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第7話

斎藤視点




いつからだろうか?

僕が麻薬に手を染めるようになったのは。



僕はみんなのように大それた理想など、持っていない。僕はただ単に人生から逃げてるだけだ。




アンフェタミン。




これが僕の、命の繋ぎだ。


麻薬を使うことにより、僕は自分の在るべき姿へと変われる。



本当の自分を見いだせるんだよ。



なぜ、みんなはこんなに便利な薬を使わない?

こんなにも気持ちいいのに。


次第に服用する回数が増えていくのが問題だが。

問題といっても、入手する手間がかかるだけで、服用する事については回数が増えるわけだから、それだけ快楽が増すというわけだ。


僕は今どき、どこにでもいそうな学生だ。人生についてなんの感心もなく、ただ、ただ、つまらない毎日が過ぎていく。




自分はなんのために生きている?



そう思った事を言えば周りの知ったげな人達は、 やりたい事を見つけろだの、ストレスを解消する方法を見つけろだの、と言うだろう。


だが、こちらから言わせてみれば、そんな事をしてなんになる?と言った感じだ。






“やりたい事や、ストレスを解消する事や、毎日、汗水流して仕事をして金を貰うといった作業は、結局言うと、自分の欲求を満たすだけにすぎない”。



“そんな同じ毎日が続けば、自分の存在意義が心配になり、結局は何もしてない時と同様に無意味な生活を送るのだ”。



結婚して幸せな家庭を築くという方法もあるがそれは、“そんな虚無な人生から抜け出すための一種の逃避行なんだよ”。

結婚するにしても本当の意味で互いの心を開く事など不可能に近い。長年、同じ時間を共有するパートナーなのだからな。後ろめたさもよぎる。

結婚などというのは所詮、自分1人の虚無な生活から心のよりどころを見つけたにすぎない。




僕は、ありとあらゆる逃避行からひとつだけ一番、マシな逃避行に気づいた。


それこそが今も使ってる麻薬だ。




“生きる事は死ぬ事よりも辛い”。


かと言って、“死ぬ事は生きる事よりも辛い”。



全てを捨てれば楽になれる。一番、最悪な逃避行かもしれないが、実は一番マシな逃避行なのだ。


そんなに辛い事があるならば自分から投げ出せば良い。辛い事にわざわざぶつかっていくやつなんて、客観視すれば愚物としか言いようがない。 所詮は人並みの苦悩すらも持ち合わせてない愚物なのだ。


麻薬さえ使えばそんな苦しむ思いをしなくていい。 周りの人間は痛々しい人達ばかりだ。中には、そんな重要なことさえも考えずにただ、楽天的な生活を送る人間もいる。

そんな奴が一番、救いようがない。クソだ。




僕は不良グループの中でも一番、口数が少ない。話すのが面倒なのもあるが元々、口数が少ない集団だから大して話す必要もないのだ。 だから僕は他の四人の行動を傍観している。この五人組に、リーダーなんて者は存在しない。 皆、それぞれが自分の意志で行動している。


強いて言うならば、リーダー格てきな存在は、時斗だろう。


そのあとから、 辰弘、廻原、僕、高崎といった感じだ。

どうでもいいけど。


最近変化が起きた事と言えば、辰弘の奴が、段々と自分を抑えきれなくなってるとこだ。

二つ目に、高崎がまた自殺しようとしたらしいがどうせ今回も生きてるだろう。

見た感じ、五人の中で一番、危ない状況が高崎だろうが、辰弘の奴も危なくなってきてる。 今日、帰る途中に信号の前で意味深な台詞を吐いてたしね。

かと言って、僕もかなり危ないが。

廻原と時斗の二人はまだまだゆとりがある。自分の答えを見つけるには時間が十分にあるのだ。 だが、僕や辰弘や高崎三人はもう、ある程度の一線を越えた為に、時間もあまり少ない。

僕達は答えを見つける。


そうする事により、本当の意味で自由を手にする事ができるんだ。


その時がくるまで他の四人はせいぜい、利用させて貰おう。

僕は帰り道を一人、とぼとぼ歩いている。薬の効果がきれるまで時間は十分にある。

すると、公園の前に廻原がいた。その前には女の子がいる。

何か話してるようだが、遠くて聞き取れない。 廻原が、女の子の胸ぐらを掴み何か吐き捨てた後、早歩きで帰っていった。女の子が両手を握りしめ何か言ってるが、よく聞こえない。


なんの話をしてたのだろう?

どうでもいいけど。


薬がきれないうちに早く帰るとしよう。



だって薬がきれてしまったら。







僕が僕でなくなるのだから。


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