21:表裏一体(聖王⇔魔王 的な)
「夜人オッス!!……ってどうした?!」
「ん?…あぁ零か…おはよう…」
翌朝、若干考えすぎて寝不足気味な俺はフラフラとリビングの方へ向かって行った
「よ、夜人…どうした?か、かなり疲れた様な顔をしているぞ?」
「ん…そう?大丈夫大丈夫、気分はナチュラルハイだからさ」
「なんか言動も可笑しいぞ?!!」
零も心配される程の顔って…どんなに疲労感漂ってんだよ、俺
だが、零の妹である雪ちゃんの事もある手前、彼に心配される事自体が今の俺にはクるんだよなぁ…
ごめんよ、零…
「お早うさ~ん…って、夜人エグイ顔しとるなぁ~!!イケメンが台無しやで」
「え、そんなに…?」
「せやな、白馬の王子様が闇の魔皇帝になった様な…あれ?それでもイケメンやな…腹立つわぁ~」
「褒められてるのか貶されてるのか分からないよ…」
剣真の軽口に少しだけ癒される
あぁ…俺って今心が病んでるのかもしれないなぁ~…
「ところで今日は朝食を食べてからは何をするんだ?」
「零はホンマに人の話を聞かんなぁ~…。これから朝食食うて、食休みした後にオリエンテーリングや。んで休憩してから晩飯準備、ほんでキャンプファイヤーってな感じやな」
キャンプファイヤーと聞いてビクッ!!となる…
いやマジで…欠席とかは出来ないかな…
ほら、腹痛とかそんな感じでロッジに籠ってるとかそんな感じでさ…
「ただ罪悪感がなぁ~…」
「ん、罪悪感がどないしたんや?」
思わず口をついてでてしまった言葉に剣真が反応する
いやまぁ、藁にも縋る気持ちであるが故、ちょっと相談に乗ってもらうとするか
◆
「………という様な感じなんだけど」
「ほ~ん…夜人も難儀な性格しとんなぁ~」
俺の相談を聞いていた剣真と序に零は俺の相談を興味深そうに聞いていた
って言うか、お前らも確実に声が掛かるぞ?
「でもさ、2人だって確実に女子から声が掛かるだろ?」
「言うたかてな~…誘われたら踊る位はするけど、「付き合ったりはせんけどそれで良えなら」って言うなぁ~」
「そうだな。俺様も踊る事自体は気にしないが、流石に出会って1ヶ月も経たないのに付き合うとかは考えられん」
「だよねぇ~…」
確かに剣真や零の性格を省みるとそんな感じで女子には良いそうだ
これが一般的な男子であれば、「俺様が貴様程度と踊るだと?!ふざけるな!!」とか言いそうだけどな
まぁ、だからこそ踊れば付き合えるといおうジンクスが成り立つのかもね
「せやな、零の言う通りワイも流石に付き合うとかは考えられん。せやけど夜人の場合は付き合いも長いし、そんな感じで良ぇんか?とも思ってまうなぁ…」
「夜人、雪は多分誘うぞ。あの大人しい雪が勇気を振り縛って誘うと思うぞ」
止めろ…その魔法は俺に効きすぎる…
確かに雪ちゃんから頑張って誘って貰ったとしたら…断れない気がする
と言うか、あづみちゃんや蓮華ちゃん、沙月ちゃんから誘われても同様に断れないだろう…
(結局は俺の心構えと言うか…この先入観をどうにかしなければならないという事だろうなぁ…)
まぁ…結局の所、分かっちゃいたけれども其処に回帰してしまうのだ
俺の精神年齢が五十路になった時、彼女たちは20代だ
ちゃんと【女性】として扱う事は出来るだろうが、その時に俺が恋愛関係にまで結びつけることが出来るのかは別の問題だ
そういう意味では月姉さんも同様だ
彼女の場合はどうしても姉という意識があり、本当の意味で恋愛関係にまで発展できるかも不透明だ
まぁ…姉さんの場合は半無理矢理に婚約者になったのだから、そのまま流れるまま行きつきそうな気もしなくもないが…
何処かで自分の中で区切りをつけていかないとダメなのは気づいていたが…とまた苦悩に頭を悩ませるのだった…




