34:焦燥感に駆られて要らない事をする奴っているよね?(昔の自分です)
「ちょっと〇してくるわ」
「ちょ、ちょっと姉さん!!洒落にならない!!洒落にならないから!!」
落ち込んだ俺を出迎えた姉さんは、無理やり事情を聞き取った後に発した第一声がコレである
幽鬼の様にユラリと動き出しながらキッチンへ向かう姉さんを必死になって止める気持ちを誰かに分かって欲しい…
「何で?夜人くんを困らせる鬼畜生はヤってしまえば良いのよ」
「ダメだから!!伏字されてるのにもう1回言っちゃダメだから!!」
「具体的に言えばお墓に入って貰えば良いのよ」
「もっとダメ!!お願いだから戻って来て!!カムバック姉さん!!」
「離して!!あの女狐を生きるという苦痛から解放してあげなきゃ!!…でも離さないで!!」
「どないせいっちゅーねん!!」
そんなこんなで無事に姉さんを停止させる事になんとか成功した
マジで姉さんの目がガンギマリだったからなぁ…ちょっと怖かったよ
~~閑話休題~~
「ふぅ…詰まり、あの女狐先輩は迷ってるって訳ね」
「そうなんだ…これに関しては男である以上、俺が何を言っても棗さんに響かないと思うんだよね」
ほうじ茶を煎れて姉さんの好きな葛餅をお茶請けにしながら相談にのってもらう
まぁ言うつもりは無かったんだが、バレてしまった以上は言わざるを得ないからな
「馬鹿ね」
「……言い訳もないです」
「夜人くんの事じゃないわよ。私が馬鹿だと言ったのは女狐先輩の事ね」
「…馬鹿かな?進路の事で悩むなんて当たり前の事じゃない?」
「夜人くんの言う通り当たり前の事よ。なのに自分だけが悩んでると勘違いして自分の殻にこもって…馬鹿以外の何者でもないじゃない。女狐…ううん、これから厨二女狐先輩ね。厨二女狐先輩には私が直接話をつけてあげるわ」
「……ヤらないでね」
「善処するわ」
そこは断言してよ!!!
そう言いたい気持ちをグッと堪える
確かに俺が棗さんに何か言うよりは同性である月姉さんから言って貰う方が良いだろう…
それにそこら辺のデリケートな部分の話題は俺自身、完全に向いていない事が嫌でも理解してしまったしな
(かと言って…自分が引っ掻き回したのに月姉さんに全部任せるのもなぁ…)
それはそれで何か気が引けるのも事実だ…
表立って何かを行動できなくても、棗さんの悩みを解決できる切欠の切欠みたいな…そんな些細な手助けでも良いから出来ないもんだろうか?
そんな事を思いながら時計とカレンダーを眺める
(道場…道場かぁ…っ?!!!)
そうだ!!
そうだよ!!
師範に相談すれば良いじゃないか!!!
(師範も棗さんの事を気にしてたし…ちょっと相談すれば良い道筋に行けるんじゃないか?)
だが…あのポンコツ師範が相手だ
正面から「棗さんの事で相談が…」と言えばちゃぶ台ひっくり返される可能性がある
だからそこは「僕の友達が」的な感じで相談すれば、師範も棗さんとダブって良い様に進むんじゃなかろうか?
(イケる!!これは多分切欠としてイケる!!)
俺は早速明日にでも道場に顔を出そうと考えた




