第21話
廻原視点
少し前に、クラスのいじめっ子達、女子生徒が失踪した。無論、僕と神山が、制裁を加えたからだ。
そして今度は坂井がいなくなった。無論、神山が制裁を加えたからだ。
朝は警察やらマスコミやら、殺到しており、教員達はパニックに陥っている。
犯人はとても身近なところにいるというのに誰も気づかない。まあ、僕達もそれに加担しているから、バレてしまうと連帯責任だな。
そして、当事者は
僕の隣に座り、ベタベタくっついているのだ。
「神山。いくら屋上だからって、引っ付きすぎだ。不衛生だ。」
「廻原君、私達ね。もっと時間を共有した方がいいと思うの。 私達はいつの日か、そい遂げる事になるのだから。」
「ふざけるな。お前は利用価値があるからこうしてつき合ってるだけだ。坂井を殺した事は流石の僕も予想外だった。そこは褒めてやる。だが、余り出過ぎた真似をすると僕がお前を殺す事になるぞ?」
「え〜。廻原君が私を?またまたそんな冗談を〜。それに坂井君は弱ってたから、女の細身でもあっさりと殺せたのよ。」
「それよりどうする?この事件が知られると僕達は終わりだぞ?」
「大丈夫よ!証拠という証拠は一切合切、隠滅したから。私達のライフワークに余計な横槍は無用なのよ。」
「僕を巻き込むな。」
坂井の奴は僕達、5人の中では上手くやっていた方だった。だが、奴は焦り過ぎた。答えを簡単に見つけられたのに、“簡単過ぎて逆に躊躇ってしまう”。
その結果、似た考えを持った萩原に勝負を挑み殺されかけ、神山にトドメを刺された。
“迷いを持つ者に答えは得られない”。
月並みなセリフだけどな。
今回の坂井の暴動は、間違いなく、僕達の無関心な心に無関心な影響をもたらした。
坂井は死ぬ前に何を見た?
一体、どんな答えを見つけた?
それ以前に答えを得らたのか?
今となっては、誰にも解らない。
神山が僕の服を引っ張る。
「ねえ、もうあの四人とは関わらないで。 あ! 坂井君が死んだから、三人だね。」
「萩原達の事か?そいつは無理だ。あいつらには利用価値がある。坂井はスクラップになり果てたが、他の三人なら少しは常識を持ってるだろう。斎藤の奴は救えないが。」
薬中だしな。
「あのね、さっきも言ったように私達は時間をシンクロしたほうがいいの。答えを見つけたいなら、私があの三人分手伝ってあげる。あの三人が邪魔なら、私が皆殺ししてあげる。廻原君は私のモノだから。ね?」
・・・時間の無駄だな。
僕は神山の手を払いのけ、屋上から出た。廊下を歩いていると職員室からざわめきが聞こえる。教員達がこの大惨事にどうやって対処するか思案してるのだろう。
どうでもいいけど。
誰が死のうが自分は関係無い。これは誰もが持つ人間のどす黒い感情のひとつだ。
人間の考える事は大概がゴミだ。
人間は、“ひとつひとつの言葉がどれだけ重いか、考えずに口走る”
勿論、それは僕も同様だ。だが、僕には自覚がある。今頃の人間は自覚すらもない、愚図だ。
「人間は言葉の重みを解らない・・・。」
「その意見は俺も賛成だな。」
僕は前を見失っていた。
そこには高崎が立っている。頭の良い高崎はやはり理解しているか。いざ、僕と高崎が殺し合う事になったら、僕が不利だろう。坂井がいなくなったから、次に身体能力で優れてるのは高崎だ。
「斎藤から聞いたよ廻原。坂井は死んだんだな。やったのは、萩原か?」
「さあな。」
「思わせぶりな態度だがまあいいや。俺にはどうでもいい事だ。・・・・・人間というのはどうして他人事とはいえ、無関心なのかな。」
「感心があるのは私利私欲に目が眩む時だけだ。人間なんて生き物は、逃避行、欺き、“餓欲”に優れた地球上で一番汚い生物だからな。中には自分の非を認めない奴だっている。所詮、人という生き物は本当の意味では分かり合えない。僕や高崎も同様だ。自分の心の内は自分自身でも解らない。」
「同感だな。坂井の奴は萩原に愛とやらを送ったらしいが、冷徹な萩原に通じるわけがないだろう。」
この後、僕と高崎はそのまま教室へと向かった。朝のホームルームが始まりそこで、学校生徒の安全の為に、暫く、休校となったのだ。
そしてこの休暇の間、僕は神山から、たっぷりと愛とやらを受ける事になる。
この僕が人のモノだと?
今更ツッコミをいれたがな。




