた

酒は飲んでほろ酔い気味だったが、とっくに酔いは覚めている

彼女を抱きかかえようと膝をつこうとしたその瞬間に「…ぶないっ!!」彼女の声が聞こえ思わず振り返っってしまった




















ーーーーグサッーーーー













「ぐっ!!!!」


その直後、腹部に異物が入ってきた様な感覚と同時に強烈な痛みが全身を巡る

酒を飲んだら痛みに対して鈍くなるが、それでも充分に痛いという感情が脳を支配するレベルだ


「だ、だだだ誰だよぉぉぉーーー!!お、おおおお俺たちのじゃ、邪魔をするなよぉぉぉーーー!!!」


「あ゛ぁ゛っ!!!」


俺を刺した男はそう叫びながら、再度俺の腹部へナイフを刺してきた

痛い痛い痛い痛いっ!!!!

脳の処理が追い付かない位に痛い!!!!

そんな痛みの中、がむしゃらに男の方へ体重を掛けて2人揃って路地に転がった


「だ、誰かを…誰かを呼んでくれーーーーー!!!」


彼女の顔を見る事も出来ず、俺はそこで尻餅をついているであろう女の子に向かって力の限り叫び請う

ハッキリいって俺の下でまだ暴れる男に、これ以上刺されない為に必死に抗っている為に余裕がない


「は、早くっっ!!!早く誰かをっ!!」


「じ、じじじ邪魔するなよぉぉぉ!!」


馬乗りになりながら格闘していると、未だに怯えた表情を浮かべる女の子が視界の端に写る

恐怖に駆られる心情は理解できなくもないが、それ以上に痛みと焦燥感に後押しされてしまい…


「行けっっ!!!!!」


大声でそう叫び、男の持つナイフの軌道を変えて奴の腿へ刺した


「あ゛ぁ゛あ゛ぁ゛ーーーーーーーーーーーーー!!!!」


どうやら火事場の馬鹿力というものは本当にあるらしい…

俺の身体の下で男が暴れた反動で突き飛ばされてしまう


「…………」


血を流し過ぎたのか、臓器を痛めてしまったのか…意識が朦朧としてくる…


(…………よし)


視界がぼやける俺が見た最後に見た光景は…あの女の子が大通りに走り出している後ろ姿だった…

目を瞑りながら、先輩に言われた言葉が脳裏に甦ってくる


(先輩…俺はまぁ…そこそこ幸せだったんだと思いますよ…)


頭が朦朧としているからなのか…そんな弱気な考えが頭をよぎり、俺は意識を手放した…

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