緑の服
今回は緑の服の人こと、自衛隊達の視点です。
... 主人公サイドの俯瞰視点から 全部の設定を描写しようと思ったら面倒くさかったから、この形にしたわけではない。
......いいね?......よし。
それでは、どうぞ!
――SIDE Self-Defense Forces S 1st
『民間人らしき人間が人型で言葉を話す知能のある鶏と行動を共にしているという情報が入った。そして、諸君ら特殊作戦群第一中隊には当該対象の保護と、その警護と護送を命ずる』
『本来ならば秘密裏に確保し個別に聞き取りを行うところであるが、司令部で大々的に会話をこなしてしまったのでその存在は周知されてしまっている』
『故に士気の観点からいってそれは著しい戦力の低下を招くと考えられ、避けるべきだと判断した』
『よって諸君らの任務は当該女性一人及び男性一人の任意同行による確保及び、万が一の場合には当該人型鶏生命体の鎮圧ないし射殺である』
車両の運転席から状況を見ているサングラスをかけた白髪オールバックの運転手はつい十数分程前に上官から告げられた命令を思い出す。
――相手の脅威度にもよるだろうが、周囲を囲まれているのはほぼ間違いないらしい
生まれつき目の中にある視神経が常人の二十三倍多い軽薄そうな男は、その見た目に反して素直な心持ちと厚い信念に部隊内からは隠れた好い人として信頼厚き士である。
「中隊長!ゴムボール装填!発砲許可を!」
何やら腕の機械を操作して背中から無人偵察機 似たというよりそれそのものを展開しているのは 雪村冷夏三等陸曹。 特殊な技能持ちが多い三曹以上の階級においてもかなり特殊な技能を保有する彼女は元は医療分野に関わる士官候補生であったが、 何を思ったこかわざわざ過酷な演習に参加してまで特殊作戦軍に入隊したという逸話の持ち主だ。
「許可する!但し狙うのは反射物だ!先に警告を発するまで暫し待て!」
「警告する!姿を露さなければ当該者でないと見なし、又交戦の意思在りと見なし即時鎮圧に入る!」
「武器使用規定並びに国際法により、諸君らの身の安全は保証されている!繰り返す――」
軽く開いた運転席のドアを縦にして耳をすませているこの小柄な女性は椎名三等陸曹。その特徴的な外見から分かるように異国の血を引いており、本人ですら自身の出自を知らないという特殊性。
とある発展途上国の森林地帯に住んでいた彼女を 『我らが極東の島国に来ないか』などと、中隊長が養子に迎えてこの国に連れ帰った。
彼女はとにかく好奇心が強く天真爛漫という性格で、力も弱く地頭は良いが知識がない。だが、森林地帯で生活しているうちに身につけたと考えられているその超人的な感覚が異常の一言に尽きる。
小動物のように大型動物の吐息の匂いを数百メートル先から嗅ぎ分けられ、耳を澄ませば30メートル先に飛ぶ蝿の羽の音さえ聞き逃さない。
「反応は無し。相手は微塵も動揺してないです!」
「あらら。どうする中隊長」
「雪村三等陸曹。ゴムボールの発砲を許可する」
「了解!」
そして我らが特殊作戦群第一中隊中隊長。
何ら異常なところのない平凡な人間である彼であるが、しかし理解不能な技能という意味ではこの中でも群を抜くだろうか。普段はどこにでもいる中年男性と変わらないのに対して、レンジャー資格持ちの特殊作戦軍所属の自衛隊員。
手品師とも詐欺師とも呼ばれる彼はとにかく人の意識に依らず面倒事から逃げるのが上手い。しかし、それにも限界はあり今回のような事態になることもままあるが。
「椎名一等陸曹。反応は」
「無いです。鏡が割れた音、落ちた音の他に何も聞こ……え?――あ゛あ゛ッ゛ゥュゴッヒュぐぅッ!?むぐムッ――!?」
ひらり、と。
宙返りと共に椎名一等陸曹を踏み潰し、口内に拳大の石を捩じ込み胴体と腕を持って背負い込むと、小さな肉の盾に全幅の信頼を感じさせる動きで何時の間にか雑木の中に消える。
「椎名っ!」
これに待ったを掛けた男を華麗にスルーし、人陰は雑木林の暗闇に駆ける。その口許は愉快げに笑いそれに腹を立てた軽薄な男――井手之上茶人二等陸曹。
運転席から状況を間近に見ていた運転手兼通信士の男――薬師堂桑南三等陸曹は考える。
――成る程。あの鏡は囮か、ブラフ。本来の役割は樹上に待機するアレに合図を送るためと、二つの役割が与えられていたのだろう。
つまりは、奴の仲間が鏡の反対側に潜んでいる。人数の有利を削られ、人質を捕られたと。そういう事か
――とにかく、孤立させるのは此処で全員が突撃するより不味い事態になる。鶏一匹と人間二人程度にどうかされるには奴らの価値は釣り合わない
……最低でも死んでいて欲しくはない
「あの馬鹿野郎!」
――人質を捕られたのなら自分の眼が一番に必要だと解らないのか!狙撃で眠らせてしまえばよいだろうに!間抜けが!
SIDE S-DF 1st 井手之上茶人二等陸曹
――くっ……、速い!いや――上手いのか
「驚いた……ふふっ」
僅か数瞬の驚きを浮かべ楽しそうに笑う人陰は小柄であり、必然脚の長さも井手之上茶人二等陸曹が長いにも関わらずに一向に追い付ける気配がない。
――コイツの声……気持ち悪い声してやがる。男か女か解んねぇ声しやがって!
「止まれ!投降しろッ!糞海女ァ!撃ち殺すぞ!」
とても先ほどまでフェミニスト面をしていたとは思えない鬼の形相で迫る井手之上茶人二等陸曹は 軽く動かして銃を腰だめに構える動作をする。
――機会があれば……殺る
「知ってるよ。それが自動小銃ってやつでしょう?」
しかし人陰はそれを少しつまらなそうな目線で見やると共に加虐的な笑みな微笑みを浮かべ、続いて我慢できないとばかりに口許を引き裂いた。
――白い羽……事前に知らされてた鶏人間って奴か?……焦茶のフードを被った人間にしか見えねーけど
「でもね、いくら君が銃の腕に自信があったとしても。果たして彼女の方が面積が多い対象物に引き金を引けるかな、彼氏くん」
一見すれば緩慢にも思える動きで素早く山道を駆け上る人陰は息を切らせることもなくケラケラと。 必死に追いかけてくるソレをせせら笑う。
「チッ。糞女郎が!なら殴り倒す!」
「ははっ。小柄な女児とはいえ人間一人抱えている私に速力で追いつけない君がそれはできないよ」
「アア!?」
――コイツ……遊んでやがるな……
――気色悪ぃ……
人陰は追う者の無力をせせら笑う。その余裕の態度と共に繰り出される嘲りに更、に追うものは冷静さを欠いて行く。
「それにしてもこんなちんちくりんの何がいいんだか。分からないねぇ。もしかして君って幼女趣味?」
「ふざっッ!!」
「ははははははははははははははは」
人陰はただただ愉快そうな高笑いを残しながら 常人には理解不能な動きで高速で斜面を駆け上がっていくと、時に2メートル程の小さな崖を飛び降り、時に装具も無しに素早く道筋を定めてに崖を登る。
そして数十秒の後に。一際幹の太い大木と小川のある場所へと差し掛かった時それは起きた。
人陰は小川を軽く飛び越え、山に入るにあたって冷静な部分で装備を投棄しないことを決め、又装備を解除している時間さえも惜しいとばかりに駆けていた井手之上茶人二等陸曹。
「あらよっと!」
「ぐべらっ」
大木の裏から突如信号機のように張り出された 15センチメートルほどの丸太。
彼は咄嗟に丸太に手を付き飛び越えた。が、しかしながらまるで謀ったかのような、事実謀っていたであろうタイミングで強靭な鳥足が下腹部をシェイクし顎先を捉え小川に沈める。
「オオー。いいスイング!ナイスロマン」
「いやあ~、此処まで作戦が上手く行くと気持ちいいぜぇ!」
「さてさて、盾の面積も十分だし。そろそろ尋問に移行しようか。準備も終わったみたいだし、ね」
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