国家建国~方言を覚えた王子は国を作った
ある平原にて両軍が今まさに激突しようとしていた。
片や軍すべてが純白の鎧をまとい、空中にも飛行連隊が整列して待機しておりまさにこれぞ軍隊と呼べるものとなっていた。
片や隊列と呼べるものはお粗末で子供のお遊戯会でももう少し整列できると思われるくらい乱れており、その原因として5mを優に超える大きな鎧や腰ほどにもない鎧が点在しているからと思われる。軍団の手には大小さまざまな武器が握られており、先の軍隊とは違いとても軍隊と呼べるものではないように見える。
いつ戦いの火ぶたが切って落とされてもおかしくない中、それぞれの軍から全身を鎧にまとった者が1名ずつ前に進み出てきた。
片や純白に金で装飾を施した見栄えの良い鎧に身を包み。
片や漆黒の申し訳程度に兜に赤い羽根が付けられた程度の装飾しか施されていない鎧となっていた。
ここでも、両軍対極の様子を示していた。
「兄上。いや、ライデバル公爵よなぜ我がユーティオラ王国に反旗を翻した」
「ユーティオラこくおんよ、そんがこつわかり切ったこつぉきくんためここんでつきたわけやなんかろぅが、おんこくんが、こんへんきょうんよばるんちでなんしちゅたか、いくどんもほぉこくんしてゅうに、無視してぃ馬鹿にしごっくさいに」
(ユーティオラ国王よ、そんなわかり切ったこと聞くためにこの場に現れたわけではあるまいに、それはこの辺境で何が起きてたか、何度も報告書しても無視してきたからに他ならない)
「あ、兄上言ってることがよくわからないんだが」
「おん、おんこくばがそがんこといつん煙ばまき、こっちんはなすなかこつしよるにへんきょんよばるつぃにおすこまれっしこんらも我慢限界だも」
(あ゛ん?王国がそうな風にいつも煙に巻くばっかりで、こちらの話をなかったことにするからこの地に追いやられた者たちの我慢が限界に達してしまった)
ここまで、聞いてもらうとわかるが純白の鎧の方はユースティオラ王国の国王で漆黒の鎧はその兄となっているわけだが、弟の国王就任の際に王都より辺境に追放されて数年しかたたぬうちに訛りがきつくなりところどころ聞き取れそうな言葉すらよくわからないくらいになってしまっている。
「ここんで、わしんらんはなすききちぇくりゃひくぅこつんもかんがえちぃが、そがんきくぅみみんもなかがなら、ここん宣言すっど。わすんら辺境れんごは連合国家バースライトを建国するぅ」
(ここで、私たちの話を少しでも聞いてくれるなら引くことも考えたが、聞く耳すら持たないというならここで宣言する。我ら辺境連合は連合王国バースライトを建国する)
「待ってくれ、兄上」
漆黒の鎧による建国の宣言により、戦端が開かれたこの戦いは連合国家バースライトの勝利の終わる。
のちの世に、大陸の2大国家として周囲を飲み込み1万年以上も戦争を続ける両国の戦いは、訛りがきつい兄と聞き取ることのできない弟による悲しいすれ違いにより起こったことだった。
なまらせて書くのはそこまで難しいことではなかったのですが、そのあとの訳するときに自分でも何を書いたのか混乱してしまうくらいには大変でした。
これは連載できないな