9:世は戦乱の時代
「なんや夜人、またファンでも増やしたんかいな?」
「…タラシ?」
「いやいや、そんなんじゃないからね?」
源さん(しず〇ちゃん)と別れた俺はA組男子の元へ戻っていった
今から約1時間は男女ともに休息時間だ
本来男子はロッジ待機で女子はテント設営だったのだ
女子にだって休息時間は当然必要だろうしね
「もうちょいで晩飯作るんやなぁ…。今日の晩飯なんやろ?」
「野外学校での晩御飯と言えばカレーじゃないかな?」
「カレー?!!カレーは俺様の好物だぞ!!創はどうだ?!」
「……好き」
ーーーーーざわざわざわざわーーーーー
零と創がカレー好きである事を公言した瞬間、場の女生徒たちがざわざわしだしたな
これは女生徒が本気をだすかもしれない
「(ワイルド王子とクリエイトダウナー様がカレー好きな事が判明)」
「(これはチャンス?!!美味しいカレーを作って一気に嫁確?!!!)」
「(いきなり嫁確にはならないでしょうけど、プラス作用するのは間違いない!)」
「(これを機に一気に仲良くなっちゃう可能性ありじゃない?!!)」
「(家で自炊している私勝利!!)」
「(お皿洗いなら任せて!!)」
「(皿洗いは家事だけど今じゃない!!)」
うん、周りの女子たちも2人のカレー好きが判明して浮足立ってる感じがする
因みに俺もカレーは好きだ
と言うか、カレーもシチューもハヤシライスも好きだ
そんな事を思った時に、ふと気づいた
(此処で『俺もカレー好きなんだよね』って言ったらどうなるんだろう?)
誰かがざわざわしてくれるんだろうか?
それとも誰も何も言わずにシーーーンとしてしまうのだろうか?
(いやいやいや…仮にもA組主席だよ?1人くらいはざわざわしてくれる筈だよね)
……言わないけどな
そんな事を考えていると、剣真が面白い事を考え付いたという様な表情を浮かべて口を開いた
「せやっ!!折角やから班対抗で晩飯を何処か1番美味く作れるか勝負せんか?!」
「おぉぉぉぉぉぉーーーーー!!!勝負か?!」
「お~…」
「全く…食事は競って作るもんじゃないぞ?」
「せやけど美味いにこした事は無いやろ?自分の班が美味くなる様に対抗したらどの班もそれなりに美味くなるやろうし…ええんちゃう?!」
「やれやれ…夜人くん、どうする?」
「そうだね…俺たち男子も各班に振り分けられているんだし、良いんじゃないかな?だけど1番美味しい班だけを選ぶのであってそれ以下の順位は決めないって事でどお?」
別に反対する理由も無いので俺は剣真の提案にそう返答する
飽くまで余興であって誰かを傷つける事が目的じゃないしね
それに女子生徒たちからすれば男子と一緒に自炊するというのは中々に良い企画なんじゃないだろうか?
「ほな決定やな!!ワイの班女子集合~!!誰が何するか決めるで~!!」
「むっ!!俺様の班員も集合だ!!」
「やれやれ…じゃあ2班も集合しよっか。何が得意なのかを知る必要はあるからね」
「いやちょ「その勝負!!俺様も一枚嚙ませてもらうぞ!!!」」
あぁ~!!次から次へと!!と思いながら振り向くと予想通り、剛山が仁王立ちしていた
だが今回は1人で来たらしいな…
「八剱夜人っ!!!その勝負、俺様が受けて立つ!!!!」
「いや…そもそも俺から仕掛けた訳じゃないんだけど…」
「完成したら持って来てやるからな!!首を洗って待っていろ!!!ガッハッハッハッ!!!」
俺の答えを聞かずに、言いたい事だけを言うと高笑いしながら剛山は去っていった
一体ヤツは何なんだ…というか、皆が皆失念しているっぽいけどさ
「ねぇ夜人」
「うん…」
あ、創くんだけは気づいたんだね…
「「晩御飯のメニュー、カレーって確定されてないよね?」」
俺達はそう言って、お互いに頷き合ったのだ




