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第36話

廻原視点




どうしたもんかな…



朝方、クソ校長が生徒に対する涙ぐましい演説を軽く聞き、どうでもいい存在なのだが、また生徒が死んでしまった為に、学校生徒達の気持ちも心なしか、暗くなり疑心暗鬼に陥り始めた。


教室には、僕と萩原、斎藤の三人だけ。神山は傷が治ってないから病院にて療養中だ。




「今朝、ニュースでやってるのを見たのだがまさか、高崎の仕業だったとはなあ。私としても、彼の犠牲は余り喜ばしくは無い。むしろ、あの時忠告してやったのに、高崎は本当に愚かだと私は思ってる。もう一度言うよ?喜んでいるのではなく、“呆れて”いるのだよ」


萩原らがオーバーな動作で、身振り手振り、動く。まあ最も、その意見には僕も賛成だが。


読書をやめた僕は、斎藤をチラリと見る。あいつは僕と萩原が話し合ってることなど、どうでもいいようだ。ただ教室の隅に座って、じっとしている。


どうでもいい話?




ククク。


まあ、確かに死んだ奴の話なんてどうでもいいことだよなあ。明日くらいにはこの話題もなくなりそうかな?


缶コーヒーをグビグビ飲みほしていく萩原。僕はこいつをみて思う。



こいつは今まで起こってきた出来事を見通してるんじゃないのか?



あるいは真実を知っているかだ。



「廻原君。警察の調べだと、高崎君は両親を殺した後、何日か飢えをしのぎ生きていた。そんなある日、両親の部屋に一冊の日記帳を見つけそこに語られていた内容を読み、自分が以下に親への愛情が深かったかという事を思い知り、両親の後を追う為に自殺したというなんともキレイな感じで片づけられている」


「そうだな。だが真実は違う。絶対に違う。警察も見た筈だ。高崎の体、主に手首を」

あいつは親からの虐待、そしてリスカし続け、痕を残した手首。


僕は内心、高崎が死んだ事に対してどう受け止めるべきか迷った。


そう、この僕が迷ったのだ。



本来はいつものように、どうでもいいと、ひとりごちるとこなのだが。


「萩原。あいつは、答えを得られたのかな?」


「さあな。あいつは坂井の次に感情を面に出すような奴だったからね。親の書いた日記帳の性で胸を強く討たれたのかな」


「あまり、利用できなかったのが僕的には残念だよ」


「私はなかなか利用できたけどなぁ。今回の件は高崎も少しやらかしたと思う部分があっただろう」


「確かにな。神山に襲撃したときも、あいつは覚悟を決めてたんだろうな」


まあとりあえず、これで三人になってしまったという事か。

斎藤は、すっくと立ち上がると鞄を片手で持ち、教室からでようとする。

どこに行くんだと萩原が言うと斎藤は、帰るとだけ言い教室からでた。


僕達はそれ以上、何も言わずにバラバラで帰る事にした。

いまの所、僕は萩原や斎藤を殺す理由なんて無い。だが、向こうにその気があるなら、避けて通れはしない。あの2人もなかなかに手強い相手だからな。




萩原視点





廻原と一通り話したあと、我々は解散した。


高崎も可哀想に。


強引に答えを求めようとするからそうなる。

それとも死ぬ事により、答えが見つかったのかな?


私もそろそろ動く必要がある。


近いうちに、斎藤辺りからの襲撃に備えなくてはな。



私は家へと戻る。いつものようにメイド達からの迎えがあり、私は適当にそれを流した。


このメイド達は実戦の為に鍛えられたプロの傭兵達だ。

本分はメイドだが、護身用の為に、そして私を守る為に、いつでも戦う覚悟を決めている。

数えて七十人くらいだ。


あいつらには私の所在は教えていない。

後々、面倒になりそうだからな。


私はベランダへと上がると、缶コーヒーを飲む。夕焼け空が美しい。



「時斗様。今日の夕飯は何にいたしましょう?」


後ろからいつものように聞きなれた声が聞こえる。彼女の名前は、神無月かんなづき夜宵やよい

僕の家で最も長く暮らしてるメイドだ。彼女は私が幼少の頃から姉のように母のように接して暮らしてきたのだ。私と同い年の癖に。


そして、家の中のメイド全員を取り締まる、ほどのカリスマと実力を持っている。もしかしたら私より強いかもしれない。


なにより、私は彼女の事だけは行動がなかなよめないのだ。


「夜宵、メイド達に一応、警戒する事を伝えておいてくれ飯はチャーハンにでもしてくれ」


「かしこまりました。警戒ということはそろそろ……」


「ああ…私もそろそろ動く頃合いだ」



「時斗様。きおつけてください。あなたが死んだら私は…」


「わかってる。この私が死ぬわけないだろう?それに君は私以上に強いのだから、しっかり私を守ってくれないと」



「……はい!」



夜宵が、鼻歌混じりに下へ降りていく。



夜宵だけは私の味方だな。メイドというのを辞めて普通に私と接しても構わないのに……。



おや?せっかくの美しい夕焼け空がいつの間にか曇り空に変化してるな。



これは一雨きそうだな……或いは“嵐”の予兆かな?





斎藤視点




「ねーねーそれじゃ、高崎って子は死んじゃったの?」


「ああ…そろそろ本格的に僕達も楽しむ事にしようぜ。萩原の家は山付近にあるし、今から雨がふりそうだしな。楽しく殺すには絶好の機会だ。」



「じゃあ、私は部下を手配するね!後、私と同じくらいの実力者を用意するわ。ところで、廻原って人達はどうするの?」


「それも今、悩んでる。萩原にするか廻原達にするか悩んでるんだ」


「廻原って人達からにしない?萩原の家には偵察隊を入れるから。萩原は素性が知れないから、油断は禁物よ」


「まあ、確かにな。だったら、廻原達にするか」




「話はすみましたかな?」




振り向くとそこには、男女が9人程、いた。いかにもヤバそうな面だ。誠実そうな顔をしている奴でも、殺意が見え隠れしてる。


「藤間、なんだこいつらは?」


「安心して、この人たちは遊輝君の味方だよ。他にいるのは格下の奴らなんだけど。この人達、10人は、あなたのボディガードよ」


「10人?あとひとりはどうした?」


「ふふ、あとひとりは私よワ・タ・シ」


「そういう事だ。よろしく斎藤の旦那」


他の奴らも自己紹介してくる。どうやら躾が行き届いてるようだな。




名前を聞かされたのだが、こいつらの名前は北欧神話に出てくる、ソロモン72柱の悪魔達の名前からとったらしい。


まったくかっこつけやがって。



まあ、こいつらも利用すればかなり楽しめそうだ。

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