4:ズボンのベルトを忘れてズレてこない時の絶望は想像を絶する(ちょっとズレたけど)
「やっちまった…」
俺はバスに乗りながら自己嫌悪に陥っていた
いや、怒った事に自体に後悔は無い
寧ろもっと怒っても良いのでは?と思っているレベルではある
問題なのは、子供に対して逃げ場がない様に徐々に怒った事である
精神年齢四十路からすれば大人げないにも程がある
「夜人~?…何だ、まだ落ち込んでいるのか?」
「夜人は悪ないって!そらワイよりも口回りよるなぁ~とは思ったけどな、悪ない悪ない」
「そうだよ。夜くんは雪を守ったんだから気にしない方が良いよ」
「そうかもしれないけど…C組に居る雪ちゃんが心配だ…」
そう、俺の1番の懸念点はそこにある
男子が俺に対する報復として雪ちゃんに嫌がらせをしてきたり、女子がA組と繋がりのある雪ちゃんに嫉妬して嫌がらせをしないのかという事が1番心配だ
「あぁ…そう言う事ね。それだったら心配いらないわ」
「え?沙月ちゃん何か知ってるの?」
「まぁ知っているというよりかは、ごく当たり前のことだけどね」
「そうよ。男子は兎も角、女子はそこまで馬鹿じゃないわ」
そういって沙月ちゃんの代わりにあづみちゃんが説明してくれた
女子から雪ちゃんに対しての嫌がらせは先ず有り得ないらしい
理由は非常に単純で零がいるから
零が雪ちゃんを大切に思っているのは、どうやら少なくとも1年の間では周知の事実との事だ
その為、嫌がらせをして零からの不興をわざわざ買いたがる様な女子はこの学校には居ない
それに雪ちゃんも性格上、温和で大人しい性格という事もありリスクは非常に低いとの事だ
「それに零くんと夜人くん、A組男子に嫌われるリスクを考えれば…まぁ有り得ないわよね」
「そうね。それに男子の方も多分大丈夫よ」
というのもC組には男子が5人居るらしいのだが、絡んできた剛山とその取り巻き以外の2人は彼らを全く相手にしていないそうだ
特に男子は品性も成績の一部に組み込まれる事から、剛山の為にわざわざそんなリスクを起こさないだろうという事だ
まぁ当人は馬鹿だから何をするか分からないが、零や俺たちへのポイント稼ぎにも繋がる事から、女子の方で雪ちゃんを守ってくれると考えても良いとの事だ
それに、零は見かけだけで言えば若干ヤンキー感があるから、剛山たちはビビッて零と揉める様な事はしないとの事だ
うんまぁ…確かに零は見かけだけで言えば若干ヤンキーっぽくはあるかもしれない
「へぇ…零って意外と雪ちゃんの役にたってるんだね」
「フハハハハハ!!流石は俺様!!」
「まぁ、零は喋ったら若干ポンコツ感あるけどなぁ」
「ぬっ?!幾ら剣真でもそれは言い過ぎではないか?」
「せやな、まぁまぁポンコツの間違いやったわ」
「そうだろ?」
「良えんかいっ?!!」
そんな2人のやりとりを見て皆が笑い出す
あぁ…このほのぼのとした感じがやっぱり良いなぁ~と感慨深く笑っていると
「ん゛ん゛っっ?!!」
「あ、これ新製品のフォッキー苺味よ。夜人くん美味しいでしょ?」
「あ、あづみちゃん…」
俺の口に突然フォッキーを突き刺してきた犯人はあづみちゃんだった
「ほら、夜人くんにもこの美味しさを味わって欲しかったから!ね?!」
「う、うん…た、確かに美味しいね」
彼女の勢いに蹴落とされ、戸惑いながらも頷く事しか出来なかった
「むがががががが!!!」
そんなやり取りを見て、蓮華ちゃんや沙月ちゃんにもお菓子を口に詰め込まれたのは内緒だ




