第22話
高崎視点
「じゃあやはり、坂井の奴は・・・。」
昼飯時に俺と萩原と斎藤は、どうでもいい事だが、共に食事をしてる。俺はあの現場にはいなかったから、真相を聞いているのだ。
ジャムパンをかじりながら萩原は、だが殺したのは私じゃないと言った。
だとすると、斎藤が?
斎藤に聞いてみると、僕は自慰に没頭してたから殺してはいないとぬかしやがった。それなら廻原か?と問うてみると萩原が、可能性はある。あいつは途中で斎藤から別行動をとっていたらしい。と言う。
「まあ、私の手で殺してやりたかったが、正直あの場は逃げて正解だった。坂井が相手では何かしらの傷は負った筈だし、なにより予想外のトラブルが起きたからな。」
萩原はそう言い、斎藤をじろりと睨む。
「仕方ないだろ?気持ちよかったんだからな。溜まるモノは常に出さないと体に悪いだろう? ん?なんだその目は萩原。殺意が見え隠れしているが、僕はまだお前と殺り合うつもりはないぞ?」
「ふはは。麻薬中毒者には羞恥心という物は無いようだな。ならば今、ここで貴様の体が蹂躙されようとも何も思わんのだろう?」
「あはは。生憎、僕は男には興味がないんだよ。気持ち悪い。失せろ。ホ・モ・サ・ピ・エ・ン・ス」
俺は二人の格闘を冷ややかに観賞し廻原に直接、聞き出す事にした。
別に廻原が坂井を殺したとしても、俺はどうもしない。あえてするならば、賞賛の言葉でも贈ってやるか。
廻原は直ぐに見つかった。昼飯は食い終わったらしく、教室に戻ろうとしてるようだ。
「人間は言葉の重みが解らない・・・。」
ん?あいつは何を言ってるんだ?まあいい、話に合わせてやるか。白々しく話しかけ俺は、
「その意見には賛成だな。」
廻原が意外そうな面持ちで俺を見る。
その瞬間、俺の遥か前方の方に殺意の波動が放たれた。
俺は本能で悟る。
これは間違いなく、廻原じゃない。俺を標的にしてる。
あの後、俺は廻原から坂井の事を聞き出し、奴の会話に合わせて気を紛らわし、逃げるように去った。
廻原でもないとすると、一体だれが?坂井の野郎はどこぞの変質者にでも殺されたのか?
だとしたら益々、今回の件に俺は失望した。
見損なったぞ坂井。
まあもとから見損なう、人格を持つ奴だったが。
それにしても。
さっきの殺意を帯びていたあの視線。
あれは一体、何だったんだ?
神山視点
廻原君がいなくなった後、私は彼を尾行していた。
私は廻原君を自然体で受け止めたい。
私の言いつけも聞いてほしいけどね。
にしても、酷いなあ廻原君は。
私にあそこまで言わせても頑なに拒むなんて。
未来の妻に恥をかかせるなんて夫として失格だよ廻原君!
あんまり我が儘が過ぎると・・・・
私もそろそろ、我慢できなくなっちゃうよ。
まあこれもそれも、廻原君の周りにいるあの三人が悪いんだけどね。
高崎君萩原君斎藤君。
坂井君はもう殺しちゃったから、次は誰を殺しちゃおっかな~。グフフ。
障害を踏み越えて、築き上げる二人の恋。
なんて素晴らしいの!
待っててね廻原君。まだまだ私の課題は山積みなの。
私は、明るい人生計画を模索しながら、ストーキングしてると、例の害虫が廻原君の前に出た。確かあれは、高崎君だったっけ。
糞、あの野郎・・・。今、真夜中だったら、直ぐにでも殺しにかかるところだ。
私は、体に殺気をみなぎらせ、あの害虫に見えない光線を飛ばす。そのまま二人は、教室に戻っていった。
ああ! 駄目! 駄目だよ廻原君!そんな害虫と一緒に歩いちゃ!私よりもそんなゴミ相手がいいの?
そんなの駄目。絶対に駄目!。どうして私の言う事が解らないの? 私の愛がまだ足らないというの?
私は放心しながら教室に戻った。担任からは安全対策の為、一定期間の間、休校にするとのことだ。
私は担任の話など聞かずに、廻原君との日常を思い浮かべる。
ウフフ、廻原君。
私の愛が足らないのならこの休みの間、徹底的に愛してあげるからね。
廻原君とふたりっきりの休日期間。
私はこの休日の間に、どうやって廻原君を私のモノにするべきか考える事にした。
後、もうひとつ。
次の標的は“高崎君”にした。
彼は顔は良し、頭は良し、体格も良し。だけど常に孤独な人だ。
だか彼は幾度となく自殺を繰り返している噂があるらしく、とてつもなく近寄りがたい。
あんたみたいなイカレタ奴、私が成敗してあげるわ。




