32:帰宅するのが億劫になる事は社会人になってもあるものだZO!!
「皆さん、2泊3日の野外研修お疲れ様でした。本日はこれで解散しますが道中気を付けて帰ってください。明日明後日は土日となりますので当然お休みです。月曜日は通常通り授業を行いますので忘れない様に。それでは解散」
「「「「「有難う御座いました」」」」」」
衝撃の一夜が明けて、俺は今学校に戻ってきた
これまでの事やこれからの事を考えると色々と複雑な心境になる
ただ…この世界で生きていく以上は何処かで変わる必要性があった訳なのは理解出来る
それがたまたま昨日だったというだけだ…うん、そうだ…
オソカレハヤカレだよね…
「夜くん、途中まで一緒に帰ろうか!!」
「夜人くん!私も一緒に帰るよ!!」
「わ、私と…お、お兄ちゃんも…あうぅぅ…」
「……私達も途中まで一緒に帰るわ」
昨晩の件があってから蓮華ちゃんやあづみちゃん、雪ちゃんから積極的に絡んでくる
これ自体は別に問題ないと思う
俺自身も彼女たちをこれまでと違う視点でもっと見ようと思っているし、そもそも仲が良かった訳だからね
沙月ちゃんが少し距離を空けてしまっているのも…まぁ仕方ない
本来、彼女たちの立場から考えれば当然の反応だろう
何だったら俺を罵ったり軽蔑したりしたって当然の反応だと思える
彼女達には酷な事をした自覚はあるが…それでも俺自身はそんな簡単に割り切る事が出来なかったのだから仕方ない
それは今も同様で…これからは彼女達自身をしっかりと見るつもりだが、スイッチのオンオフみたいに視点がそう簡単に変わる訳でも無いのだ
俺が今現在、恐れている事は彼女たちの事じゃない…
彼女たちをしっかりと見る上で避けては通れないイベントがあ「はいどーーーーーーーーーーーーーーん!!!!」
「ゲフッ!!!!」
今夜にでも遭遇せざるを得ないイベントに頭を悩まされていると、突如激しい衝撃と共に身体が一瞬宙に舞った
「ヨルヨルおっそいよ~!!学校終わってからもず~っと待ってたんだから!!嬉しい?ね、嬉しい?!」
「な、棗さん…。た、ただいま」
受けた衝撃のダメージを殺しきれずに内心では悶えながらも、彼女に対しそう言った
「~~~~!!!!!」
すると棗さんは非常に分かり易く顔を真っ赤にしだした
え…?こう言うのってフィクションじゃなく現実でもあるんだなぁ~…
「い、良いね良いね良いね!!!ヨルヨルにただいまって言って貰えるなんて仮想結婚生活と一緒じゃん?!というか結婚してる?!私、ヨルヨルと結婚しちゃってるんじゃない?!!」
「いやしてないから!!」
そう言いながら棗さんの脳天に軽くチョップするも…どうも現実世界へ帰ってこない
いやぁ…どうしたものか…
「……先輩、それ位でお願いします。夜くんも疲れてますから」
ゾワッっと背筋に寒気が走った瞬間にそんな声が後方から聞こえて思わず振り返る
するとそこにはあづみちゃん達が笑顔で立っていた
いや…笑顔なんだけど…ちょっと何か怖いんですけど…
「ふ~~ん……。そんな事言っちゃうんだぁ~」
「事実は事実ですから」
そんな只ならぬ雰囲気を察してなのか…棗さんも現実世界に戻って来たらしい
棗さん、お帰り……
「君たちはヨルヨルと一緒に居たから良いだろうけど…私たちはヨルヨル成分枯渇で限界が近かったからね。ちょっとのスキンシップ位は許してほしいものだけどね~~?」
「それと夜くんが疲れている事は別の問題です。……私たち?」
俺と同じタイミングでどうやら蓮華ちゃんも棗さんの言い方に引っ掛かりを覚えたみたいだ
ニヤアァァと笑う棗さんの表情を見て、その言葉の意味を察するよりも早く…「夜人くん」…聞きなれた声が耳に届いた




