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情緒不安定 2

「よし、じゃあ今から下の階の略奪に行くか!」


「今略奪って言いました……?」


 僕は非常梯子を下の6階に降ろし、軋みに多少の不安を感じながらも足をかけた。


「じゃあ僕は先に行ってるけど、星子さんも来るか?」


「え? じゃあせっかくなのでご同行させてもらいます」


「じゃあかなちゃん、何でもいいから武器になりそうなもの渡しといて」


「うーい。星子ちゃん、こん中から好きなの取っていいよ」


 かなめはソファの上のキャリーバッグを持ち上げると、床に置いて中身を星子さんに見せた。中には色んな部屋から奪っ……借りてきた工具とか刃物が入っている。

 包丁とかノコギリとかどれもホームセンターで買えるようなものばかりだが、一個だけ例外がある。まさかトマホークを持っている家庭があるとは思わなかったな。メイトリクスとかが使いそうな手持ち斧だ。

 まぁまさかこれは選ばんだろ。


「じゃあこのトマホークをお借りします」


「マジで?」


 それめちゃくちゃ重いし、壁に刺さると中々抜けないかなり不便な道具だぞ。ゲームならまず縛りプレイ用の武器になってる。


「林間学校で斧で薪割りしたんで、多少は慣れてますから」


 不安だ……。まぁ星子さんはあくまで見学役だしいいとするか。間違っても僕やかなめの頭を割らないでくれよな。

 そう思って、僕は梯子に足をかけた。相変わらず足場が割り箸並みの細さと厚さで不安になるな。映画だとこう時にバキッて

 バキッ……。


「あ」


「え?」


 そう思ってたらマジで折れやがった。ちゃんとこのマンションは防災設備を点検してたのか?


「せー太った?」


 かなめがニヤニヤしながら見下ろして聞いてくる。


「うるさい! 言うと思ったわ! お前の方が僕より重いだろうが! 僕は50キロジャスト! かなちゃんは!?」


「は? 嘘つかないでよもっとあるでしょ!?」


「やーいお前の方が太ってるー!」


「仲良いっすねお2人」


 かなめと僕がよくある口喧嘩をしていると、ジト目で星子さんが僕らを生暖かく見ていた。何その、コイツら自分達以外の人間にはすごい挙動不審なんだろうなみたいな顔。

 その後、かなめと星子さんが降りてくる時は梯子は何ともなかったのが甚だ不愉快だった。

 僕そんな太ってないよな? だってそんな飯食ってないし……いや、でもカロリー高いものばかり食べてるからやはり……? うーむ……。

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