2:驚きすぎじゃね?
「おぎゃーーーにぎゃぁーーー!!!!」
・・・ん?
何処かで赤ちゃんが泣いているのか?
意識が覚醒すると同時に大音量で聞こえて来る泣き声に意識が引っ張られる。
「産まれましたよっ!!可愛い赤ちゃんですっ!!」
「はぁ・・・はぁ・・・赤ちゃんは・・・元気ですか?」
「えぇ元気な赤ちゃんですよ!!」
「はぁ・・・良かった・・・私の赤ちゃん・・・」
おぉ・・・近くで赤ちゃんが産まれたらしい。
喜ばしい、非常に喜ばしい事ではあるのだが・・・何も俺の傍で産まなくても良いんじゃないですかねぇ?!!
そんな逆キレにも似た感情を抱いた瞬間、我に返る。
(・・・え?俺って今何処に居るんだっけ?)
確かさっきショタに転生させられる様な夢を見ていたが・・・。
(オーケーオーケー・・・俺は冷静な男。さっきの夢の様に転生した訳では無く、暴漢から攻撃された打ち所が悪くて入院しているだけだろう。だったら俺が病院に居ても何ら可笑しくはないしな)
細々した所に疑問は残るが・・・俺は器の大きな男だ
そこらへんは無かった事にしてケガで入院中だと己の感情を無理やり納得させる。
だがその瞬間――
「見てください、可愛い赤ちゃんでしょ?八剱さんも抱っこしてあげてください」
看護師さんの声と共に自分の身体が空中で動いているのが分かる。
言うならジェットコースターが落ちる瞬間、ヒュッとなるあの感じだ。
「おぎゃーーーおぎゃーーー!!!!」
その瞬間、俺は自分が転生された事を嫌でも理解してしまい軽く絶望してしまう。
そりゃそうだ。
赤ちゃんの泣き声は自分から発せられるのを自覚してしまうし、目が見えないのは事故の所為ではなく俺が産まれたばかりだからだろう事も理解してしまう。
「おぎゃーーーおぎゃーーー!!!」
我がことながら冷静にそうツッコんでいるあたり、意外にも俺は余裕があるのだろうか?
そんな事を俯瞰的に考えていたが、看護師さんと母親(?)の言葉で頭が真っ白になる。
「タオルも血だらけですから新しいのに替えて身体を拭きましょう・・・か・・・」
「・・・?どうしたんですか?」
「か・・・か・・・かか・・・かお・・・おぉ・・・」
「か・・・看護師さん?」
「お・・・男の子ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー?!!!!!」
「・・・・・・・・・え?」
「や、やややや八剱さん、お、お、おおおおお男の子!!!赤ちゃん男の子です!!!」
「え・・・・・・・・・・・・・・・・・・えぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーー?!!」
(・・・は??)
俺が男(?)である事に驚く2人。
その様子に尋常ではない自体に陥った事だけは理解したが・・・何が驚くべき事なのか理解は出来ない。
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー??!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー??!!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「「ええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー???!!!!」」
未だ驚き続ける2人を余所に、情報が欲しいと心の中でそっと涙した・・・。
あぁ・・・マジで情報が欲しい・・・。