1:神様って暇なん?
「やぁ、君が『八剱 夜人』君で良かったかな?」
目の前でちびっこいショタが俺の名前を確認する。
そうだ。
そう答えようとするも言葉は出てこない。
疑問に思いながらショタへ視線を向けると何故かうんうんと頷いている。
「うん間違いないみたいだね。じゃあ今から重大発表を行いますっ!!!君は今から・・・別の世界へ転生して貰いますっ!!!!」
背後に某漫画の様な『ドンッッ!!!』という様な文字が浮かび上がらんばかりの様子に若干引いてしまう。
「残念ながら君に拒否権は無いよ?この空間に居ると言う事は元居た世界からは死んで解脱されたという事だからね」
・・・死んだ?
「うん死んだ。八剱 夜人享年25歳、暴漢に襲われそうな女性を助けに出た所、相手から受けた傷が深くて死亡、だね」
・・・・・・。
確かに朧気ながらそんな記憶はある・・・。
「あ、安心して。女性は無事だったし犯人は無事に捕まっているよ。君のやった事は無駄じゃなかったんだ。やったね!」
そこじゃ!ねぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!!!
良かったけどっ!!それは良かったけどっっ!!
俺、死んでるじゃんっ?!!!
「死んだねぇ~・・・でも自分で選択した結果なんだから、ねっ♥」
ねっ♥じゃねぇわっ!!!
いや、終わりじゃん!!!俺の人生終わっちゃったじゃん!!!!
「いやいや、君なんて未だ良い方だよ?世界には自分で選択した結果でもないのに理不尽にも死んで逝く人たちが一杯いるんだ。それに比べれば自分の選んだ結果なんだからそこは受け入れてくれないと」
受け入れられないよっ?!!
それはそうかもしれないけど俺の人生は俺だけのモノで、その当事者の俺が死んでれば他人事にはならないじゃん!!
「だからそんな君に朗報!!さっきも言ったけれど君は別の世界へ転生して貰いますっ!!!」
・・・ハッ!!
死んだショックがデカすぎてうっかり聞き逃してしまったが、それは俺が生き返るってことか?
「え~其処から?今時別世界転生なんて君の世界ではテンプレだよ、テンプレ」
心底めんどくさそうなショタの顔が腹立だしいな・・・。
しかもショタの癖に顔が整っているからより腹立だしいわ。
「良いかい?死んだ君を元の世界に戻す事は出来ない。けれど別の世界に生まれ変わらせてあげようっていう優しい僕の救済案だよ!!」
・・・だったらそんな事より、元の世界に転生させて欲しい。
今更全く知らない世界に行く程、あの世界に絶望していない。
ハイリスクハイリターンな世界よりもローリスクローリターンな世界で俺は過ごしたいのだ。
「え~・・・そんな面白くなさそうな事する訳ないじゃん?折角労力を割くのならそれに見合う観察結果が欲しいからねぇ~」
・・・このショタ、俺の人生を観察しようとしてやがる。
「いやいや君だけじゃなくて僕の今全の全てを観測しているよ?君たちの世界の宗教家も言っているでしょ?お天道様が見てるよとか、神は我々を見守っているとかさ」
・・・え?
「難しい話はこれで御終い。じゃあ何処かの世界へいってらっしゃ~い!!!」
暫しの思考停止を喰らっている間にショタは何かのスイッチを押し、それにより俺は突如意識を手放す。
そして・・・何処からか聞こえる赤ちゃんの声により自分の意識を取り戻した。
ご一読頂き、有難う御座います。
最近男女比の小説にハマってまして自分でも書いてみたいなぁ~と思い書いてみました。
頑張って一章までは書きますが、需要が無いと判断すれば未完にしちゃう予定です。
気に入って頂ければブックマーク&★の方を何卒よろしくお願いいたします!!