第10話
坂井視点
小鳥たちのさえずりが聞こえる。
清々しい天気。
真っ青ないわゆる、快晴
絶好の人殺し日和だ。
俺の、心の中のどす黒い一面がslowで立ち上がる。
毎日毎日、学校行く事で抑制の呪縛から解放される。
要するにイライラが高まってるのだろう。
俺は学校に着くまで、様々な人間と会った。
元気よくマラソンするジジイ。
足を切って全ての希望を断ち切り殺したい。
集団登校する小学生達。
朝からピーピー喚いてイライラする。そんなガキに世の中の厳しさを教えて、殺したい。
特に女の子の方には、“女になる喜び”を教えた後、あの細い首をバッキバキにして殺したい。
俺は顔を歪めながら元気に登校した。
俺は教室に入ると、他の三人は既に来ていた。高崎は入院中だ。
そして、自分の椅子に座った瞬間、気づいた。
なんと俺の“アレ”が、勃起していたのだ。
散々んだ妄想をした挙げ句、教室に入るまで気づかなかったとは。
このままじゃ抑制はおろか、ついに殺人まで至ってしまうなこりゃ。
萩原視点
坂井の奴も随分と堕ちたものだ。あんな状態になってると、じきに“解放”するだろう。この世のあらゆる制約から。
まあ、奴にとってはそれが正しい在り方なのだろうが。
「坂井、“ソレ”をそんなにして一体、どうした?」
「いやなに、もうすぐだ。もうすぐなんだよ。」
私も廻原も斎藤も、坂井を見つめる。 高崎が先かと思いきや、まさか坂井が? こいつは今、殆ど理性を失ってる。
こいつの“答え”は人を殺すことで、得られる物だ。私を含む、他の四人とは一番、簡単に得られる彼、独自の方法だ。
こいつは遂に決心したのか?
だが、リスクが大きすぎる。それに私の一番の引き立て役の貴様が、ここでやらかしてしまえば、私の答えが、遠のいてしまう。
「坂井、少し落ち着きたまえ。答えを出すのは勝手だが、お前の場合、それに対するリスクも大きい。もう少し考えた後でも良いんじゃないか?」
続いて廻原も、言及する。
「そうだよ。大方、登校中に妄想膨らましてたんだろ?自我を忘れて、獣のように突っ走るなんてね。そんなんじゃ答えは得られないよ。」
坂井は不完全燃焼したような顔を浮かべて、戸を荒々しく開け、どこかに行ってしまった。
「・・・・・追わなくていいのか?」
斎藤が一応、とでも言うかのように言う。
「かまわないよ。 廻原君、ホームルームが始まるまで、まだ時間がある。自販機に行って飲み物を買わないか?」
私は得意の作り笑いで廻原に話しかける。
さあ、どうでる?廻原。
「わかった。行こうか。」
廻原はなんの同様も無く教室から出て、私もそれに続く。
私の作り笑いに気づいてないのかと思うのだが、残念ながら違うのだろう。
私達5人は互いの本質を見抜いている。
彼にとって、先程の私の笑みは作り笑いと判断したのだろうな。
だからあえて、何も言わずに、戯れ言を聞き流し、私のペースに合わせたという事なのだろう。
廻原め。
相変わらず油断できない奴だ。
廻原視点
萩原の奴め。
相変わらずの作り笑いで俺を試したのか。
実にくだらないな。
くだらないと言えば昨日、僕に集団リンチをぶちかました奴らだ。首謀者は、神山ともか。あいつのせいで少々、痛むところが残ってる。
あいつら集団は放課後にでもけしかけてくるだろうな。流石に、僕もこれ以上痛む箇所を作りたくないので、次はどこかに連れ込んで全員、犯してやろう。
こんな事を考えても不思議と怒りは感じない。やはり感情が無い方が便利だな。
全員犯した暁には、写真を撮り、この情報社会に垂れ流し、もう二度と家からでられないようにしてやるか。
気がつくと僕はまた、笑っていた。僕はとっさに手で顔を元の無表情に変える。
「廻原君?なにか楽しい事でもあったのかい?」
糞が。今の顔を見られてしまうとは。
「嫌、何でもないよ」
「ふーん。どうかな?君が笑みをする時は何かを考えてる時なんだがなあ?」
坂井。
お前が人を殺したがる理由。お前とは違う理由だがなんとなく解るような気がするな。時斗が俺の心の中に触れてくる。
怒りの感情は沸かないが、これ以上詮索されるのは面倒だな。
とりあえず、黙らせとくか。




