44:学校ってゴシップネタに溢れてる(のかもしれない)
「夜人…夜人!おい、夜人っ!!!!」
「……ん?あぁ、零くんか…零くんは今日も零くんだねぇ~」
「何だその失礼な言い回しは?!」
零に身体をゆさゆさと揺さぶられて気が付けば、いつの間にやら俺は教室に辿り着いていたらしい…
いや、マジで記憶ないわ…
「お前が朝からそんな状態なのは珍しいじゃないか?!!一体何があったんだ?!!」
「そうだねぇ~…バンプジャーの勇姿は忘れられないねぇ…」
「っ?!!そ、それは小学生の頃の話だろっ?!!い、今は【警察戦隊ジケンジャー】がアツイんだ!」
「そうだねぇ~…ジケンジャーの勇姿は忘れられないねぇ~」
「いや未だ2話放送されただけだがっ?!!」
「(ヤバッ…零くん戦隊もの好きなんだ)」
「(これはチェック!これから毎週日曜日は早起きする!!)」
「(俺様系なのに正義の味方が好きなんて…はぁはぁ…)」
「零、落ち着け。夜人くんは多分、朝の事を引きずってるんだろう」
「っ?!!!」
公理くんの鋭い一言でハッと我に返る
登校時にあんなことがあれば噂になっても可笑しくない所か噂にならないと可笑しい
「おっ、公理!!朝の事ってなんだ?」
「それは「ちちちちちちちち違うし?ああああ朝の事なんてか、関係ないし?」」
あからさまに動揺してしまった…
そんな俺の様子を見てか、クラス全体がよりザワザワしだした
「ふぅ…夜人くん。それは白状したも同然だよ」
「オッスオッス!!お、夜人聞いたで~?!朝からハグしとったらしいやん!相手は誰や~?」
「……もてもて」
タイミングが悪い所で剣真と創が教室に入って来、彼の一言で更に教室がざわめきだした
「ち、ちちちち違わなくないけど!!あ、あの人はほ、保育園時代から知ってるせ、先輩だから!ほ、ほら友情のハグと言うかさ!そ、そんな感じだから!!」
俺は一体誰に対して言い訳をかましているのだろうか…
精神年齢四十路、前世で彼女が全く居なかった訳じゃない
だが…学生自分、此処までクラスの中心で話題に上がる事がなかった為に動揺しているのかもしれない
「夜人くん」「夜くん」「夜人くん」「夜人」
「ひっ?!!!」
そんな中、背後から声を掛けられ振り向くと…何故か圧を放ったあづみちゃん、蓮華ちゃん、沙月ちゃんと零が真剣な表情を浮かべており、思わず短く悲鳴を上げた
ていうか何で零も同じ圧を放ってんだよ?
「夜人くん…月さん以外とハグしたのね?」
「いや…したというかされたというか…」
「保育園時代の先輩と言えば…棗先輩かな?」
「あ…あぁ…はいそうです」
「これはちょっと同じクラスという事で油断してたのかしらね」
「ゆ、油断…?」
「夜人、雪の事を忘れてはいないよな?」
「ゆ、雪ちゃん…?も、勿論忘れる訳ないじゃないか…」
俺がそう答えると四人全員が顔を見合わせて「「「「ふっふっふっ」」」」と不敵に嗤う
いや、その嗤い方は悪役のソレだからね?
「夜人くん…今日から私たちも参戦するから」
「さ、参戦…」
「どうやら僕たちはまだまだ甘かったみたいだからね」
「あ、甘い…?」
「先ずは野外学校かしら?同じ班になれると…良いわね?」
「ま、まぁそれはそうだね…?」
「夜人、雪ともこれからは頻繁に会うんだぞ?」
「雪ちゃん?あ、あぁぜ、全然遊ぶよ?」
俺がそう答えるとまた4人は「「「「ふっふっふっ」」」」と嗤いながら席に着いていった
そんな4人の様子を眺めながら俺は…
(あぁ…来週は野外学校かぁ…)
現実逃避する事にした…




