12:世界崩壊直前
「うふふ…これから毎日夜人くんと登校出来るの嬉しいな♥」
「あ、ははは…お、俺も姉さんに登校できて嬉しいよ」
「もう…やっぱり夜人くんは最高♥」
どうも夜人です
自宅から校門前まで月姉さんが腕を組んで離してくれないとです
心無しか、左腕が痺れを通り越して神経が麻痺してるとです
「見て!!月姫様よ!!」
「腕を組んでいらっしゃるのが噂の弟様かしら?」
「あんな弟さんがいるのであれば陸ナルなんて振るよね」
「あぁ…今日も月姫様が尊い」
「腕を組んで登校…それって何処の都市伝説よ!!」
「弟さんと月姫様って婚約してるんでしょ?そりゃあんな弟様は離さないよね」
「一番凄いのはお2人のお母さんよ。父親違うのにどちらも超絶美形って…どんな遺伝子してるのよ」
ん??
昨日と同じ様に周りの生徒たちザワザワと噂されるのは別に良いが、今聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ…
「姉さん姉さん、今俺と姉さんが婚約関係だと知っている様な噂が聞こえたんだけど?」
俺がそう言うと「?」マークを頭の上に浮かべる
くっ!!その天然ホワホワな表情が天使!!!
「ん?それの何がおかしいの?」
「え…いや別に…え?もしかして言ったの?」
「うんっ!昨日の自己紹介の時に弟と婚約してますって言ったよ!!」
「Ohhhhhh……」
そりゃざわざわするよね…
中学生にとって色恋沙汰ほど面白い話題なんてないもんね
しかも対象が学校でも有名な月姫様(?)なんだからさ…
更に相手が弟とくれば話題にならないのがおかしいレベルだ
「……今までも感情が爆発してカミングアウトしてた事はあったけど、積極的に発信する事ってなかったよね?」
「もう皆中学生だからね…子供の時とは違うから、ちゃんと牽制しとかないと」
「?????……でも今までは言ってなかったんでしょ?」
「うん、夜人くんが小学生の時に言って小学校に見に行く子がいたら迷惑かけるし。でもこれからは皆夜人くんを意識する訳だから…だから牽制」
だから牽制する意味が良く分からんが…まぁ姉さんの中では消化出来たんだな
「それにしても…麗さん元気そうだったね」
「まだ半月しか経ってないんだから元気に決まってるわ。」
そう、昨晩は麗さんを含む家族の皆で寿司を食べに行った
麗さんは妙にサッパリとした表情を浮かべていたけれど…
「夜人くんは麗お姉ちゃんの前でドギマギしてたもんね。今までずっと一緒だったのに居なくなったから照れ臭かったの?」
「いやまぁ…ねぇ?」
そりゃある意味俺の初恋の人だし…
麗さんの言葉も聞いちゃったし…意識しない方が無理じゃない?
なのに麗さんは俺と違ってサッパリとした表情をしてたから内心複雑よ
「何?それ以外の理由でもあるの?麗お姉ちゃんと何かあったの?だっていつの間にか麗さん呼びになってるもんね?私が気づかないとでも思っているのかな?何があってどうなってどうなったのかなぁ?」
……ヤヴァイ
徐々に月姉さんの背後からどす黒いオーラが立ち上がってる気がする
俺は内心汗ダラダラになりながらも横に居る姉さんの頭を撫でながら「何でもないよ」と呟く
ーーーーーきゃあああああああああああああああーーーー
「ふにゅあぁぁぁ~」
周りの轟音(歓声?)と共に姉さんの猫の様な声を聞いてホッと胸を撫でおろす
こうでもしないと姉さんが怒り出したらマジで手が付けられなくなるからな
周りに見られた羞恥心を見ない振りしながら姉さんを引っ張って校舎へ向かって行った




