腹黒幼女
今回は予告通り3500文字程度の普段より千文字程度長い文章となっております。
内容としては1日のゲームプレイを置いてあったのは感想や主人公たちの内面や関係性に少しだけ触れる感じです。
仮想世界から帰還した夏目塁と麗奈は、それぞれ自室のベッドやリビングにある椅子に腰掛け、先程の体験について通話で話している。
「もしもしー?塁ちゃん?」
麗奈は回線に外部との通信を許可し通話を開始すると、軽い調子で相手方に呼び掛ける。
「あ!やっと繋がった! もう16コール目だよ?」
よく覚えているな、と若干親友のことを諦めとも 呆れとも取れるようなを数瞬浮かべた麗奈。
しかしそれを態度には出さずに通話を続ける。
「いやごめん。余韻に浸っちゃってね?」
「はぁ。そんな理由で私を待たせたの?全く待たされる側の気持ちにもなってみてよね!」
親友は電話口で待たされる事に慣れていない。
これは面倒なことになると考えた例が打開策をと、 とっさに思いついた詫びを入れる。
「ごめんね。また今度遊びに行くから、赦して?」
「ん!まぁいいよ。それだけゲームを気に入ってくれたってことだし許してあげる」
どうにか面倒くさいに方向だけは回避できた、と内心胸を撫で下ろす麗奈。
この親友は 怒った後に拗ねる。
――そしてその間謝り倒すことは今までの経験からして確定的に明らかで、そして少なくともそれは時間の無駄で、つまりこの場での最善策は早急に怒りを納めてころっと忘れてもらうこと。
面倒ごとを回避したレナはほんの少し安堵する。
――だからだろうか?付け足さなくても良い無駄な言葉を重ねてしまうのは……。
「よかった。 通話に出るの遅くなってごめんね?また今度お詫びするから」
「言ったね?次来た時にはお母さんの趣味に付き合ってもらうからね?」
――不覚。
電話口から聞こえてくる悪戯が成功した悪ガキの声を聞いて、自身が上手く担がれたことを悟る。
普段は親友が悪戯で小細工をしてくることはあまりないため油断していたがこういったことを神様が行う時、必ずあれがあることを麗奈は知っている。
いたずらに細かい細工など不要良くも悪くも一直線な悪戯を仕掛けてくる親友。
怒られない範囲で巻き込まれた人も笑えるような楽しいイタズラを好み、 たまにしかそれをしない子供の気まぐれないたずらとも取れるそれを親友が相手からの評価や感情を優先せずにこういったことをしでかす時。
そこまでの思考が及んだとき麗奈は瞬時に後悔の念に襲われた。
「あー、言わなきゃよかった」
「ふふっ、言質とっちゃったもんね。後でお母さんに話しておいてあ・ げ・る」
「あー、……実は最近体型が変わったから前の服は着られなくなって」
「大丈夫そういうと思ってお母さんは服を全部新調したから」
「もうすぐ国家資格の試験だから勉強しないと」
「ゲームで遊んでる暇があるって事は余裕で一発合格できるって事でしょ?いつも通りじゃない。
問題ないわね?」
「実は最近は自分の予定が詰まってて、 昼間には時間が取れなくて」
「大丈夫。お母さんは夜でも寝ないから。
あれで体に影響がないんだから不思議よね?」
「……分かった。行くから、せめて大人しい方の日にしてよ……?」
「そこは安心して!……荒々しい日の御母様の趣味に付き合う度胸は私にもないから」
またあれを体験することになるとは、と麗奈は
麗過去に思いを馳せ憂鬱な気分になってしまう。
れいなの内申を見て取った新ゆうことなつめるいは嬉しげでからかいを含めた声色で意気揚々と問い掛ける。
「で? ゲームの感想はどう?」
麗奈はすっ、と気持ちを切り替えると今日一日の体験を思い浮かべ、
「そうだねぇ、さすがは高いだけのことはある?」
と、非常に曖昧で庶民派な表現を用いて感想を述べた。
「まあコストに見合っただけの性能ではあるから」
それに対し塁は苦笑いを返す。
この親友にゲームのことが分かるはずもないが、 それにしてもここまですっぱりと忌憚のない感想を言われてしまうと面食らうと共に、苦笑いが溢れるというものだ。
「感覚のフィードバックは研究用途並、それでいて標準で仮想世界内での感覚を現実に持ち込まない様にセーフティもかかってる。セーフティが標準的に搭載されているのは軍事用を探してもそんなにないからね。セーフティーを前提にしているから、高精度で鮮烈な体験をしたとしてもリアルの嗜好に然程の影響は及ぼさない」
これはつまりゲームによって人格に歪みが出る可能性が限りなく低く、それでいて体験を記憶する。
どこまでも都合のいいシステムだという評価。
「今のところ挙動に不審な点も全くなし、五感の全てが連動していて違和感もない。……おまけに性能的には思考分割も可能なんでしょうね。国際協議会でも使われている仮想議会と同程度。発展性及び、拡張性・機能性の面から見れば遥かに上回る」
国際協議会の意義は遠距離で直接会わずとも実際にその場にいるのと同等の公平性を保ち、同じ場所に集うことで国家間の団結をも意味するという。
他にも多種多様な人種の交流の場でもありそう理解を深める場でもある。
――建前は
「ただ当然実際に使われている仮装議会とは秘匿性の面から圧倒的に差があるし、ゲームとしては異常なまでの秘匿性で国外からの接続では絶対に突破できない強固なのプロテクトだけれど国内ではまだ 不十分かもしれないわね。 少なくとも額面通りの 技術なら相当な価値があるわ。まあだからこそ国を巻き込んで権利を保証しているんでしょうけれど」
実際のところこのゲームの招待というのは聴講生のかつ最先端のシュミレーター。
製品開発に意欲的な企業や、それに限らず技術に頼りきりで技術力の向上を歓迎す全ての利己的資本主義の代表、資産家たちは喉から手が出るほどこの技術を独占したがっているだろう。
この超大規模なシュミレーターは現実世界において演算できないものはないだろう。雑多な情報から重要な情報を見つけることもできれ、ば重要な情報一つから雑多な情報を得ることもできる。
テロリストには大変魅力的な装置に見える。
――だが、それでも
「国に正面から喧嘩を売る馬鹿は居ないわよね。
治世的な面でも軍事的な面から見ても」
「同意見。それでゲームとしての評価なんだけど、これに反して私は素人だからわからないわね。
実際に演算されているから現実世界でも起こり得る可能性のある現象、だから私としてはゲーム、というより仮想演習のように感じるかな」
「なるほどね。私としてはゲームというよりシュミレーションに感じるかな?防災訓練とかの」
「二人共にゲームだっていう実感はほとんどない、というところかしら?」
「まぁ実際のところ、現実では起こり得ない体験!ってだけでも十分にゲームなんだけどねぇ」
「ゲームは非日常的な刺激を求めるのもので現実を意識させないようなゲームが人気になる傾向にあるけれど、このゲームは当て嵌まらないよね?」
「システムの考案者がファンだったんじゃない?」
あり得るかも、と麗奈はとりあえず納得する。
「それでさ、次の稼働日のことなんだけど」
「うん?」
「次の稼働は明日の17時から19時間の二時間で、仮想世界では加速倍率四倍の八時間みたい」
「ふーん、実稼働時間は結構短めだね?」
「加速化するから社員の勤務時間を増やして人件費掛けなくて良いからじゃない?」
「なるほどね。でも管理や監視は?」
「管理者アカウントは運営数人と社長、開発者は開発者アカウントみたいに管理権限を少人数に付与、実際の稼働時の管理はAIまかせらしいよ」
「なるほどね、実に合理的」
――嫌いじゃない。
「それでさ、明日の稼働時は何する?」
塁からの必殺『明日空いてる?』が飛び出し、
「それを今から話し合うってこと?」
明日は暇だが今の予定はある麗奈は問い返し、
「そのとーり!というわけで、時間ある?」
塁の肯定に既に予定のある麗奈はこれを断る。
「これからトレーニングを……」
「おっけー、暇だね。それじゃあ始めよっか!」
「いや、だから……」
「通話」
「えっ、それは赦してくれたんじゃ……」
「そっちじゃないよ?さっき『よかった』って呟きを言った時あからさまに面倒がなくなって『よかった』って顔してた。あーあ、この後付き合ってくれるのなら赦してあげるのにな~?」
「……」
「なに?不満でもあるの?」
「イヤ、ソンナコトナイヨ?」
「そ、じゃあ続きね」
「ハイ」
「……その丁寧で固い口調やめてね?」
「はい」
「よろしい」
強制的に明日に向けての会議に参加させようと、麗奈の予定をまるっきり無視する塁の力強い声、
それに対して再度強く断ろうとお断りの文言を更に重ねようとした麗奈。
しかし塁は先々に布石を打っており、哀れ麗奈はしっかりと蜘蛛の巣に絡め取られてしまう。
「よし、先ずは議題は明日の予定ね」
そして後には意気揚々と会議を再開する塁と、
苦く笑いを浮かべながらもなんだかんだで親友と楽しそうにしている麗奈だけが残るのであった。
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