時間軸・現在→過去
家に帰ってから僕の思考は隣の席の奴との会話に乗っ取られていた。
自殺者なんて居ない、だって…。
「おやおや?貴方、例の事件について、考えてますね?」
「!」
本当に突然ベットに寝っ転がっていた俺の目の前に意味の分からない奴が出てきた。反射的に体を起こしていたが奴も目の前にススス、と浮きながら移動してきた。
「いやー、件の少女、すごいですよねー(笑)いきなり罵倒を浴びせた!、と思ったらその日のうちに自殺してるんですから。本当にあった事なら少女はひどい奴ですよねー?貴方もそう、思ってるんじゃないんですか?」
こいつは一体なんだ?いきなり現れたと思ったらペラペラと喋ってこちらに合意まで求めてきた。
「お前は一体何なんだ。警察に通報してどうにかなものなのか?」
目の前のやつは「何可笑しな事言ってんだ?」とでも言いたげに口元が緩んでいた。
「通報してもらってもいいですよ?今のところ、あなた以外に私が見えてるわけではないですがね。そんなことより、ボク。いえ、私、実はですね過去に行くのも、過去に行かせるのも得意なんですよ」
聞いてもいなければ興味もないことも一緒に返ってきた。こいつは聞いてもないことをペラペラ喋るような奴らしい。意図は分からないがそうゆうものと納得した方が良さそうだ。
「だからどうした?俺には関係ないことだ。お前の言う例の事件とやらも何のことだかわからないしな」
「またまたー。ソンなこと言って。まあ、貴方の返答なんて聞きませんけどね」
奴が伸ばした腕を躱そうとしたが、もう掴まれていることに気づいた。
「一名様ぁ。ごあーんなーい!」
今まで俺の部屋に無かった筈の扉をくぐり抜けた。