15:モヤモヤする事はその日の内にスッキリさせたい
「あ゛~…疲れたぁ…」
自分の部屋のベッドに身を委ねながら思わずそんな事を呟いてしまった
いや…仕方なくね?
姉さんがクラスに突撃してくるわ、婚約者である事をカミングアウトするわ、それを見ていたクラスの女子はキラキラした目を俺と姉さんに投げかけて来るわ、あづみちゃん達はチョット不機嫌になってるわでてんやわんやだったのだ
それに加えて零は何で盛り上がっているか今一つ理解出来ていない癖に自分もその輪に入ろうとするしさ…兎に角疲れてしまったのだ
「アルス君にも悪いことしたなぁ~…」
今日一日を振り返る最中にアルス君の顔をふと思い出し申し訳ない気持ちになる
俺が月姉さんにアプローチする彼を止めたりしていたらあんな感じにはならなかっただろう
彼を卑下する娘やそんな雰囲気は一切無かったけれど…それでも彼に対しては悪いことしたなぁと思ってしまう
「朝焼くんも…何か怖がっていたみたいだし…あれって俺が怖かったのかなぁ~?」
女子が苦手な彼からすれば、小学生で婚約者がいる俺なんて恐怖の対象でしかないのかもしれない
でもなぁ…何かなぁ…
「違和感があるんだよなぁ~…」
何だろう…彼は女性が苦手っていうよりも…こう、人が怖いという様な印象がある
アルス君から一緒に帰ろうとお誘いを受けた時もこう…怯えているかの様な表情を浮かべていた気がする
この世界では男の子は少数だ
だからこそ男の子が男の子を嫌う事は俺の知る限りは、無い
小学校に入学してから少ないなりに男の子と関わり合ってみた
その結果、女の子を嫌悪したり見下したりする男の子は数多くいたけれど、少数故の連帯感とでもいうのだろうか?男の子が男の子を嫌ったりする様子は見受けられなかった
…まぁ、思春期とかになったら分からないが低学年故の無邪気さが関係しているかもしれないが
だからこそ、小学校3年生というこの時期に人そのものを嫌ったり怯えたりする彼に違和感を感じてしまうのだ
「…本人には自己紹介の時には関わらないでくれと言われているものの、そう言う訳にはいかないしなぁ…」
幾ら頭を捻っても分からないものは分からない
だったら分かるかもしれない人に聞くのが1番だろう
「麗お姉ちゃん、聞きたいことがあるんだけど、良い?」
「夜人様、どうかされましたか?」
俺は自室から出て、帰宅準備をしている麗さんに声を掛けた
帰ろうとしているのに声を掛けるのは申し訳ない…申し訳ないんだけど、このモヤモヤを抱えたままぐっすりと眠る事は出来そうにない…
麗さんには後日肩をもむという事で許して貰おう…
そんな事を考えながら麗さんを自室に招き入れた
「よ、夜人様のじ、自室…」
その時に、何度も俺の部屋に入っているにも拘わらず未だ慣れない麗さんはスルーしたという事だけは記しておこう…




