44:やっぱり〇〇が1番だよね!!
「あ、あの…よ。夜人くんお、お早う…」
そんな昨日の出来事を脳内で振り返っていると、横から声が聞こえる
視線を声した方へ向けると…公理くんがオドオドとしながらも俺に挨拶をしてくれた様だ
「公理くんお早う!!」
「ヒッ!!」
……なんでやねん
挨拶に挨拶を返したのに、何で悲鳴を上げられるねん…
何?俺の顔面はそんなに怖いの?
月姉さんや母さん程ではないけど、そこそこ整ってると思ってたんだけど…違うの?
「コラ公理くん。夜人くんはただ挨拶してくれただけでしょ?悲鳴を上げてはダメよ」
公理くんに対して沙月ちゃんがフォローしてくれる
してくれるが…俺の顔面に関してはノーコメントだった…
え…泣いて良い?俺…泣いていい????
「いやまぁ…仕方ないよ。でも公理くん、僕らは友達だから何でも気兼ねなく言ってね」
「………うん」
ふっ、こういう時は元気にハキハキと声を掛けるのでなく。寄り添う様に優しく語り掛けるのさ
例え俺が心の中で血涙を流していたとしても…此処は優しい声色で寄り添うべきなのだ……
その後、朝のHRで先生からアルス君が転校したという通達事項を受けた事で公理くんと月姉さんの件は解決したとみて良いだろう
アルス君も国外留学から戻って来て直ぐに国外留学する事になるとは思わなかっただろうが…まぁ、ドンマイ
彼も親から洗脳の様な教育をうけた被害者だと考えられなくはないが…そこまでは面倒見切れないし、俺に責任が有るとも思わない
彼は俺の目の届く範囲内でやらかした
俺はそれを解決できる手段を考えた結果、解決が出来た
ただそれだけの関係性だ
まぁ…アルス君が転校したと聞いて女生徒達が「「「「「えぇぇぇーーーーーーー!!!!」」」」」と言っていたが…ドンマイ
イケメンはこんな所でも優遇されるんだなぁ~と拗ねてしまいそうになったのは此処だけの話だ
◆
◆
「さて公理よ!!!貴様も俺様のライバルに成り得るか放課後に俺様と勝負だ!!」
「しょ、勝負…?」
「うむ!!鬼ごっこは外せないな!!俺様のスピードから逃げることが出来ればライバルと認めてやろう!!」
「公理くん、気にしないでね。零くんは公理くんに『放課後に一緒に遊ぼう』って言っているだけなんだよ」
「ち、違うぞ!!夜人、余計な事を言うな!!」
「今のは『そうなんだけど恥ずかしいから言わないでくれ』って言ってるんだよ」
「ムガーーー!!!ち、違うぞ!!」
はいはい…俺様ツンデレ俺様ツンデレ…
零くんさぁ~…どんだけ属性モリモリなのよ…
休み時間に公理くんの席でボーイズトーク(?)を繰り広げながら若干呆れ返りつつも俺はそんなフォローをしていたら
「ふふっ…ふふふふ…」
俺と零のやり取りが面白かったのか…公理くんが初めて俺達に向けて笑ってくれた
「っ!!!では公理と夜人のどちらが俺様の最大のライバルか勝負だな!!」
「いや…零くん僕よりも走るの遅いじゃん」
「ふふふふふふ…あははは!!」
俺は自分が正しい事をしたのかどうかは分からない
だけど…男子も女子も関係なく、子供は笑っているのが1番だとは公理くんの笑顔を見て心の底からそう思ったんだ




