The hHeaven Phase 2
今回も引き続き、グロテスクな表現があります。
と言っても、前回と比べるとかなり控え目かな?
人によっては気持ち悪いかな?まぁ、現代人なら大丈夫か。でも、苦手な人は見なくて良いですよ?
いや、
本当にね?
人面の甲虫が地面を駆けてくる。
まるでアメンボのように地面を蹴りながら。
「ギチヤァァァ!ビリャブリャァ!」
そのため、私はまず壁を背にした。
腕を振るえて、身体を預けられる程度に。
そして、迷わず回避を選択する。
当然だ、昔から良く言うが、人間が利用できる物で
一番殺傷力の高いものは、大地なのだ。
そしてその大地は人の作った家屋に貫かれている。
すなわち、その建物は大地の剣、最も強大な力。
これを利用しない手はない。
「はあッ!」
それでも、なにもしないのは悪手。
殺しきるために、容赦の無い無慈悲なローキックを
背面に回り込み叩き込む。慈悲の心等感じないが。
「グキャァッ!」
人面の甲虫が悲鳴をあげる。
そのまま踏み潰しにかかる。
「ま、まってくれ!」
その前に、その人面甲虫から人の声がかかる。
その鳴き声は次にこう続けた。
「俺はまだ意識がある!身体はこんなで動かせない
が、抑えることはできる!頼む!殺さないで!」
そんなことをのたまう人面の甲虫。
なるほど、考えてみれば不快な方の鳴き声は、
人面からではなく、甲虫部分から出ていた様な
気がしないでもない。私は言葉を発する。
「貴方はなに?」
「人間だ!少なくとも頭は!!」
「そうみたいだね、会話をするみたいだし」
「そうだろ!?だから助けてくれよ!!」
「ちょっと待ってね、その前に聞きたいんだけど」
「なんだ?っ!?」
私は、人面甲虫の胴体を踏みつけ、まるで
綱引きの様に頭を引っこ抜く。
「貴方は、頭だけで会話できるのかなってね?」
「ぎいィっ!な、ぜぇ」
「おや、なんで喋れるのかな?」
「は?」
「知らなかったかな?虫君。人間は身体がなきゃ
生きられないんだよ勉強になったかな?虫君?」
「バカなッ、それを確かめるためにッ!」
「そうだよ、もし本当だとしても君を助けないし」
「何故だ!」
「簡単だよ、この実験をするためだよ」
「何?」
「君の言葉が嘘なら殺すべきで、もしも君の言葉が
本当なら助けるのも良いかもね。でもね、虫君」
「なんだ?」
「君は生まれたてで分からないかもだけれども、
実は君の思考は元となった人の表層なんだ。
だってそうでしょ?こんな分かりやすい幼稚な
誘い、あまりにも簡単な浅い事を考えるのは、
知恵のない純粋な子供くらいなものだからね?
人間は意識に浮かばないだけで、もっと多くの
思考をしているのさ。本人も知らないうちにね」
「そうか、なるほどな。しかしな、女よ」
「何?」
「私はどうしてもお前のような女がぺらぺらと、
無駄に会話を続ける様な真似が解せんのだが?」
「ああ、それはね?」
「ん?なんだ?もったいを付けるな」
「はいはい、それはね、私が働くためだよ」
「と、言うと?」
「簡単に言えば、動機作りだよ。
私は我儘で面倒くさがりでね、わざとらしく
必要に駆られる状況にしないとなにも出来ない
からね。だからさ、こんなにも無意味な死体に
話しかけているのはね。さて、それじゃあさ?」
「ああ、なるほど。つまりは、」
「君達を一匹でさえ逃すことは出来ないからさ、
君には死んでもらうよ。バイバイ」
そう言って私は、その頭を甲虫の胴体にダンク。
そのままの勢いに頭蓋骨をぶち抜き、化け物を
始末した。
「さて、と」
残りの化け物も相手しなきゃ、ね。
私は、周囲を取り囲む残りの甲虫に向き直り、
ファイティングポーズをとる。
「さっさと片付けて、おひめさ、いやオカマ様を
迎えにいかなきゃね。」
「グリャアッ!」
人面甲虫の鳴き声で、戦闘は開始された。
「ふっ!」
全身が刺のある外骨格に覆われた甲虫に、
生身で殴りかかることは握手だ。それも、
厄介なことに寄生した人間の皮知識を、思考を、
ある程度トレースするらしい事から、もしかしたら
格闘の知識を持つものもいるかも知れない。
そこで、私は蹴りを放つ。
あまり関節の多くない甲虫だ、脚を捕られにくい。
加えて、脚のパワーと、そこそこ分厚い靴に期待。
蹴りなら、外骨格の中身を揺らして仕留められる。
飛びかかってきた甲虫を、屈んで回避。
カウンター気味にキック。掴んで、壁に投げる。
さらにそこに、止めの回し蹴り。
甲虫を仕留める。しかし先程は気付かなかったが、
砕けた外骨格から覗くのは人間の様な臓器だった。
しかし、血は流れず、瑞々しさが感じられない。
まるで死肉のようだ。いや、実際そうなのだろう。
しかし、その内蔵は動いている。まるで、心臓はなくとも生きる虫のように。
「つまりは、あれも一応人間ってことね」
そう、それは姿は変わっているが、
特徴こそ差違が大きいが、関節の数、筋配列、
骨の質等、それら全てがそれらが人間だと強固に、無言で主張していた。
実は彼女は、かなり冷淡な理論的に生きる人間で、
必要なら頭くらいぶっこ抜きます。まぁ、流石に
リアルではやらないでしょうが。
でも、わかりませんがね?
腐☆腐
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