出立の準備③ 粘土を練ります
今回も前回の続き、作戦会議です。
ちょっと汚い言葉をマイルドにするのに時間を頂きました。すいません
事件の首謀者の思惑について討論を終えた麗奈達
三人―といってもローマンは未だに玄関にて悶絶している―は、脱線していた話を戻して街での目的や事前準備について話し合っていた。
「それでさ、話を戻すけど、色々大丈夫?」
「あー、泥にまみれるのはなんとかねぇ~」
「蝿の集った枯れ葉は無理?」
「そうねぇ、蝿って図鑑で見たことがあるのだけれど、脚が毛だらけで口が筒になっている奴よね?」
「そうだね、でも現代と違って昔はもう少し小さな虫だからそれほど細かいところは見えないし、別に蝿そのものをじゃなくて必要なのはあくまでも枯れ葉だから、大丈夫でしょ?」
「いえ、それはわかっているのよ。ただ、蛆って、蝿の幼体なんでしょう?」
「ああ、そっちね。大丈夫、蝿が沸いているのが好ましいのは腐敗する位に乾燥して日が経っているからで、水分量の把握のためだから」
「それって何に使うのかしら?」
「泥に付くと乾いた後は剥がれにくいし、火種を起こす時に火が燃え広がり易いから、火をおこすのにとっても便利なんだ」
「なる程ね。山を歩くなら灯りは欲しいわね」
「そういうこと」
実のところ、枯れ葉には他の用途もあるがそれは流石にヒメハナバチは躊躇するだろうから私だけでやる事になるが。一応、聞いておこうかな?
「ねえ、一つ聞いて良い?」
「なにかしら?」
「虫を飼育したりは平気?」
「無理!」
「そう、だよねぇ。じゃあこの話なし」
「一体なんの話をしようとしたの!?」
恐ろしい!虫を飼うなんて無理だよ!
なに言ってるの!?
ヒメハナバチは顔を歪めながら思わず問う。
それに対して麗奈の答えはというと、
「いや、別に。二人なら毒虫を集めて蠱毒でも、
やってみようかなぁ、と。蠱毒ってわかる?虫を」
「説明しなくて良いからね!?どうしてそんなに、淡々と毒虫を集めるとかいえるのかしらぁ!?」
と、説明しようとした矢先にヒメハナバチひ本気で止められる。
枯れ葉は良い飼料になるし、ここは畑が出来る程
土の質が良い土地だ。粘土質の堆積物の多くある川の支流には、多くの毒虫がいることだろう。
折角だから、実験してみたかった、と麗奈は若干
残念に思う。
「そっかぁ、まぁ仕方ないかな」
「本当止めてよね?」
「わかったってば」
「さて、本当かしらね?」
この娘はやるといったらやる性格だ、嘘を憑く以外で有限実行しなかったことは一度もない。
親友の女の子の尊厳を守るためにも、こっそりと試したりしない為に一人にするのはよそう。
「話を変えるけど、私達の目的って大目標が生存、小目標が食糧確保でしょ?それで良い忘れてた事があって、意見が欲しいかなって」
「ええ、そうねぇ。住む家はあるから、あとは衣服があれば良いと思うわ」
「そうだね。でも服はともかく食糧ってちょっと危ない感じがするよね、例えば寄生虫の怪物とかさ、果物や野菜にしか見えない様な比較的姿形が変わりない怪物もいるかもしれないじゃん」
「そうねぇ、それは考えられるわ。でも焼いたり、乾燥させたり、茹でたりすればある程度見分けは付くと思うわよ?」
「確かにそれはそう。でも、もしかしたらそれが効かない事があるかもしれないでしょ?それで提案があるんだけど、怪物は一応生物だよね?」
「そうね。植物や動物の違いはあっても、生物からは外れていないと思うわ」
「そこで考えたんだけど、もしかしたらさ」
――腐ったものや発酵したものが一番安全な食べ物なんじゃない?
「は?」
この親友は何を言っている?
腐ったり発酵したものを食べるとそういったのか?
発酵したものはまだ解る。発酵食品があるからだ。
だが、腐ったもの?発酵したものではなく、腐ったものと言ったのか?
「あのねぇ、食べ物は腐ったら食べられないわよ」
「確かに腐った食べ物は食べ物じゃないよ?」
「だったら貴方の言ってることはおかしいわよ?」
「話を最後まで聞いて?確かに腐った食べ物は食べ物じゃない。でもね?可食性が低いだけで食べられる」
「……はぁ」
麗奈は至って真面目な態度で相談しているようだとヒメハナバチは感じとる。
なら、説教は少しは聞いてからにしようかしら。
「怪物化するのは大きな動物だけとは限らない。
でも、それは対して変わらないんだよ。何せ、
私達は確実に生きていない最も安全な食糧を食べるから」
「麗奈?良い?腐ったものは、食べられないわ」
「それが腐り過ぎていたならね」
「どういう事かしら?」
「つまりね、ギリギリ食べられる腐り具合のモノなら、熱を加えれば食べられない事はないんだよ!」
「貴方、馬鹿かしらぁ?」
「へ?」
「いい?これはゲーム、遊びなのよ?泥遊びは、
まぁ少しは楽しめる人も居るかもしれないわ。
枯れ葉も必要だと解るし、そこまでの嫌悪はない。でもね?腐ったものを食べるのは流石にないわ」
「そう、かなぁ」
「そうよ。私は貴方と楽しむためにここにいるの。貴方はそれをやって楽しいかしら?」
「そうじゃない、かな?苦しくはないけれど」
「なら、そんなことはするべきじゃないわ!」
「うん、わかった。ありがと」
「どういたしまして。今のは忘れてあげるわ」
全く、昔から変わらないわ。
目的の為に手段を選ばないところも、役割に忠実なところも。そして、不器用なところもね。
いかがでしたでしょう?か今回はここまでです。次次回か次回あたりにはいよいよ街の探索には入ります。
今のところ第6章までプロットが完成しています
が、完成しているプロットを実現させるのがいつになるかは不定です。
この作品が完結するその日までどうぞお楽しみくださいませー。
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