第5話
坂井視点
先程、高崎が病院に運ばれた。 あの馬鹿はまたやらかしたのか。
まあ、俺には関係のない話だ。
あいつは、数々の言葉に疑問を抱き、自問自答している。特に最近は“普通”という言葉に疑問してるようだが、自分自身を知ろうとしながらも毎度毎度、自殺を繰り返す人間などに興味は勿論の事、感傷も無い。
俺は、重圧に酔いしれて溺死する事は無い。俺は、他の奴らとは違う。
廻原といい、高崎といい、奴らは本当の大切なものを見失っている。
本当に大切なものは、規制や制約から解き放つ事だ。そのためには、善だろうと悪だろうと事を成さなければならない。
それを実現するのは案外、簡単だ。
人を殺せばいい。
人を殺せば、きっと何かが変わる。
俺は、それだけを信条にして生きている。この世の法則や道理など、知った事ではない。 そんなものにこだわるから、自分を抑制しているから、駄目なんだよな。
全てを解き放ち、楽になれば良いものを。
そんな簡単な事にも気づかないとは。
俺はある日、ネットで人が殺される動画を見た。 中学の時の事だ。
その時、俺の中で何かがはじけた。
俺が知り得ない、未知の世界。
素晴らしいのたった一言。
俺はその時から人を殺したくて、ウズウズしていた。だが、それを実行するのを躊躇う、自分もいる。
自分でも、思うよ。なんとも間抜けだとな。
そんな時、奴ら四人と会った。そしてこいつら四人となら、答えを見つけれる。
奴ら四人には、その利用価値がある。
俺の思想は、時斗と似通っている。 だがあいつの場合は、人を殺す事で変わると信じてる俺とはやはり相容れない。
奴は、他人の器量を図るのを趣味にしてるようだが、そんなくだらん価値を持つ人間たちの器を調べてなんになるというのだ。まったく、気に入らない。
高崎もなかなかしぶとく生き長らえているようだが、今回はどうなったのだろう? どうでもいいが、そろそろ死んでもおかしくない頃だ。
俺達、五人の中で最初に死ぬ危険性があるのは高崎だ。
他の三人もそう思ってるだろう。 どうでもいいけど。
授業が終わり俺達四人はさっさと下校する。高崎の見舞いなど行くわけがない。めんどくさい。
信号があり俺達は止まる。何故だ?何故信号なんて物がある?事故が起きるからなんていうくだらん理由はどうでもいい。
俺は時斗に問う。
「時斗、何故、信号なんてものがある?」時斗は、困った顔でその問いに答える。
「君らしい、言葉だな」 時斗は相変わらずの作り笑いで言う。こいつは俺の性質を見抜いている。まったく気に入らない。
俺は、“縛られる”のが何よりも嫌いだ。信号を嫌うのもそのおかげだ。
信号が青になる。
歩けと命令してるかのように。
俺は段々とイライラがつのる。他の三人がそんな俺の歪んだ顔をちらりと見て横断歩道を歩く。
俺の事なんざ眼中にないように。
気を取り直し、俺も歩きだす。
ああ・・・・・
人を殺したい・・・。




