~お上りさんの珍道中~②
今回は3連続投稿!その第2回目です!!
明日も確りと更新しますので見に来てくださいね!
それではどうぞ。
――ただの自信ありげな子供の戯れ言、そうとしか受け取れない言葉ではある。だが、何か、何かが可笑しい。いや、そうである筈だ。
「ふむ、解せませんな。狩猟権の下にこの山の獣類の殺傷は禁止されていますし、権利者が存在する事や所有権の観点から勝手な主張は通らぬものと愚考いたしますが、いかがでしょうか」
暗に拒絶と公正の意思を示す現場指揮官に対し、 僅かな思案の素振りもなく軍法に残されていた古い資料にある狩猟権の違反行為と所有者の可能性を主張する麗奈。
「確かに、それらの主張は認められよう。だが、害獣駆除ならばどうかね?特定外来生物に人類種に近い造形の鳥類種が認定された事は無い様に記憶しているが、認められる条件要項は満たしていると思える。ならば、事後承諾という書類上の処理が後回しになるだけだと考えよう」
それに対して現場指揮官は議会の承認を後回しに、つまりは事後承認とし害獣駆除任務に当たると主張し国家権力の名のもとに書類上の処理は後回しにする事での解決の可能性を示唆する。
「それは、過干渉というものでしょう。認められるかはいざ知らず、貴官の資質に問題がある様に受け取れますが、如何か」
軍規の遵守を絶対とする組織構造故に、その乱れを許容するする事は現時点で如何程の意義を持つかを問い掛ける麗奈は少しだけ威圧を含ませている。
「我が国では其方の鳥類種の飼育は認められていない。拘束処置を摂る事になるぞ、解っているのかね?」
再度、国家権力の下に鎮圧を行う事を示唆する現場指揮官の声は一見すれば少しばかりの戦きを感じられるかの様に感情が見え隠れしている。
「それほどの言葉を吐いたのですから、呑み込めはしませんよ、オキムラソウジ殿」
適法であるか否かの可否について語気を強めつつも心配する様な言葉を掛ける麗奈に、現場指揮は厳かに宣言する。
「ああ、理解しているさ。だが、適用可能ならば問題外だと私は判断している」
その発言に途端に静かになった麗奈とこれ以上に言う事は無いとばかりに黙る現場指揮官。
果たして、先に折れたのは麗奈だった。
「……ならばどうでしょう、未知の生命体の捕獲支援業務及び防疫任務では」
研究の支援を表向きに要請する麗奈の提案に、未だに騒騒とした空気を感じさせる向こう側と無言の現場指揮官。
「……直ぐにはお応えしかねるが、傍目から見て其方の保有している生命体は確かに未知である、つまりは適用範囲内だが……。宜しい、ならばテロリズム行為に該当する可能性のある物品の事前発覚に対する現場保全と防疫任務及び民間人保護及び事情聴取迄の一時預かりで事を処理する。これ以上の譲歩は不可能に近いぞ」
上司…内閣総理大臣迄も…への懸案と入念なリスク回避の為に少しの時間を置く事を周り諄く告げる現場指揮官。
「そこにもう一つ条件を追加して頂きたく」
しかし、此に更に厄介事を重ねるばかりに麗奈は暗に要求する。状況を正しく理解している者同士になればすでにこれについての重要性は共通した認識であることを分かっているのだ。
「何かね、悪いがこれ以上は――」
しかし現場指揮官たるオキムラソウジ、彼とて一人の軍人であり、これ以上の譲歩は自身の生命にも関わる為に回避すべき。 そう考えて切っ先を制すようにそれ以上の言葉を制止させようとする現場指揮官。 そしてそ切っ先を更に厳選して言葉を重ねる麗奈。
「あくまでも、人権に配慮した待遇を確約頂けますね、オキムラソウジ殿」
そんな普通ならば確認もしないであろう事柄をと現場指揮官自身は考えたものの、自身の態度とその言葉を発する人物の今までの在り様からしてそこさえも疑う事は当然なのかもしれないと思い直し真剣な様子で答える。
「ああ、勿論。憲法に則り人権を保証する事を確約しよう」
先程の麗奈に …ウォンドに倣う様に…一切の思案無く答える現場指揮官。その態度は適当にも、空返事にも聴こえるが……
「――ヒメ、今の言葉に嘘はある?」
ヒメハナバチに確認をとる麗奈と、当然に返す様なヒメハナバチの断言。
「無いと断言するわ。あの御仁は嘘を憑いていない」
「なら、決まりだね」
未だに警戒感を露にはしつつも虚言ではないと断ずるヒメハナバチの言葉と、即座に信頼を返す麗奈。
「此方は全面的に無抵抗だ、文字通りに今は抵抗手段が著しく限られる状態だ。救援を求めるよ」
両手をひらひらと振り無抵抗の意思をそうとは思えない態度で見せつける麗奈に、現場指揮官はまた困惑した。
――本当に、 この少女は何者なのだろうか。
この余裕は何だ、何かその根拠となるものがあるのだろうか。
その問いに答えるものはおらず堂々巡りである。
「ああ、直ぐに手配しよう」
「今暫くこの場に待機する。と、そうだ。質問良いかな、オキムラソウジ殿」
唐突に。
軽い調子に会話を切り替える麗奈。
「ああ、モノによるが出来る限りの質問には御答えしよう。流石に話せない事はあるが、弁えてくれよ」
あくまでも義務、あくまでも警戒しつつも質問への受け答えに同意する現場指揮官。
「善処する」
「そこは確約が欲しい処なんだが……仕方無いな」
大きく溜め息をついた現場指揮官と黙って相手側の反応を待つ麗奈。相手側が落ち着きを取り戻し、少しの間が空いて次に言葉を発したのは麗奈。
「では、まず初めに。此処へ無限軌道を用いた装甲車両……戦車を持ち込んだ事はあるか否か、教えて欲しい」
――先ずは先程まで見物していた履帯跡について質問する。これは、後々の質問の基準になる。
その為にも、先ずは嘘をつくメリットのあまりない…有り体に言って後でどうとでも確かめられる…モノからだ。
「まずその質問だが、答える事は出来ない」
――当然断るだろうね。何せ、諸に"黙ってなきゃ不味いこと"だから。
だから……
「そうか。なら、見て貰おうかな、貴方に」
「ほう?」
「これは、どんな車両の走行跡か解るかな」
「ふむ。それが何らかの車両の走行跡である事は不明だが、私が見る限りその仮称走行跡は我等が運用する車両に近しい造形且つ幅も同じといったところだ」
ふーん。結構協力的……いや、それは迂闊な考え。戦力の誇示やブラフ、ミスリード。
如何なる可能性も潰えていない。
「そう。なら、此処へは何で迎えに来れるかな。道は其処まで良くはないけど、仮にも軍用車なのだから此ぐらいは想定内かな、オキムラソウジ殿」
「ああ、安心して欲しい。其処へは万全を喫して頑強な装甲を有する戦闘車両が向かっている」
ふーん、どうやら戦力の誇示が目的かな。
いや、未だに判断を下すには情報不足。ならば次は……
「なら、良い。次に質問、此処を貴方は個人的にどの程度の脅威度かと考えているのかな」
「それはかなりの危険度だ。未確認の脅威となり得る生命体及び物品が複数確認されているからね」
――何か含みのある言い様だ。威圧的な物言いといい、彼方は結構な注意を此方に向けている様だ。
なら、最後の質問。此はブラフでもある、と言うよりは私自身の唯の勘だが……或いは。
「成る程。じゃあね、最後の質問。……ねぇ、何人死んだかな」
麗奈は先程から漂う嫌な空気を、肌で感じ撫でるその空気を払う様に。慎重に、確かめる。
鎮まりきった野山に響く草木の騒めきがその嫌な空気を運んでくるのを感じながら。
いやーバチバチに口の悪いクソガキ麗奈ちゃんVS現場指揮官『オキムラソウジ』
一体どちらがこの情報戦を制するのでしょうか。
そして指揮官さんには何やら思惑があるご様子。
それは一体全体何なのでしょうか?
次回更新は明日この時間帯を予定しております!
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