6:どんな結果でもワクワクする事ってあるよねぇ…
「夜人っ!!クラス分けを見に行こう!!」
その後長たらしい(長い)入学式のアレコレが終わり、後はクラス分け編成を見に行き教室へ向かうのみとなった
(ドラマみたいに主席入学生の挨拶とかあるかと思ったんだけど…無かったな)
考えてみればこの世界も中学生までは義務教育だし、入学前の成績はそこまでは重要視していないという意志表示かもしれない
高校になればあるのかもしれないが…まぁどちらにせよこの中学校は無かったという事だ
「うんそうだね。じゃあ公理くんと創くんも行こっか」
「そうだね」
「ん」
公理くんは相変わらずクールに回答してくるし、創くんはマイペース
2人とも手短かに回答してくるだけ問題ない
それ所か小学生の時は同じ様なシチュエーションで「お前が指図するな!!」ってキレられたからな…
それを考えれば全然問題ない
『新入生の皆さまのクラス分け表はグラウンドにて掲示しております。ご確認後に各教室に向かってください』
館内スピーカーの指示に向かってグラウンドに移動する準備を行う
って言うか、この場で掲示してくれた方が効率的だし、時短になると思うんだけどなぁ…
そんな風に思いながらも指示に従い、グラウンドの方へ足を向けていった
◆
「あぁ…これが理由か…納得いったわ」
誰に呟くでも無く、自分の周囲を取り巻く環境を見て1人で納得した
俺は今、体育館からグラウンドの方へ移動しているのだが…視線が凄い!!!
それは新入生からの視線だけでは無く、在校生からの視線の数が半端ないのだ
在校生は今休み時間なのだろうか?
体育館からグラウンドの方へ向かう道筋に在校生が立っており、滅茶苦茶品定めされている様な状態なのだ
まぁ、俺達とは一定の距離を空けている状態ではあるので圧迫感みたいなのは無いのだが……
コレって女性が苦手な男子には滅茶苦茶キツイんじゃね?
(まぁ男子校にでも行かない限りはどの学校でもこんなもんかな…)
そもそも男女比が1:10のこの世界であればどの学校に行っても大なり小なり視線は付きまとうもんだろう
それに一々目くじら立ててもどうしようもない事なのだ
ただ……
「あれが噂の三銃士…」
「月姫様の弟様よ」
「きゃっ!!ちょっと目が合っちゃった!!」
「あのワイルドで素敵な方も三銃士なの?」
「それよりもあの知的で優雅な男性は?」
「婚約者の方ってもういらっしゃるのかな?」
「三銃士の揃った写メが欲しい…」
「三銃士は絶対にA組よね!」
「今年の新入生…良いなぁ~」
ヒソヒソヒソヒソと聞かせる気なのか聞かせる気がないのか、どちらとも判断しかねる声量で話するのは止めて欲しい…
聞く気が無くても勝手に聞こえるんだよ…なのにハッキリとは聞こえない絶妙な声量…
(零や公理くんの外見を褒める声は聞こえても、俺の事は姉さんの弟としか聞こえない…トホホ…)
べ、別に良いんだよ?!!
そ、そんなモテモテなバラ色生活を夢見てたわけじゃないしさ!!
こ、婚約者なら既に姉さんが居るし?!
悔しくなんか…悔しくなんかないし!!
てゆーか俺ってろ、ロリコンじゃないし!!
「おっ!!夜人!!あれにクラスが書いてあるんじゃないか?!!急ぐぞ!!」
自衛のために心の中で言い訳をしていると、不意に零が前方の掲示板を指をさす
この場から早く逃れたいが為に俺は零とともに掲示板へ小走りに向かって行った




