3:譲れるモノと譲れないモノ
「えぇと…確かに俺は八剱夜人です。そういう貴方は?」
振り返るとえらく恰幅の良い男子がでかい図体を更に大きく見せるかの様に仁王立ちしていた
何かあれだな…父つぁん坊やっていう単語が思わず浮かんできそうな容姿をしているな
「ふんっ!!この俺様を知らない奴がこの学校に存在するとはな!!」
「ですねですね」
「ちょっとA組だったからって調子に乗ってるんでザスよ!!」
おぉ…よく見ると彼の脇には男子が図体に隠れる様にして立っている
いや、隠れているというか…強制的に隠れさせられているというか…
何となく、前世の骨〇さん家の子供と〇比さん家の子供を想像してしまう様な容姿だな
あっちは小学生でこっちは中学生だから、こっちの方が可愛げが無いな¥…
そうなると、俺を呼んだ父つぁん坊やは剛〇さん家の子に見えてくるな…
「聞いて驚け!!俺様は1ーC男子のボスを務める剛山剛志様だ!!」
惜しいっ!!!!
何がとは言わないが惜しい!!!
「はぁ…そんなジャ〇アンが俺に何の用です?」
「〇ャイアン……??まぁ良い!!お前、俺様の断りなく1-Aの首席を名乗っているそうだな?!!」
「いや…別に名乗ってはない」
もうこんな奴に敬語なんて使う必要ないよな
ただの公然たる事実だし、別にそれを鼻にかけた覚えも無い
そもそもお前、C組だろ?
断わりを入れる必要なんざ有る訳がないしな
「そもそもお前がA組なんていうのが可笑しいんだ!!A組の主席には俺様こそが相応しい!!だろ?!」
「うんうんそうそう!!」
「やっぱA組主席は剛志くんしかいないよね~!!」
「更に…更に、だ!!!お前、誰の断り入れてC組女子と話ししてるんだ?!!」
そう言って雪ちゃんの方へチラリと視線を向ける
視線を向けられた雪ちゃんは短く「ひっ!」って言ってるけど…
ダメだ…かなりイライラしてきた…
「え~と剛山だっけ?」
「っっ?!!誰が俺様を呼び捨てにしていいと言った!!!」
「いやいや、お前が俺を呼び捨てにするんだから何も可笑しくはないだろ?要は俺がA組主席なのが気に入らないって事だよな?」
「そ、そうだ!!」
「まぁ俺も主席は出来過ぎだとは思ってるけど、お前がA組、ましてや主席なんてどう足掻いても有り得ないから」
「な、何だと?!!」
「この学校は容姿、学力、品性が求められるのは当然知ってるよな?お前は他のA組の皆と比較してもどれも足りてないから。というかこの学校に入学できた事自体が奇跡だから」
「っ?!!」
「先ず容姿な。お前のその体形は鍛えた身体じゃない。単純に身体が大きく発育しただけの肥満だからな?見た感じ筋肉じゃなくて脂肪だろ?もとは良いのか知らんが脂肪がそこまでついた容姿はお世辞にも良いとは言えないから」
「な、ななに!!!」
「次に品性だけど、全くないから。俺が教師なら0点つけるね。自称か何か知らないけどC組のボス?学校生活にボスなんて存在しないからな。保育園児がそのまま中学生になった様な精神構造してるからな。更にC組のボスだから他人がC組の女子と話すのを許さない狭量心ではお世辞にも品性があるとは言えないよな」
「う、そそそんな事は無い!!」
「自分の容姿を客観視できないし品性もない。学力も推して知るべしって感じで…学力も大したことないだろ?以上でお前がA組に入る事は絶対に有り得ない。それだったらお前の脇にいる2人の方が未だ可能性があるからな」
「「僕たち」ザス?!!」
「可能性の話な。少なくとも現時点では、無い。あと誰に断って雪ちゃんと話しているかだよな?」
「そ、そう「そんな断わり誰にも要らないからな?!!!」」
思わず中学生に出す様なもんじゃない圧を放ってしまった…
だが、そこは尊厳云々の問題で俺にとっては容認できる事じゃない
「俺が雪ちゃんと話す事に対してはお前は勿論、兄貴である零の許可も要らないからな?!!人が人と話す事に対して当人同士が嫌でなければ誰の許可も要らないからな?!!お前に品性が無い根本的要因がそれだよ!!ガキ大将を気取ってるのかしらないけどな、そもそもお前は人に対して敬意ってもんが欠如してんだよ!!そんなガキが俺に対してニャーニャー言うんじゃねぇよ!!」
そう言って剛山を睨みつけると、明らかに怯えた様な表情を浮かべて俺を見ていた…




