第29話
廻原視点
高崎の奴、今日は休みか。またリスカやったんじゃないだろうな。どうでもいいけど。
それより今は当面の目的だ。斎藤のやつ、随分目立ってるな。あの二人をこれ以上、野放しにしてはおけない。
何故かって?
僕よりも楽しそうにしてるあいつを見て、何となく殺そうかと思ったんだ。
ていうか正直理由なんて無い、というより要らない。
理由が有ろうが無かろうが、斎藤達を殺したいのは変わらない事実だ。そしてそれは、自分の真っ直ぐな気持ちだ。
今は授業中だというのにクラスの奴らは喋ったり、携帯いじったり、寝ていたりの最早、勉強する気が全くない。
まあそれは無理も無い。人間は自分の興味を示さない物には手をつけないからな。かと言ってこの喧騒は他のクラスにも悪影響がくるんじゃないか?
どうでもいいけど。
萩原は、他の奴らとは違って真面目に授業を受けている。
ノートにスラスラとペンを走らせ夕方まで、この分だと暇しそうにないな。
斎藤は、後ろの一番端っこの席で、音楽を聴きながら、外の景色をぼんやりと眺めてる。
クラスの携帯をいじる奴らは流石に授業中ということもあり、机に上手く隠しながら教師の目を欺いている。
だが、斎藤の奴は端っことはいえ、堂々と椅子に寝そべりながら音楽を聴いているのだ。ところが、教師は何も言わない。
まあ、当たり前な事だ。
僕達は学校内では畏怖の対象にされてるからね。そして斎藤には、協力者がいる。しかもそいつはヤクザの家柄らしい。
まあ、僕の敵ではないけど。
まあ、そういう訳で、僕達には余計な事は言わないというのが教師連の中で暗黙の了解があるらしい。
フフ、賢明な判断だ。
坂井の時なんか、普通に机の前に出してゲームしてたからな。教師は勿論、怒った。坂井は逆ギレして、教師を殴り倒した。坂井の奴は1ヶ月間停学になり、相当ストレス溜めてたらしい。そしてまた復帰したのはいいのだが、懲りずにまた授業中、ゲームをしていた。だが、教師連はもうこれ以上何も言わなくなった。
あきらめたのか、恐怖を植え付けられたのか。どうでもいいけど。
所詮、権力など、武力を突きつけられたら何も出来やしない。坂井はそれをよくわかっていた。だからこそ殴ったんだろうな。
過去を振り返るの止めて、僕は騒いでる連中に目線を向けた。どうでもいいが五月蝿い奴らだな。空気が読めないのだろうか?
萩原が観察するみたいに、じーっと見つめていると、騒いでる奴らがこちらの視線に気づいた。僕と目があった途端、そいつらは慌てて目をそらした。
僕が怒ってるように見えたのかな?まあ多少五月蝿かったが、別に怒ってなどいない。ていうか、感情が欠落している為、怒る事が出来ないのだ。
僕はそいつらに興味がなくなり、眠ってしまおうかと思った。
と、その時
ガララララ!
という音と共に高崎が入ってきた。
すみません…遅くなりました。
萩原視点
授業中は静かにするのが定義だが、そんなの誰が決めたっていう話だろう?
いや、むしろ定義というより“定着”と言った方が正しいな。
だが今時そんな喧騒に包まれたのを注意する教師はそんなにはいないだろう。
教師連の役目は生徒に勉学と道徳を教えるのが役職だ。
教師が本気でそれを教えるとなれば、ちゃんと生徒達を注意して教室全体を静かにしなければならない。
だが、教師がそれを放棄して、ただ教科書を読みながら、黒板に書くだけ。
これで教師と生徒には互いの、暗黙の了解が出来るのだ。
どちらかだけが真剣にやるのはフェアじゃない。片方だけが、真剣にやるのは馬鹿らしいだろう?
だからどちらも役職を放棄して、各自好き放題するのだ。
斎藤の奴は音楽を聴きながら、外を見てるし、廻原は何か考え事をしている。
私は、廻原を観察してみた。廻原は顔を上げると、騒いでる連中をじっと見つめている。五月蝿くて怒ってるのだろうか? いや、その程度でキレる奴じゃない筈だ。 あいつは、廻原は本当にロボットみたいなやつだからな。感情が出るのはたまに笑い顔を晒すだけだ。
斎藤は、嫌な思いを持つ時もあり、怒る時もあるからまだマシだ。
だが、廻原は…
五月蝿い連中は、廻原の視線に気づくと急に視線を下に下ろし黙りこむ。
悪い意味で廻原も人望があるな。
まあこれで静かに勉強できる。どうでもいいけど。
と、その時
ガララララ!
という音と共に高崎が入ってきた。
すみません…遅くなりました
斎藤視点
僕は外をぼんやりと眺めながら、薬の副作用があった日を思い出していた。
あの頃はとても充実していた。
今と比べれば絶対に、薬を服用していた方を選ぶだろう。
おそらく、生きるにおいての枷が無くなったからか。だから実感が無いんだろう。
そして本当の自分を見失うのだろう。
最近、ツレとやってる“快楽遊び”は、ストレス解消のためかな。
藤間美希が現れたせいで、今までの日常が壊れたような感じだ。あ~胸くそ悪い。
そしてチラチラと神山が僕に敵意の眼差しをむける。僕達のしてる事を知ってるのか?
だとしたら藤間を連れて近い内に、こいつを抹殺しなければならない。
坂井を殺した奴だ。
得体も知れないし、何をして来るかも解らない。
どうしたもんかなこれからは…
と、その時
ガララララ!
という音と共に高崎が入ってきた
すみません…遅くなりました
高崎視点
ククク。そうだよ!俺の判断は正しかったんだ。
俺の両親は常に俺を勉学に縛り付ける。
その期待に満ちた目が目障りなんだ!
毎日毎日俺を勉強漬けにしやがって。
あの二人は、俺を人として見ちゃいない。自分等の評判とキャリアを高めるただの道具なんだ!今の俺は!
こいつらもうどうでもいい。
俺は人を殺して答えは得ないが、今ここでこいつらを殺すの必要事項だ。
これ以上こいつらの思い通りにはさせない。
そして昨日、俺は狂ったように逃げ惑う両親を追いかけ、台所にある包丁で滅多刺しにした。
さて!これからの生活のまえに当面の目的だ。
俺は朝飯に昨日バラした新鮮な肉を食し、快適な気持ちで学校に入った。
ガララララ、という音と共に、注目を浴びる
俺はどうでもいいと思いつつ、教師にこう告げた。
すみません…遅くなりました




