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第6話

萩原視点



今日私は誰よりも早く、学校に来ていた。グラウンドには、部活動に無我夢中な生徒達がいる。私は相も変わらず、その青春まっしぐらの人間達を見つめる。

他の四人が来るまで、もう少し時間が掛かる。どうでもいいけど。


私は、こうして毎朝グラウンドにいる人間達を観察してる。

数分ぐらい経ったあと、高崎が来た。過去に自殺を繰り返し、隔離病棟に幾度も郵送され、それを今でも繰り返しているとは思えない容姿だ。 高崎は自分の机に鞄を置くと、私の隣の席に座りこう言った。


「なあ萩原、お前は“普通”か?」

私には目を合わさずに窓の外にいる青春まっしぐらの人間達を見やる。



他の“無能な人間”なら、いきなりこんな事を言われると、戸惑うだろうね。



だが、私達五人は違う。



互いに思っている事が真の意味で理解できる。


かと言って、我々は互いを信頼なんざしていないがね。“信頼”なんて一体、どこの標準語だよまったく、この国の存在意義が心配になる。




“人は所詮、真の意味で信頼などしていない”。




本当の意味で心を開ける人間なんざ存在しないのだ。必ず心のどこかで相手に対して疑心がある。




否定をしても無駄だ。自分が意識しなくても自分の深層心理までは、図りかねる。


そんなことを思っていると笑いが込み上げてくるよ。




人間関係なんざ、一流お笑い芸人よりも遥かに、“ギャグセンス”がある。

あ〜可笑しい。



高崎は私に興味がなくなったのかそれとも、外を眺めるのを飽きたのか、自分の席へと戻る。気がつくと、五人とも集まっていた。廻原が、自分の机に荷物を置く。



廻原、奴は五人の中でも一番、良識を持っている。かと言って、奴にはやはり他人と共存などできやしない。

それは、私も同様だ。


所詮人間という生き物は“利己権欲”の肉塊だ。本当に馬鹿馬鹿しい。



私は常、日頃からこの世の“法”というものに疑問を持っている。坂井と同じ疑問に適するが、あいつは人を殺そうとする事で、変わろうとしてる。簡単な話そうすれば、この世の道理、法則から抜け出して更にはそれを“否定”して、自分のしたことを、肯定できるといった寸法だろう。どうでもいいけど。

人を殺すのは結構だが、なるべく事を公にしない事だ。



一時間目は、体育だった。私達は勿論、見学だ。 つまらん世界のつまらん人間達と、戯れるくらいならまだ、小鳥たちと戯れた方がまだマシだ。

無理やり騒いで場を和ませようとする人間達を私達五人は冷めた目で見やり、現地に向かった。




体育の授業が終了して、私達はさっさと教室に戻り、さっさと着替えた。すると、廻原が私に話しかけてきた。


「時斗、高崎はどうした?」

「さあ?私には。」

そういえば、高崎が見当たらない。まあどうでもいい。


私は一人、トイレに向かった。







トイレの中には高崎が倒れ込んでいた。手首から血が流れている。高崎が私を凝視している。どうやらまだ生きてるようだ。


「時斗・・・なぜ、お前がここに?」

高崎が苦しそうな声を出す。



まったく、愚問だな高崎。排便しに来たに決まってるだろう。

決してお前の死にざまを見に来たんじゃない。


「どうする高崎?もうじきチャイムが鳴る頃だから、もう周囲には人がいない。助ける事もできるが、見殺しにする事もできる。自分ひとりでも歩けて助けを呼べただろうに、敢えて、お前は自分を追い込む事により答えを見つけようとしたんだろう?お前は相変わらず愚かだな高崎。」


高崎が私を睨みつける。死にぞこないの顔見るのはまったく痛々しい。反吐がでる。まあ、今回は敢えて、助けてやろう。まだ、こいつは利用できる。他の三人も含めてな。


「先生の所に行ってくる。ただし、もう次は無いぞ。」


私は用を足した後、トイレから出ようとした。


「てめえ!余計な事、するんじゃねえ!」


半、骸がギャーギャーわめくな見苦しい。なんなら、今ここで殺してやろうか?。

私はスルーしてトイレからでる前に、捨て台詞を吐いた。


「高崎、お前が朝に言ってた言葉に対して私はこう返答しよう。」




「普通を求めても無駄だ。“普通なんて、自分を過大評価するため、自分を安心させるために生み出された言葉にすぎない。”」


高崎が何かを言おうとしている。

だが、私はもう興味がなくなった。この場から失せるとしよう。



「頭がいいお前になら、私の言う事が解るだろう?」


私は手を洗い、トイレからでた。そして職員室へと向かった。




下校中、私達は一切、高崎の話題には触れなかった。単純に興味がないだけだ。

信号が青になるのを待つ中、坂井が私に話しかけてきた。



「時斗、なぜ、信号なんてものがある。」


私は、同様する事なく、能面の笑みで答えた。


「君らしい、言葉だな。」


坂井は、顔をしかめて、下をむいた。

相変わらず、坂井はタチが悪い。五人の中でも一番、本能的な奴だ。この私をも同様させる言葉を放つ。

私は敢えて同様を悟らせず、彼の死角の方向を向いた。そうこうしてるうちに、信号が青になっていた。


「お前らなにしてんだよ。さっさと行くぞ。」


廻原が促し、ようやく私は我に帰り、横断歩道を歩いた。

後から坂井も続いて歩いてくる。



それから各自別々の道になり、私は一人で帰っている。一人になると更に気楽になるな。考えもまとまる。


私は帰宅途中に、いろんな人に巡り会い、話しをしている。

暇つぶしと、趣味の観察も兼ねてだ。

話していると大概、相手の考えてる事が見え見えだ。




こちらを探るような目つき。




初対面なのに時折、敬語からタメ口に変わる時。



私は、それを作り笑いでごまかしている。内心は大爆笑だ。


これだから人間という生き物は面白い。

入学時や、クラス替えの時の、友達作りみたいじゃないかまったく。


坂井はこんなちまちました事は性にあわないのだろうな。


私も確かに坂井同様、この世の法則に不満を抱くが、あいつとは、別の考えで答えを見つけるつもりだ。そのためには、あいつにはなんとしても引き立て役になってくれないとね。



考えてるうちにどうやら、自宅についたようだ。




いやいや、まったく。









今日もなかなかに楽しい1日だった。

もう少し、したら恋愛要素も含む予定です。

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