第13話
高崎視点
朝だ
いい朝だ
今日はとてもいい朝だ。
俺は今、この清々しい青空の下でお日様の光を沢山、浴びている。植物が光合成する理由がなんとなくだが解る気がする。
今日は金曜日だ。他の四人は相も変わらずに学校に行っている。まったくご苦労な事で。
あの時、俺は時斗に助けられ、病院に送られた。今回は死ぬかと思ったのだが、時斗のせいでとんだ無駄ぼねだった。
病院側は、俺の精神が異常だと言う事で適切な処置を施した後、精神科の病院に送られた。
精神科は俺の格好の獲物ばかりだ。
堕ちるとこまで堕ちた人間が腐るほどいる。時斗にも見せびらかしたい気分だ。
俺は今、屋上にいる。
フェンスの奥には、広大な大地が見える。全てを解き放つには絶好の場所だ。
退院はしてもいいらしいが、俺はもう少しここに居る事にしよう。
俺はあの時、意識が途切れる寸前まで、時斗の言葉を聞いていた。
今でも、腹が立つ。
時斗の野郎、全てを知ったかのような言葉を使いやがって。
奴の戯れ言を聞くのもいい加減、飽きてきたな。そろそろ、“普通”を見つける前座として時斗を殺してやろうか。
俺は光合成を止め、自室に戻る事にした。
廊下を歩いていると色々な人がいる。
情緒不安定な人や、それを支える看護婦。
言語障害で、人づきあいに疲れた人。
そして、俺と同様に自殺を図った人。
・・・・・解らない。
“普通”というのが。
表舞台に立つ人間から、このような底辺に属する人間を徹底的に調べても、どうしても、“普通”というのが解らない。
いや、表舞台とか、底辺とか、そんな言い方はやめよう。
“人が人に向かって自分の物差しで語ってはならないのだ”
そんな事を考えてるようでは、俺はあの五人の中でも一番、ぬるいのかもしれんな。
それにしても、斎藤の奴は麻薬を使っておきながら、よくもまあ自我を保ってられるな。
たまには、ここに来ればいいのに。
そう思っていると、看護婦が部屋にはいり、
「高崎さん。面会人です。」
とだけ伝え部屋から出て行った。
部屋からまた入ってきたのは斎藤だった。
斎藤視点
僕と高崎は例のニュースを見たあと、屋上へ向かった。
屋上の方が話やすいからだ。
「いったいなんのようだ?ついに薬物中毒レベルが末期にまで達したか?」
「黙れ。高崎も見たとおり、あのニュースは坂井がやらかしたと思ってるだろう?」
「ああ」
「僕もそう思ってる。むしろ、確信に近いよ。廻原や、萩原もあいつがやったと疑ってる。その証拠に坂井は今日、学校に来ていない。」
「ほう?だがあいつがしくじるとは。なにかミスでもあったのか?」
「さあね。それこそ、本人から聞いてみないと。まあ無理だろうけど。」
「フフ、あいつが今やはり進展しているな。俺達の中では。」
僕達四人は坂井のやった事に対してとやかく言うつもりはない。
むしろ、大した奴だと感心している。
ようやく、大きな動きがでたな。
萩原視点
斎藤が、早退して坂井がいない。高崎は病院に居る。
ここには私と廻原だけ。随分と寂しくなったものだ。
朝方のニュースは、なかなか楽しめた。
真偽は不明だが、やったのは間違いなく坂井の奴だろう。
あいつのおかげで、俺もようやく動くことができる。
あいつは最高のスペアだ。
廻原視点
眠たい。昨日から寝不足で、坂井の事については考えたくもない。
昨日は夜中に、いた電をずっとかけられて寝つけなかった。誰だかはしらんが、なんとなく頭から神山を連想してしまう。
あいつの仕業か?
まだ解らないが、いずれにせよあの女あの時、ヤッとけば良かった。
そして今はお昼休み。
屋上でひとり、いつもは静かに食事してるが、今日はとなりに神山がいる。
どうでもいいけど。




