10:キャッキャウフフ回?
「ほ~ん…黒山羊さんは野菜切るの上手いなぁ~!!」
「そ、そうかな?や、やっぱり旦那様には美味しい料理を出してあげたいし…/////」
「中学生でそこまで考えられたら大したもんや!!」
「ちょ、鳥蝶くん!お、お肉はこれ位の大きさで大丈夫?」
「どれどれ…おっ!!めちゃくちゃ良い感じやで!バッチリやな!!」
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「フハハハハハ!!!味見役ならば俺様に任せるが良い!!」
「わ、れ、零くん!!これ位だったらどう?」
「どれどれ………」
「(ゴクッ)」
「かっ!!…お、俺様的にはちょ、丁度いいが…奴らは甘党な気がするからな…も、もう少し辛味をお、抑えた方が良いと思うぞ!!」
「了解です!!」
「と、ところで水は無いか?」
「(辛いのを我慢してる零くんが可愛すぎる!!!)」
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「ここでルーにはココナッツミルクを入れてみようか」
「ココナッツミルク?」
「そうだよ。ルーがまろやかになり、エスニックな匂いを醸し出すからね。意外と料理人の人でも使用するみたいだよ」
「「「「へぇ~!!!」」」」
「朝焼くん、ルーはどれ位煮込めば良いのかしら?」
「煮込めば煮込むだけ素材の旨味成分がルーと混ざり合うから無花果さんの思う通りで良いよ」
「そう…じゃあ具材は溶けきるまで煮込むわ」
「流石にそれには時間が足りないかなぁ…」
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「ふれ~ふれ~」
「うん頑張るね!!因みに創くんはどんなカレーが好き?」
「……辛いやつ」
「そうなの?!ハバネロとか大丈夫?」
「好物」
「そうなんだ…皆はどう?」
「「「「だ、大丈夫!!!」」」」
「じゃあハバネロとかも入れちゃおっか…。あ、でも他の男子が美味しいと思うかは分からないよ」
「班の皆が美味しいと思うならそれがいい」
「も、もうそんな事言って!!じゃ、じゃあ入れちゃうね!!!」
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「夜人くん、お米の状態はどう?」
「あ、沙月ちゃん。うん、今のところは多分良い感じだと思うよ」
俺の班では、俺が飯盒役で女子生徒の皆にはルーの係をお願いしている
まだ飯盒を開けていないから何とも言えないが、火の勢い的にも中々いい感じなのでは無いだろうか?
「火を熾したり、お米番をして貰ってゴメンね」
「いやいや、意外と火を眺めながら飯盒を見ているのも楽しいもんだよ」
うん、コレは本当
何かソロキャンで焚火を眺めている様な気分になって心が落ち着くんだよね
そういう意味ではやっぱ、俺は精神年齢四十路なんだろうなぁ…
「それにしてもやっぱりカレーだったわね」
「だねぇ~。まぁ定番と言えば定番だからね、予想の範囲内ではあるよね」
「だけど晩御飯勝負なんて鳥蝶くんも面白い事を考えるわね」
「だね。でも剣真的には勝負はオマケで、本質は皆で楽しく作業する事にあったと思うなぁ」
ああ見えて剣真は気遣い上手だ
多分クラスの距離感をもう少し近づけたかったんじゃないかな?
まぁ出会って1ヶ月も経ってないから断言はできないが、普段の言動的にもそんな感じがする
「へぇ…夜人くんってそういう察する能力あるのね」
「え?!俺的には結構そういう能力は持ってるつもりだったんだけど?!」
「残念だけど、私もあづみちゃん達も皆無だと思っていたわ」
「嘘っ?!!!え、何で?!!!」
「さぁ何でかしら?……それこそ自分で考えて察しなさいね」
驚愕の事実を告げられて動揺する俺に向かって、沙月ちゃんは微笑みながら皆の元へ戻っていった
察する能力が低い、か…正直、心あたりが無い訳じゃない
多分、彼女たちの初恋の様な好意を適度な距離で避けている事に対しての言動なんだろう
(でもなぁ…)
無駄に前世の記憶を持っている分、どうしても彼女たちをそう言った目で見ることが出来ない自分がいるのだ
俺はユラユラ揺れる火を眺めながら、暫しどうするべきか頭を悩ませるのだった




