6:何だかんだで1番の当たり席は好きな子の隣
俺と零と公理くん、創くんは揃って1年A組だった
その為、無邪気に喜ぶ零を筆頭に俺達はA組のクラスへ向かった
ーーーガラッーーー
零がA組の扉を勢いよく開いた瞬間、教室に居た子たちの視線が一斉に俺達へ突き刺さる
「此処がA組だな!!俺様は香我美 零だ!!宜しくな!!」
「「「「………………」」」」
「宜しくな!!!」
「「「「…よ、宜しくお願いしま~す」」」」
零の羞恥心の無い自己紹介に負けたのか、数人の女子生徒が零に向かって挨拶を返す
ごめんよ女子生徒達…彼は悪い子ではないんだよ…
心の中で名も知らぬ女子生徒に詫びながら、俺と公理くんと創くんはサッサと教室に入る
「おっ、夜人!!ホワイトボードに名前が書いてるぞ!!」
「あ、本当だね」
零の言う様にホワイトボードにはクラス全員分の名前が位置指定されていた
「俺は…1番後ろの窓際か」
うん、前世の席替えだと大当たり席だな
ボケーっと外の風景を眺めるには絶好のポジションだな
「僕が夜人くんの隣か。夜人くん、これからも宜しくね」
「公理くんが隣で嬉しいよ。これからも宜しく」
ーーーーガタガタガタガタッーーーー
ん?
誰か椅子を大幅に動かしたかのかな?
「何故だ?!何故俺様が夜人の隣じゃないんだ?!!」
「でも零、創くんは君の隣なんだから良いじゃないか」
「そうだが…そうだが!!」
因みに男子が全員一番後ろの席に位置指定されており、窓際から俺、公理くん、鳥蝶くん、零、創くんの名前が記載されていた
(鳥蝶くんって子はどうやらまだ教室に来てないみたいだな…)
未だにブーブー文句を言っている零を無視して、俺と公理くんは指定された席に着く
周りの女子生徒たちのひそひそ声が聞こえるが…俺の心が折られる可能性がある為、聞かないでおこう
ーーーひそひそひそーーー
「あれが今年の男子たち?」
「や、ヤバくない?!私の小学校にあんな美形の男子達いなかったんだけど?!」
「な、なんか後光が射してて直視できないんだけど…」
「は、鼻血…鼻血がでそう…」
くっ!!!
聞き耳たててないのに聞こえて来る俺の耳が憎いっ!!!
俺知ってる!!
これって俺の事を言ってるんじゃなくて零や公理くん、創くんの事を言ってるんだ!!
確かに創くんも美形だ
前髪がかなり長いから分かりにくいけど、風が吹いた時に顔が見え時にビックリしたもんな…
「え?これって俺の事言ってます?」みたいな気持ちでいた瞬間、「あ、あんたじゃないから」的な視線を受ける事くらい俺知ってるもん!!
おもわず席にうつ伏せてしまいそうになる気持ちをグッと堪えて、ホワイトボードの座席表を見てあづみちゃんと蓮華ちゃん、沙月ちゃんがA組である事を確認する
あ…あづみちゃんは零の前の席で沙月ちゃんは公理くんの前、蓮華ちゃんはクラスの真ん中らへんに名前がある
あづみちゃんの席に視線を向けると目茶目茶ピシッとした姿勢で席に座ってる
偉いなぁ…
そんな事を思っていると授業開始のチャイムが鳴った
「はい、皆さん席についてください!!」
そしてそれと同時に教壇側の扉が空いて先生が声を張ってテキパキと指示してくる
俺はそんな先生を見ながら「あぁ…鳥蝶くんは間に合わなかったなぁ…」と思わず呟いてしまった




