5:校長の話って短かったらザワザワするよね?
ガラッ
「…………」
俺と零、母さんと零のお母さんが話している所に初めて見る男子が男子控室に入って来た
が、彼はコチラを無表情に一瞥しただけで何も発する事無く空いているイスの方へ母親(?)と向かい腰かけた
まぁ…彼からすれば初対面だしね
陽キャじゃなければ初対面の人間で声を掛けるのは難しいだろう
「俺様の名前は香我美 零だ!!貴様の名前は何という?!!」
そう…陽キャじゃなければ初対面の人間で声を掛けるのは難しいのだ
彼も突然話しかけられてビックリしたのだろう
僅かに顔を上げると僅かに動揺した表情を浮かべている
それでも無表情だけど…
とは言うものの、彼の為にも零の為にもフォローは入れておくべきだろうな
「突然零くんが話しかけてゴメンね。零くんは新しい友達が出来るかもしれないって張り切ってるんだよ。僕の名前は八剱 夜人。良かったら君の名前を聞いても良いかな?」
「………華花菜 創」
「創くん、これから宜しくね。零くん、初対面の人にはもう少しちゃんと挨拶しなくちゃ」
「むっ!俺様はちゃんと挨拶できてなかったか?!」
「そうだね…甘く採点して40点かな」
「なんだとぉーーーーーーーーーーー!!!」
「夜人、零…宜しく」
絶叫する零を余所に創くんはマイペースに挨拶を返してくる
あ、この子あれだわ
零とは違うベクトルに向いてはいるが、マイペースな感じな子だわ
そんな事を思っていると次々と控室に男子生徒とその母親が入ってきた
◆
◆
ーーーざわざわざわーーー
あれから控室での語らいを終え、俺を含んだ男子生徒は体育館に誘導された
向かった先には女子生徒は既に着席を終え、男子生徒達が座るであろうスペースだけが纏めて空いている様な状態だ
(多分、男子生徒を纏める事で男子の恐怖心を和らげているのかな?)
皆が皆、女子生徒に対して好意的ではないのがこの世界だ
この学校がそういう部分も加味しているとは言っても全員ではないだけに救済措置を取っている様な状態なんだろう…
俺は適当な席に座り、零と公理くんに挟まれながら席に着く
あ、零の隣に創くんが座るんだね…仲良くなれそうで良かったよ
『只今より【私立聖明中学校】入学式を始めます。先ず初めに、学園長からの挨拶となります。』
あ、席について早々に入学式が始まった
学園長らしき人が席を立ち、コツコツコツと講壇に上がっていく
何かオーラがあるというか、凛とした雰囲気の人だなぁ…等と思いながらも学園長の話ってやっぱり長いのかなぁ~等と予想している内に学園長が話を始める
『新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。本校は皆さまもご存じの通り、この10数年で全国有数の進学校となることが出来ました。これもこれまでの在校生先輩方の弛まぬ努力と向上心が培った結果だと思います。皆さまも本校の名に恥じぬ様、日々切磋琢磨し、素敵な学校生活を過ごしてください』
うん…無難な挨拶だね
『本校は実りある学校生活と学力向上に向けて明確なクラス分け編成を行っております。女子生徒は学力を、男子生徒には『容姿』『学力』『品行』の3項目を基盤にクラス分け編成の採点を行っております。男子生徒の採点方式は4:3:3となります』
え?滅茶苦茶ぶっちゃけるやん?!!
『また皆さまは各学期毎にテスト等でクラス分け編成が行われますので、日々の努力によって自分の望んだ形になるチャンスがあります。ですのでA組の皆さまは驕らず、E組の生徒さんは腐らずに日々を精進して学校生活送ってください』
成程…日々是競争という訳だね…
流石進学校…というか徹底しているなぁ…
学園長の挨拶の言葉を聞きながらそんな風に感心しながら、この学校のシステムを学んでいった




