13:満腹で動けなくても気になる事ってあるよね
「ふぃ~…食った食った」
「そうだね。どうやらA組女子は料理が上手な人が多いらしい」
「…満腹」
「あれ?零どうしたの」
「…………今は喋られん」
夕飯が終わった俺達はロッジに戻り、リビングの床やソファに寝そべっていた
ていうかこのリビングって全員が寝そべってもまだ広いんだよな
つくづくロッジっていう造りじゃないわ…
「いや~しかし、剛山が3番のカレーに手ぇ挙げたんは焦ったわ~」
「鳥蝶はそこら辺も考えていたのかい?」
「そらそうや。エンターテイナーは普通、スタートとゴールを見定めてどうやって動くか考えるもんやねん。皆晩飯に参加したんやたら自分のカレーの味は分かるやろ?女子かて男子にカレーの好みを聞かへん訳ないやん?せやから上手い事皆頑張った!!みたいな感じになる思たんやけどな~…」
「確かに…C組は何ともいたたまれない空気になってたしね」
「剛山は味オンチ」
「………うっぷ」
全員が全員、あの空気には少し参っていたのだろう
清々しい終わり方じゃなくて、何とも言い難い終わり方で締め括られちゃったしね…
「ところで今日はコレで終わりだっけ?」
「そうだね、初日という事も有って今日はコレで終了のはずだよ。明日はオリエンテーションとキャンプファイヤーがあるのかな?」
「…うげぇぇぇ」
「こら創、そんな後ろ向きな感じでどないすんねん?!」
「面倒」
「ははは、まぁまぁ…。今は暑くもないしハイキングだと思えば気持ちいいと思うよ」
「夜人はハイキング…好き?」
「身体を動かす事は嫌いじゃないからね。毎日は嫌だけど偶には良いかなって」
「むぅ…裏切り者」
「いや、裏切ってないからね?!」
「うっぷ」
ーーーードンドンドンーーー
そんな感じでノンビリと男子トーク(?)を繰り広げていると、玄関の扉を誰かがノックした音が聞こえた
「おや、こんな時間に誰か来たのかな?」
「あれちゃうか?女子が遊びに来たんちゃうか?」
「いや、それは無理だろう。万が一バレたら停学案件だろうしね」
「え?!そんな事で停学になるの?!!」
前世の俺、ピンチじゃね?!
そんな簡単に停学とかなっちゃうの?!!
「そりゃなるよ。男子が女子を誘ったのならばいざ知らず、女子からの来訪を認めてしまえば全女子生徒がやってくるだろうからね。そうなるとこの学校の男子が他の男子よりもマシとは言え怒る人や不安に思う人だって出て来るだろう?」
「成程…」
ーーードンドンドンーーー
「そう考えると、出ない方が良いのかな?」
「どうだろうね?もしかしたら先生かもしれないよ」
「せやけど、此処ってTVモニターホンあるやん。わざわざノックする必要なくないか?」
「…お化け?」
確かに、このロッジ(?)はTVモニターホンが付いている
その事を考えると確かに玄関扉をノックしてくるのは怪しいな…
「どうしようか?無視しておく?」
「まぁそれが最善やとは思うで。誰が来たんかは気になるけどな」
「お化け怖い」
「俺も出ないのが無難だとは思う。だけど俺もやっぱり気になるかなぁ…」
「うっぷ」
ーーードンドンドンーーー
そんな事を話していると再度ノックされる音が聞こえる
まぁ…誰かは分からないが、出ないという選択肢はないかな
無視して出なくても、それはそれで誰だったんだって気になるしな…
「ちょっと俺が出るよ」
「良ぇんか?ほな夜人頼むわ~」
「夜人くん、ゴメンね」
「…がんば」
「うっぷ…」
まぁ腹が重たい今の状況的に面倒な気持ちが無い訳ではないが…折角誰かがノックしてくれているのだ
どんな用件であれ、扉は開けた方が良いだろう
「はいはい、どちら様ですか?」
「……貴様に話がある」
ジャイア〇かぁ~…
俺は一瞬で億劫な気持ちになってしまった…




