第39話
廻原視点
屋上。
いつものとおりに昼飯を食べようとすると、スーツを身に纏った如何にも紳士と言った風な男が僕に話し掛けてきた。
「あなたが廻原君ですか?」
「だったら?」
「疑問を疑問で返すのはコミュニケーションとして失礼だと思いませんかね?」
「今、お前も疑問で返したからおあいこだ」
「フム、調べた通り、なかなかのひねくりぶりと口八丁なお方だ。」
調べただと?
僕は不良扱いされて、学校では空気同然の存在なハズだ。
まさか…今までの“出来事”がばれた?
「そう、身構えないでください。とって喰う訳ではありません。申し忘れました、私の名はジョン・ハーゲンティといいます。今回あなたに訪ねに来たのは我が主君である、斎藤氏からの言伝があるからです」
「聞きたい事は腐る程ある。だが、斎藤からの言伝だと?最初にそれを聞こうか」
「はい。斎藤氏はもうあなたには興味が無くなったとの事です」
なんだと?
「わかりませんか?戦力的に考えれば我々は、ひとつの勢力となっています。萩原の方も偵察員が調べた情報によると、傭兵みたいなのを雇ってるとか。斎藤氏にとって自らの“答え”などというのは最早どうでもよいのですよ。今ある享楽にただ、酔いしれるのみ…」
なる程な…つまり僕……と、あと神山を含めてもたったの二人。正に戦力外通告って奴だ。
「現状ではまだ問題があります。以前、亡くなられた高崎という人物が経営していた会社が何者かの手によって“真相”が暴かれましてね。彼らの専属SPたちが血なまこになって、我々やあなた方を消しに掛かってるのですよ。まあ私としては逆恨みも含めていると考えていますがね」
………つまり結論から言うと、僕は負けたということか?
どうすればいい?この状況を?
何か方法はないのか…?
「廻原君、だあ~れその人?」
「おや、これは可愛いお嬢さんだ。名前は神山と言いましたかな?」
「なんで私の名前を知ってるのよ」
「あなたの調べもついていますよ。昼食の邪魔をしちゃ悪いのでそろそろ退散しましょうか。あ、お二人共。もし刃向かうようであれば、軽くねじ伏せますのでよく考えて、行動して下さいね。せっかく拾った命なのですから」
そういうなり、あいつはバタンと屋上のドアを閉めた。
「廻原君、なんなのよあいつは」
「どうやら心理戦は終わりのようだな」
「廻原君?」
さて、まだ希望は残っている。高崎の勢力に取り付くとしようか。
高崎透。
あいつは最高の置き土産をしてくれたな。
斎藤視点
「上手くいったか?」
「ええ、あの二人は恐らく高崎の勢力に便乗してくるでしょうね」
「よし、ご苦労だったな」
「いえ、礼には及びません。しかし“高崎が経営している会社にあの家族が一家もろとも死んだ、真相を自らバラす”所を考えると、あなたはこの状況を心底楽しんでるのでしょう?」
「あたりまえだ。僕はもっと廻原には動いてほしいんだよ」
「して、今の目標は?」
目標か…萩原のところとかも気になるな…。
「よし。ガキの使いを二匹ほど送り込んでこい」




